数学3 最大最小・解の個数 問題 42 解説

方針・初手
(1) 三角形の3辺の長さが与えられているため、余弦定理を用いて角の余弦を直接計算する。
(2) 三角形の面積の公式 $S = \frac{1}{2}bc \sin A$ を用いて面積比の条件を立式する。このとき、点Pと点Qがそれぞれの辺上にあるという条件から、$x$ と $y$ の変域を正確に求めることが重要である。
(3) $\triangle \text{APQ}$ において余弦定理を用い、$PQ^2$ を $x$ (または $y$)のみの1変数の式で表す。(2)で求めた定義域に注意しながら、相加平均と相乗平均の大小関係、あるいは微分を用いて最大値と最小値を求める。
解法1
(1) $\triangle \text{ABC}$ において、余弦定理により以下の式が成り立つ。
$$\cos A = \frac{AB^2 + AC^2 - BC^2}{2 \cdot AB \cdot AC}$$
各辺の長さを代入して計算する。
$$\cos A = \frac{2^2 + 3^2 - 4^2}{2 \cdot 2 \cdot 3} = \frac{4 + 9 - 16}{12} = -\frac{1}{4}$$
(2) $\triangle \text{ABC}$ と $\triangle \text{APQ}$ の面積はそれぞれ次のように表される。
$$\triangle \text{ABC} = \frac{1}{2} \cdot AB \cdot AC \sin A = \frac{1}{2} \cdot 2 \cdot 3 \sin A = 3 \sin A$$
$$\triangle \text{APQ} = \frac{1}{2} \cdot AP \cdot AQ \sin A = \frac{1}{2} xy \sin A$$
問題の条件より $\triangle \text{APQ} = \frac{1}{2} \triangle \text{ABC}$ であるから、次の等式が成り立つ。
$$\frac{1}{2} xy \sin A = \frac{1}{2} \cdot 3 \sin A$$
$A$ は三角形の内角であるから $\sin A > 0$ である。両辺を $\frac{1}{2} \sin A$ で割って整理する。
$$xy = 3$$
ここで、点Pは辺AB上、点Qは辺AC上にあることから、$x$ と $y$ のとりうる値の範囲は $0 \leqq x \leqq 2$、$0 \leqq y \leqq 3$ である。
$xy = 3$ より $x \neq 0$ であるため $y = \frac{3}{x}$ となり、これを $y \leqq 3$ に代入する。
$$\frac{3}{x} \leqq 3$$
$x > 0$ より両辺に $x$ を掛けて $3 \leqq 3x$、すなわち $x \geqq 1$ を得る。
したがって、$x$ の定義域と関係式は次のようになる。
$$xy = 3 \quad (1 \leqq x \leqq 2)$$
(3) $\triangle \text{APQ}$ において余弦定理を適用すると、次の式が成り立つ。
$$PQ^2 = AP^2 + AQ^2 - 2 \cdot AP \cdot AQ \cos A$$
$$PQ^2 = x^2 + y^2 - 2xy \cos A$$
(1)、(2)の結果である $y = \frac{3}{x}$、$xy = 3$、$\cos A = -\frac{1}{4}$ を代入する。
$$PQ^2 = x^2 + \frac{9}{x^2} - 2 \cdot 3 \cdot \left(-\frac{1}{4}\right) = x^2 + \frac{9}{x^2} + \frac{3}{2}$$
これを $f(x)$ とおく。$1 \leqq x \leqq 2$ の範囲で $f(x)$ の最大値と最小値を調べる。
$x > 0$ であるから、相加平均と相乗平均の大小関係より次の不等式が成り立つ。
$$x^2 + \frac{9}{x^2} \geqq 2 \sqrt{x^2 \cdot \frac{9}{x^2}} = 2 \cdot 3 = 6$$
等号が成立するのは $x^2 = \frac{9}{x^2}$ すなわち $x^4 = 9$ のときである。$x > 0$ より $x = \sqrt{3}$ であり、これは定義域 $1 \leqq x \leqq 2$ を満たす。
