数学3 最大最小・解の個数 問題 64 解説

方針・初手
(1) は、2変数 $x, y$ の関係式 $x+y=c$ が与えられているもとでの最小値問題である。与式を展開し、相加平均と相乗平均の大小関係を用いて積 $xy$ の最大値を考える方針をとる。
(2) は、3変数 $x, y, z$ の関係式 $x+y+z=1$ が与えられているもとでの最大値問題である。多変数の最大・最小問題では、一部の変数を固定して考える「予選決勝法」が有効である。ここでは $z$ を固定することで、(1) の結果を直接利用する。
解法1
(1)
与えられた式を展開する。
$$\left(1+\frac{1}{x}\right)\left(1+\frac{1}{y}\right) = 1 + \frac{1}{x} + \frac{1}{y} + \frac{1}{xy}$$
$$= 1 + \frac{x+y}{xy} + \frac{1}{xy}$$
条件より $x+y=c$ であるから、次のように変形できる。
$$1 + \frac{c+1}{xy}$$
$x$、$y$ は正の実数であるから、相加平均と相乗平均の大小関係より、以下の不等式が成り立つ。
$$x+y \geqq 2\sqrt{xy}$$
$$c \geqq 2\sqrt{xy}$$
両辺は正であるから、2乗して整理すると次のようになる。
$$xy \leqq \frac{c^2}{4}$$
等号が成立するのは、$x=y$ のとき、すなわち $x=y=\frac{c}{2}$ のときであり、これは $x>0, y>0$ を満たす。
$c$ は正の定数であるから、$c+1>0$ である。したがって、$1 + \frac{c+1}{xy}$ は分母の $xy$ が最大のとき、全体として最小となる。
$xy$ の最大値は $\frac{c^2}{4}$ であるから、求める最小値は以下のように計算できる。
$$1 + \frac{c+1}{\frac{c^2}{4}} = 1 + \frac{4(c+1)}{c^2} = \frac{c^2+4c+4}{c^2} = \frac{(c+2)^2}{c^2}$$
(2)
与えられた式を $P$ とおく。
$$P = \left(1+\frac{1}{x}\right)\left(1+\frac{1}{y}\right)\left(1-\frac{4}{3z}\right)$$
$x, y, z$ は正の実数であり、$x+y+z=1$ を満たすから、$z = 1 - (x+y) < 1$ となり、$0 < z < 1$ である。 このとき、第3因数について以下が成り立つ。
$$1 - \frac{4}{3z} = \frac{3z-4}{3z}$$
$0 < z < 1$ であるから $3z-4 < 0$ であり、$1 - \frac{4}{3z} < 0$ である。
ここで $z$ を固定して考える。 $x+y = 1-z$ であり、$0 < z < 1$ より $1-z > 0$ であるから、(1) において $c = 1-z$ とした場合の結果を利用できる。
$\left(1+\frac{1}{x}\right)\left(1+\frac{1}{y}\right)$ は正の値をとるため、負の定数 $\left(1-\frac{4}{3z}\right)$ を掛けた $P$ が最大となるのは、$\left(1+\frac{1}{x}\right)\left(1+\frac{1}{y}\right)$ が最小となるときである。
(1) の結果に $c = 1-z$ を代入すると、その最小値は以下のようになる。
$$\frac{(1-z+2)^2}{(1-z)^2} = \frac{(z-3)^2}{(z-1)^2}$$
したがって、$z$ を固定したときの $P$ の最大値 $f(z)$ は次のように表される。
$$f(z) = \frac{(z-3)^2}{(z-1)^2} \left(1 - \frac{4}{3z}\right)$$
これを $0 < z < 1$ の範囲で最大化する。$f(z)$ を $z$ で微分する。積の微分公式を用いる。
$$f'(z) = \left\{ \frac{(z-3)^2}{(z-1)^2} \right\}' \left(1 - \frac{4}{3z}\right) + \frac{(z-3)^2}{(z-1)^2} \left(1 - \frac{4}{3z}\right)'$$
ここで各項の微分は以下の通りである。
$$\left\{ \frac{(z-3)^2}{(z-1)^2} \right\}' = \frac{2(z-3) \cdot 1 \cdot (z-1)^2 - (z-3)^2 \cdot 2(z-1) \cdot 1}{(z-1)^4} = \frac{2(z-3)\{(z-1) - (z-3)\}}{(z-1)^3} = \frac{4(z-3)}{(z-1)^3}$$
$$\left(1 - \frac{4}{3z}\right)' = \frac{4}{3z^2}$$
これらを代入して整理する。
$$f'(z) = \frac{4(z-3)}{(z-1)^3} \cdot \frac{3z-4}{3z} + \frac{(z-3)^2}{(z-1)^2} \cdot \frac{4}{3z^2}$$
$$= \frac{4(z-3)}{3z^2(z-1)^3} \left\{ z(3z-4) + (z-3)(z-1) \right\}$$
$$= \frac{4(z-3)}{3z^2(z-1)^3} (3z^2 - 4z + z^2 - 4z + 3)$$
$$= \frac{4(z-3)}{3z^2(z-1)^3} (4z^2 - 8z + 3)$$
$$= \frac{4(z-3)(2z-1)(2z-3)}{3z^2(z-1)^3}$$
$0 < z < 1$ の範囲において、$z-3 < 0$、$2z-3 < 0$、$z^2 > 0$、$(z-1)^3 < 0$ であるため、これらから構成される以下の部分の符号は常に負である。
$$\frac{4(z-3)(2z-3)}{3z^2(z-1)^3} < 0$$
したがって、$f'(z)$ の符号は $-(2z-1)$ の符号と一致する。 $f'(z) = 0$ となるのは $z = \frac{1}{2}$ のときである。
$0 < z < \frac{1}{2}$ のとき、$2z-1 < 0$ より $f'(z) > 0$ $\frac{1}{2} < z < 1$ のとき、$2z-1 > 0$ より $f'(z) < 0$
ゆえに、$f(z)$ は $z = \frac{1}{2}$ のとき極大かつ最大となる。 その最大値は次のように計算できる。
$$f\left(\frac{1}{2}\right) = \frac{\left(\frac{1}{2}-3\right)^2}{\left(\frac{1}{2}-1\right)^2} \left(1 - \frac{4}{3 \cdot \frac{1}{2}}\right) = \frac{\left(-\frac{5}{2}\right)^2}{\left(-\frac{1}{2}\right)^2} \left(1 - \frac{8}{3}\right) = \frac{\frac{25}{4}}{\frac{1}{4}} \cdot \left(-\frac{5}{3}\right) = 25 \cdot \left(-\frac{5}{3}\right) = -\frac{125}{3}$$
解説
多変数関数の最大・最小問題における定石である「予選決勝法(1文字固定法)」を問う問題である。
(1) は前段の小問として、相加平均と相乗平均の大小関係を用いた基本的な変形が求められている。
(2) では $z$ を固定して考えることがポイントである。その際、掛ける式 $\left(1-\frac{4}{3z}\right)$ が常に負であることに気づけるかが明暗を分ける。「正の部分が最小となるとき、負の数を掛けた全体は最大となる」という論理構造を正確に記述する必要がある。最後に得られる1変数関数の微分はやや煩雑であるが、共通因数で括って計算を進めることでミスの少ない因数分解が可能である。
答え
(1)
$$\frac{(c+2)^2}{c^2}$$
(2)
$$-\frac{125}{3}$$
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