数学3 接線・不等式 問題 6 解説

方針・初手
不等式の証明の基本に従い、右辺と左辺の差を関数としておき、微分の知識を用いてその関数の最小値が $0$ 以上になることを示すのが最も自然なアプローチである。また、不等式を同値変形して片側を定数にし、関数の最大値を求める方針でも見通しよく解くことができる。
解法1
$x > 0$ において、関数 $f(x)$ を次のように定める。
$$f(x) = \frac{2}{e} \sqrt{x} - \log x$$
この $f(x)$ を $x$ で微分する。
$$f'(x) = \frac{2}{e} \cdot \frac{1}{2\sqrt{x}} - \frac{1}{x} = \frac{1}{e\sqrt{x}} - \frac{1}{x}$$
分母を $ex$ に通分すると、次のようになる。
$$f'(x) = \frac{\sqrt{x} - e}{ex}$$
$f'(x) = 0$ となる $x$ の値を求める。$x > 0$ より分母は正であるから、分子が $0$ になる条件を考えればよい。
$$\sqrt{x} = e$$
両辺を2乗して、$x = e^2$ を得る。 $x > 0$ における $f(x)$ の増減は以下のようになる。
- $0 < x < e^2$ のとき、$\sqrt{x} < e$ より $f'(x) < 0$
- $x = e^2$ のとき、$f'(x) = 0$
- $x > e^2$ のとき、$\sqrt{x} > e$ より $f'(x) > 0$
したがって、$f(x)$ は $x = e^2$ のとき最小値をとる。最小値 $f(e^2)$ を計算する。
$$f(e^2) = \frac{2}{e} \sqrt{e^2} - \log(e^2) = \frac{2}{e} \cdot e - 2 = 2 - 2 = 0$$
最小値が $0$ であるから、$x > 0$ のすべての範囲において $f(x) \geqq 0$ が成り立つ。
$$\frac{2}{e} \sqrt{x} - \log x \geqq 0$$
ゆえに、示したい不等式が得られる。
$$\log x \leqq \frac{2}{e} \sqrt{x}$$
解法2
$x > 0$ のとき $\sqrt{x} > 0$ であるから、与えられた不等式の両辺を $\sqrt{x}$ で割っても同値関係は保たれる。すなわち、次の不等式を示せばよい。
$$\frac{\log x}{\sqrt{x}} \leqq \frac{2}{e}$$
関数 $g(x) = \frac{\log x}{\sqrt{x}}$ ($x > 0$)とおき、この関数の最大値が $\frac{2}{e}$ 以下であることを示す。$g(x)$ を $x$ で微分する。
$$\begin{aligned} g'(x) &= \frac{(\log x)' \cdot \sqrt{x} - \log x \cdot (\sqrt{x})'}{(\sqrt{x})^2} \\ &= \frac{\frac{1}{x} \cdot \sqrt{x} - \log x \cdot \frac{1}{2\sqrt{x}}}{x} \\ &= \frac{\frac{1}{\sqrt{x}} - \frac{\log x}{2\sqrt{x}}}{x} \\ &= \frac{2 - \log x}{2x\sqrt{x}} \end{aligned}$$
$g'(x) = 0$ となる $x$ の値を求める。$x > 0$ より分母は正であるから、分子が $0$ になる条件を考えればよい。
$$2 - \log x = 0$$
$$\log x = 2$$
これより、$x = e^2$ を得る。 $x > 0$ における $g(x)$ の増減は以下のようになる。
- $0 < x < e^2$ のとき、$\log x < 2$ より $g'(x) > 0$
- $x = e^2$ のとき、$g'(x) = 0$
- $x > e^2$ のとき、$\log x > 2$ より $g'(x) < 0$
したがって、$g(x)$ は $x = e^2$ のとき最大値をとる。最大値 $g(e^2)$ を計算する。
$$g(e^2) = \frac{\log(e^2)}{\sqrt{e^2}} = \frac{2}{e}$$
$g(x)$ の最大値が $\frac{2}{e}$ であるから、$x > 0$ のすべての範囲において $g(x) \leqq \frac{2}{e}$ が成り立つ。
$$\frac{\log x}{\sqrt{x}} \leqq \frac{2}{e}$$
両辺に $\sqrt{x}$ を掛けることで、示したい不等式が得られる。
$$\log x \leqq \frac{2}{e} \sqrt{x}$$
解説
不等式 $A \geqq B$ を証明する際の最も基本的な手法は、$A - B \geqq 0$ を示すことである。解法1はこの基本に忠実なアプローチであり、多くの不等式証明問題で有効である。
解法2は、不等式を同値変形して $\frac{f(x)}{g(x)} \leqq k$ ($k$ は定数)の形に持ち込み、左辺の関数の最大値を求めるという手法である。これにより、調べるべき関数が1つにまとまり、微分後の符号判定が容易になることが多い。特に対数関数と無理関数が混ざった不等式では、片辺を定数のみにする変形を行うことで計算の見通しが良くなるケースが頻出する。
答え
$x > 0$ において、差の関数または同値変形した関数の極値(最小値 $0$、または最大値 $\frac{2}{e}$)を調べることで、題意の不等式が成り立つことが示された。
等号が成立するのは $x = e^2$ のときである。
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