数学3 最大最小・解の個数 問題 79 解説

方針・初手
(1) は半円の中心をとり、おうぎ形と三角形の面積の和として計算するのが最も簡明である。 (2) は「折り返し」という操作を図形的にどう解釈するかが問われる。極座標を用いた積分で考えることで、対称移動を数式として厳密に処理できる。 (3) は (1) と (2) の結果から $S(\theta)$ を立式し、$\theta$ で微分して最大値を求める。倍角の公式を用いて $\cos 2\theta$ の方程式に帰着させる典型的な処理を行う。
解法1
(1)
半円の中心をOとすると、半径は1であるから $\text{OA} = \text{OP} = 1$ である。 円周角と中心角の定理より、$\angle \text{POB} = 2\angle \text{PAB} = 2\theta$ となる。 求める面積 $T(\theta)$ は、おうぎ形OPBと $\triangle \text{OAP}$ の面積の和として計算できる。
おうぎ形OPBの面積は以下のようになる。
$$\frac{1}{2} \cdot 1^2 \cdot 2\theta = \theta$$
$\triangle \text{OAP}$ の面積は以下のようになる。
$$\frac{1}{2} \cdot \text{OA} \cdot \text{OP} \cdot \sin(\pi - 2\theta) = \frac{1}{2} \cdot 1 \cdot 1 \cdot \sin 2\theta = \frac{1}{2} \sin 2\theta$$
したがって、$T(\theta)$ はこれらを足し合わせて次のように求まる。
$$T(\theta) = \theta + \frac{1}{2} \sin 2\theta$$
(2)
面積 $T(\theta)$ を持つ領域は、点Aを中心として半円を角 $\theta$ だけ回転させたときの面積の増分に相当する。 弦APを折り目として半円を折り返したとき、重なる部分 $S(\theta)$ は、弦APより上側の弓形をAPで折り返した図形と、弦APより下側の元の図形の共通部分である。
弦APより上側にある弓形APを、点Aを中心に角 $2\theta$ だけ時計回りに回転移動させると、元の半円の弦APより下側の弓形と一致する。 円の対称性より、弓形APを弦APを軸として折り返した図形は、この回転移動後の図形と合同であり、元の半円における偏角 $\theta$ から $2\theta$ の部分に相当する。 したがって、$S(\theta)$ は偏角 $2\theta$ までの面積 $T(2\theta)$ から偏角 $\theta$ までの面積 $T(\theta)$ を引いたものに等しくなる。
$$S(\theta) = T(2\theta) - T(\theta)$$
(3)
(2) の結果と (1) の式より、$S(\theta)$ を具体的に記述する。
$$\begin{aligned} S(\theta) &= T(2\theta) - T(\theta) \\ &= \left( 2\theta + \frac{1}{2} \sin 4\theta \right) - \left( \theta + \frac{1}{2} \sin 2\theta \right) \\ &= \theta + \frac{1}{2} \sin 4\theta - \frac{1}{2} \sin 2\theta \end{aligned}$$
両辺を $\theta$ で微分する。
$$S'(\theta) = 1 + 2\cos 4\theta - \cos 2\theta$$
倍角の公式 $\cos 4\theta = 2\cos^2 2\theta - 1$ を用いて変形する。
$$\begin{aligned} S'(\theta) &= 1 + 2(2\cos^2 2\theta - 1) - \cos 2\theta \\ &= 4\cos^2 2\theta - \cos 2\theta - 1 \end{aligned}$$
$S'(\theta) = 0$ となる $\theta$ を求めるため、$X = \cos 2\theta$ とおく。 $0 < \theta < \frac{\pi}{4}$ より $0 < 2\theta < \frac{\pi}{2}$ であるため、$0 < X < 1$ である。 二次方程式 $4X^2 - X - 1 = 0$ を解くと、以下のようになる。
$$X = \frac{1 \pm \sqrt{1 - 4 \cdot 4 \cdot (-1)}}{8} = \frac{1 \pm \sqrt{17}}{8}$$
$0 < X < 1$ を満たすのは $X = \frac{1 + \sqrt{17}}{8}$ のみである。 このとき、$\cos 2\theta = \frac{1 + \sqrt{17}}{8}$ を満たす $\theta$ を $\alpha$ とおく。
