数学3 最大最小・解の個数 問題 48 解説

方針・初手
(1) 曲線 $y = f(x)$ 上の点 $(a, f(a))$ における接線の方程式を求め、それが原点 $(0, 0)$ を通るための条件を立式する。その条件式が、$g(a) = 1$ から導かれることを示すのが定石である。
(2) 中間値の定理を用いるため、新たな関数 $h(x) = g(x) - 1$ を設定する。方程式 $h(x) = 0$ が区間内に解をもつことを示すために、閉区間の両端における関数 $h(x)$ の値の符号が異なること(片方が正、もう片方が負になること)と、その区間で関数が連続であることを確認する。
解法1
(1)
$f(x) = e^x \cos x$ について、積の微分法を用いて導関数を求めると
$$f'(x) = e^x \cos x + e^x (-\sin x) = e^x(\cos x - \sin x)$$
となる。 曲線 $y = f(x)$ 上の点 $(a, f(a))$ における接線の方程式は
$$y - f(a) = f'(a)(x - a)$$
と表される。この接線が原点 $(0, 0)$ を通るとすると、$x = 0, y = 0$ を代入して
$$-f(a) = -af'(a)$$
すなわち
$$f(a) = af'(a)$$
が成り立つ。この式に $f(a)$ と $f'(a)$ を代入すると
$$e^a \cos a = ae^a(\cos a - \sin a)$$
となる。すべての実数 $a$ において $e^a > 0$ であるから、両辺を $e^a$ で割ると
$$\cos a = a(\cos a - \sin a)$$
を得る。これが接線が原点を通るための条件である。
一方、与えられた条件 $g(a) = 1$ について考える。$g(x) = \tan x + \frac{1}{x}$ であるから、
$$\tan a + \frac{1}{a} = 1$$
である。ここで、関数 $g(a)$ が定義されていることから $a \neq 0$ であり、また $\tan a$ が存在することから $\cos a \neq 0$ である。 $\tan a = \frac{\sin a}{\cos a}$ を用いて書き換えると
$$\frac{\sin a}{\cos a} + \frac{1}{a} = 1$$
となる。この両辺に $a \cos a$ ($a \cos a \neq 0$)を掛けて分母を払うと
$$a \sin a + \cos a = a \cos a$$
が得られる。これを整理すると
$$\cos a = a \cos a - a \sin a$$
$$\cos a = a(\cos a - \sin a)$$
となり、接線が原点を通るための条件式と完全に一致する。 したがって、$g(a) = 1$ ならば、曲線 $y = f(x)$ 上の点 $(a, f(a))$ における接線は原点を通ることが示された。
(2)
方程式 $g(x) = 1$ の解の存在を示すために、関数 $h(x)$ を
$$h(x) = g(x) - 1 = \tan x + \frac{1}{x} - 1$$
と定義する。 関数 $h(x)$ は、分母が $0$ になる $x = 0$ および $\cos x = 0$ となる $x = \frac{\pi}{2} + n\pi$ ($n$ は整数)を除いた領域で連続である。 区間 $\left[\pi, \frac{5}{4}\pi\right]$ にはこれらの不連続点は含まれないため、関数 $h(x)$ は閉区間 $\left[\pi, \frac{5}{4}\pi\right]$ において連続である。
次に、この閉区間の両端における $h(x)$ の値を調べる。 $x = \pi$ のとき、
$$h(\pi) = \tan \pi + \frac{1}{\pi} - 1 = 0 + \frac{1}{\pi} - 1 = \frac{1 - \pi}{\pi}$$
ここで $\pi > 1$ であるから $1 - \pi < 0$ であり、したがって $h(\pi) < 0$ となる。 $x = \frac{5}{4}\pi$ のとき、
$$h\left(\frac{5}{4}\pi\right) = \tan\left(\frac{5}{4}\pi\right) + \frac{1}{\frac{5}{4}\pi} - 1 = 1 + \frac{4}{5\pi} - 1 = \frac{4}{5\pi}$$
$\frac{4}{5\pi} > 0$ であるから、したがって $h\left(\frac{5}{4}\pi\right) > 0$ となる。
以上より、
$$h(\pi) < 0 < h\left(\frac{5}{4}\pi\right)$$
が成り立つ。 関数 $h(x)$ は閉区間 $\left[\pi, \frac{5}{4}\pi\right]$ で連続であるため、中間値の定理より
$$h(c) = 0$$
を満たす実数 $c$ が開区間 $\left(\pi, \frac{5}{4}\pi\right)$ に少なくとも1つ存在する。 $h(c) = 0$ は $g(c) - 1 = 0$、すなわち $g(c) = 1$ と同値であるから、方程式 $g(x) = 1$ は区間 $\left(\pi, \frac{5}{4}\pi\right)$ に解をもつことが示された。
解説
微分法を用いた接線の方程式の導出と、中間値の定理を用いた方程式の解の存在証明を組み合わせた、微分積分の基本事項を問う標準的な問題である。 (1)では、接線の方程式を立ててから原点を通る条件を立式し、与えられた関係式 $g(a) = 1$ と同値変形を行って結びつける方針をとれば迷うことはない。式変形の際に $a \neq 0$ および $\cos a \neq 0$ であることが保証されていることを意識できるとより論理的である。 (2)は中間値の定理の典型的な適用例である。中間値の定理を記述する際は、ただ端点の符号が逆になることだけを計算するのではなく、「対象となる関数がその閉区間において連続であること」を明記することが必須である。ここを欠かすと減点対象となるため注意したい。
答え
(1) 題意の通り証明された。(解答の通り、接線が原点を通る条件と $g(a)=1$ が同値となることを示した)
(2) 題意の通り証明された。($h(x) = g(x) - 1$ とおき、中間値の定理により $h(c)=0$ となる $c$ が存在することを示した)
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