よって、$f(x)$ の最小値は次のようになる。
$$f(\sqrt{3}) = 6 + \frac{3}{2} = \frac{15}{2}$$
最大値については、定義域の端点である $x=1$ または $x=2$ のときの値を比較する。
$$f(1) = 1^2 + \frac{9}{1^2} + \frac{3}{2} = 10 + \frac{3}{2} = \frac{23}{2} = \frac{46}{4}$$
$$f(2) = 2^2 + \frac{9}{2^2} + \frac{3}{2} = 4 + \frac{9}{4} + \frac{6}{4} = \frac{31}{4}$$
$\frac{46}{4} > \frac{31}{4}$ であるから、$f(1) > f(2)$ となり、最大値は $\frac{23}{2}$ である。
$PQ > 0$ より、$PQ$ が最大・最小となるのは $PQ^2$ が最大・最小となるときである。
最大値は $\sqrt{\frac{23}{2}} = \frac{\sqrt{46}}{2}$ であり、最小値は $\sqrt{\frac{15}{2}} = \frac{\sqrt{30}}{2}$ である。
解法2
(3)の別解
(2) より $PQ^2 = x^2 + \frac{9}{x^2} + \frac{3}{2}$ ($1 \leqq x \leqq 2$)である。
ここで $t = x^2$ とおくと、$1 \leqq x \leqq 2$ より $t$ の変域は $1 \leqq t \leqq 4$ となる。
$$g(t) = t + \frac{9}{t} + \frac{3}{2}$$
とおき、$t$ について微分して増減を調べる。
$$g'(t) = 1 - \frac{9}{t^2} = \frac{t^2 - 9}{t^2} = \frac{(t+3)(t-3)}{t^2}$$
$1 \leqq t \leqq 4$ における $g(t)$ の増減表は次のようになる。
| $t$ | $1$ | $\cdots$ | $3$ | $\cdots$ | $4$ |
|---|---|---|---|---|---|
| $g'(t)$ | $-$ | $0$ | $+$ | ||
| $g(t)$ | $\frac{23}{2}$ | $\searrow$ | $\frac{15}{2}$ | $\nearrow$ | $\frac{31}{4}$ |
表より、$g(t)$ は $t=3$ のとき最小値 $\frac{15}{2}$ をとる。
最大値は区間の両端 $g(1)$ と $g(4)$ のうち大きい方である。
$$g(1) = \frac{23}{2} = \frac{46}{4}$$
$$g(4) = 4 + \frac{9}{4} + \frac{3}{2} = \frac{31}{4}$$
$g(1) > g(4)$ であるため、最大値は $\frac{23}{2}$ となる。
$PQ > 0$ であるから、それぞれの平方根をとる。
最大値は $\sqrt{\frac{23}{2}} = \frac{\sqrt{46}}{2}$ であり、最小値は $\sqrt{\frac{15}{2}} = \frac{\sqrt{30}}{2}$ である。
解説
(1) は余弦定理を用いる基本的な問題である。
(2) は図形の面積比から関係式を導く典型的な処理であるが、単に $xy=3$ を求めるだけでなく、$x$ と $y$ が線分の長さであること($x \leqq 2$、$y \leqq 3$)から、$x$ の定義域を正しく絞り込むことが極めて重要である。これを怠ると(3)の最大値を誤る原因になる。
(3) は $x^2 + \frac{a}{x^2}$ の形が表れるため、解法1のように相加平均と相乗平均の大小関係を利用するのが最も簡潔である。ただし、等号成立条件を満たす $x$ が定義域内に存在することを必ず確認しなければならない。解法2のように置換と微積分を用いて関数の増減を調べる方法も、確実なアプローチとして有効である。
答え
(1) $\cos A = -\frac{1}{4}$
(2) $xy = 3 \quad (1 \leqq x \leqq 2)$
(3) 最大値 $\frac{\sqrt{46}}{2}$、最小値 $\frac{\sqrt{30}}{2}$
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