$0 < 2\theta < \frac{\pi}{2}$ の範囲において $\cos 2\theta$ は単調減少するため、$\theta$ が $\alpha$ を境に増加するとき、$X = \cos 2\theta$ は $\frac{1 + \sqrt{17}}{8}$ より大きい値から小さい値へと変化する。 このとき、$4X^2 - X - 1$ の符号は正から負へと変化するため、$S'(\theta)$ も正から負へと変化する。 したがって、$S(\theta)$ は $\theta = \alpha$ で極大かつ最大となる。 よって求める値は以下の通りである。
$$\cos 2\alpha = \frac{1 + \sqrt{17}}{8}$$
解法2
(1)
点Aを極、半直線ABを始線とする極座標 $(r, \varphi)$ を考える。 ABは直径2の半円であるから、境界となる弧ABの極方程式は $r = 2\cos\varphi \ (0 \le \varphi \le \frac{\pi}{2})$ である。 面積 $T(\theta)$ は、偏角が $0 \le \varphi \le \theta$ の範囲にある領域の面積であるため、極座標の面積公式より以下のように計算できる。
$$\begin{aligned} T(\theta) &= \int_0^\theta \frac{1}{2} r^2 d\varphi \\ &= \int_0^\theta \frac{1}{2} (2\cos\varphi)^2 d\varphi \\ &= \int_0^\theta 2\cos^2\varphi d\varphi \end{aligned}$$
半角の公式を用いて積分する。
$$\begin{aligned} T(\theta) &= \int_0^\theta (1 + \cos 2\varphi) d\varphi \\ &= \left[ \varphi + \frac{1}{2} \sin 2\varphi \right]_0^\theta \\ &= \theta + \frac{1}{2} \sin 2\theta \end{aligned}$$
(2)
半円の弦APより上側の弓形部分を、弦AP(偏角 $\varphi = \theta$)を軸に対称移動した領域を考える。 移動前の偏角 $\varphi$ の点は、移動後に偏角 $\psi = 2\theta - \varphi$ の点に移る。 したがって、折り返された境界の極方程式は $r = 2\cos(2\theta - \psi)$ となる。 重なる部分 $S(\theta)$ は、図より偏角が $0 \le \psi \le \theta$ の範囲にある。 この領域の面積を積分で求めると、以下のようになる。
$$S(\theta) = \int_0^\theta \frac{1}{2} \{2\cos(2\theta - \psi)\}^2 d\psi$$
ここで $\varphi = 2\theta - \psi$ と置換すると、$d\psi = -d\varphi$ であり、積分区間は $2\theta$ から $\theta$ になる。
$$\begin{aligned} S(\theta) &= \int_{2\theta}^\theta \frac{1}{2} (2\cos\varphi)^2 (-d\varphi) \\ &= \int_\theta^{2\theta} \frac{1}{2} (2\cos\varphi)^2 d\varphi \end{aligned}$$
この定積分は、偏角が $\theta$ から $2\theta$ までの半円領域の面積を表している。
$$\begin{aligned} S(\theta) &= \int_0^{2\theta} \frac{1}{2} (2\cos\varphi)^2 d\varphi - \int_0^\theta \frac{1}{2} (2\cos\varphi)^2 d\varphi \\ &= T(2\theta) - T(\theta) \end{aligned}$$
以降の (3) の計算は解法1と同様であるため省略する。
解説
本問は、図形の対称性と面積の関係を問う良問である。 (1) の面積計算は、初等幾何的におうぎ形と三角形に分割する方法と、極座標の積分を用いる方法のいずれでも容易に導出できる。 (2) が最大の山場であり、折り返しという操作を「軸に対する対称移動」と捉え、それをいかに数式や図形の移動として処理できるかが鍵となる。図形的な直感(解法1)で $S(\theta) = T(2\theta) - T(\theta)$ を導くことも可能だが、極座標の置換積分(解法2)を用いることで、論理の飛躍なく厳密に面積の一致を示すことができる。 (3) は三角関数の微分の基本的な問題であり、倍角の公式を用いて $\cos 2\theta$ の2次方程式に帰着させる典型的な処理である。増減表をすべて書かなくとも、導関数の符号変化を論証すれば十分である。
答え
(1) $T(\theta) = \theta + \frac{1}{2} \sin 2\theta$
(2) $S(\theta) = T(2\theta) - T(\theta)$
(3) $\cos 2\alpha = \frac{1 + \sqrt{17}}{8}$
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