数学3 最大最小・解の個数 問題 77 解説

方針・初手
与えられた2つの関数のグラフが $x>0$ において共有点をもつ条件は、方程式 $f(x) = g(x)$ が $x>0$ の範囲に実数解をもつことである。この方程式を変形して定数 $a$ を片辺に分離し、関数 $y=h(x)$ のグラフと直線 $y=a$ の共有点の個数を調べる問題に帰着させる。
解法1
$x>0$ において、$f(x) = g(x)$ より
$$\frac{\cos x}{x} = \sin x + ax$$
両辺を $x$ で割ると、次のように定数 $a$ を分離できる。
$$a = \frac{\cos x - x \sin x}{x^2}$$
ここで、関数 $h(x) = \frac{\cos x - x \sin x}{x^2}$ $(x>0)$ を定義する。求める条件は、曲線 $y=h(x)$ と直線 $y=a$ が $x>0$ において共有点をちょうど3つもつことである。
関数 $h(x)$ を微分すると、
$$\begin{aligned} h'(x) &= \frac{(-\sin x - \sin x - x \cos x)x^2 - (\cos x - x \sin x) \cdot 2x}{x^4} \\ &= \frac{-2x\sin x - x^2\cos x - 2\cos x + 2x\sin x}{x^3} \\ &= -\frac{x^2+2}{x^3}\cos x \end{aligned}$$
$x>0$ より $\frac{x^2+2}{x^3} > 0$ であるから、$h'(x)$ の符号は $-\cos x$ の符号と一致する。 $h'(x) = 0$ となる $x>0$ は、$\cos x = 0$ より $x = \frac{2n+1}{2}\pi$ ($n=0, 1, 2, \dots$) である。
$x = \frac{2n+1}{2}\pi$ の前後での $h'(x)$ の符号変化を調べることで、極値を以下のように分類できる。
(i) 極大値について $n$ が奇数のとき、$n = 2k-1$ ($k=1, 2, 3, \dots$) とおくと $x = \frac{4k-1}{2}\pi$ である。 この前後で $-\cos x$ は正から負へと変わるため、$h(x)$ は極大となる。 第 $k$ 番目の極大値を $M_k$ とおくと、
$$M_k = h\left(\frac{4k-1}{2}\pi\right) = \frac{0 - \frac{4k-1}{2}\pi \cdot (-1)}{\left(\frac{4k-1}{2}\pi\right)^2} = \frac{2}{(4k-1)\pi}$$
これにより、極大値の列は $M_1 > M_2 > M_3 > \cdots > 0$ であり、単調に減少して $0$ に収束することが分かる。具体的には $M_1 = \frac{2}{3\pi}$, $M_2 = \frac{2}{7\pi}$ である。
(ii) 極小値について $n$ が偶数のとき、$n = 2k$ ($k=0, 1, 2, \dots$) とおくと $x = \frac{4k+1}{2}\pi$ である。 この前後で $-\cos x$ は負から正へと変わるため、$h(x)$ は極小となる。 第 $k$ 番目の極小値を $m_k$ とおくと、
$$m_k = h\left(\frac{4k+1}{2}\pi\right) = \frac{0 - \frac{4k+1}{2}\pi \cdot 1}{\left(\frac{4k+1}{2}\pi\right)^2} = -\frac{2}{(4k+1)\pi}$$
これにより、極小値の列は $m_0 < m_1 < m_2 < \cdots < 0$ であり、単調に増加して $0$ に収束することが分かる。具体的には $m_0 = -\frac{2}{\pi}$, $m_1 = -\frac{2}{5\pi}$ である。
また、区間の端点における極限は次のようになる。
$$\lim_{x \to +0} h(x) = \lim_{x \to +0} \left( \frac{\cos x}{x^2} - \frac{\sin x}{x} \right) = \infty$$
$$\lim_{x \to \infty} h(x) = 0$$
以上の情報から、$y=h(x)$ のグラフは $x \to +0$ で正の無限大から減少し、$x$ 軸をまたぎながら極小と極大を交互に繰り返し、$x \to \infty$ で $0$ に収束する減衰振動の概形をもつ。
このグラフと直線 $y=a$ の共有点の個数を $a$ の値によって場合分けして数える。
(ア) $a > 0$ の場合 $y=h(x)$ は $x \to +0$ で $\infty$ となるため、区間 $\left(0, \frac{\pi}{2}\right)$ において直線 $y=a$ と必ず1つの共有点をもつ。 したがって、残りの共有点がちょうど2つとなればよい。極大値の列が単調減少することから、直線 $y=a$ が一番高い山である $M_1$ の部分でのみ2回交わり、二番目に高い山である $M_2$ には届かない条件を求めればよい。 これは $M_2 < a < M_1$ と表される。
$$\frac{2}{7\pi} < a < \frac{2}{3\pi}$$
(イ) $a < 0$ の場合 $y=h(x)$ は区間 $\left(0, \frac{\pi}{2}\right)$ において正の値をとるため、ここで共有点はもたない。 極小値の列が単調増加することから、直線 $y=a$ が交わる回数は以下のようになる。 ・$m_1 < a < m_0$ のとき、一番深い谷である $m_0$ の部分で2回交わる。 ・$a = m_1$ のとき、一番深い谷 $m_0$ の部分で2回交わり、二番目に深い谷 $m_1$ の底で接するため、合計3回交わる。 ・$m_2 < a < m_1$ のとき、$m_0$ と $m_1$ の部分でそれぞれ2回ずつ交わり、合計4回以上交わる。 したがって、共有点がちょうど3つとなるのは $a = m_1$ のときのみである。
$$a = -\frac{2}{5\pi}$$
(ウ) $a = 0$ の場合 $h(x) = 0 \iff x = \cot x$ となるが、$y=x$ と $y=\cot x$ のグラフから、この方程式は $x>0$ において無限個の実数解をもつため不適である。
以上より、求める $a$ の値および範囲が得られる。
解説
方程式の実数解の個数を問う問題において、「定数分離」を用いる典型かつ重要な問題である。三角関数と多項式が混ざった関数の微分では計算が煩雑になりがちだが、本問では $h'(x)$ の分子が見事に因数分解され、極値をとる $x$ が等差数列として綺麗に求まるよう設計されている。 減衰振動するグラフとの交点数を数える際は、すべての極値(山の高さ、谷の深さ)を求めるのではなく、数列として単調性を持つことを見抜き、交点数が変化する境界となる極大値・極小値をピックアップして比較することがポイントである。
答え
$a = -\frac{2}{5\pi}$ または $\frac{2}{7\pi} < a < \frac{2}{3\pi}$
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