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大阪大学 1974年 理系 第4問 解説

数学3/微分法数学2/指数対数テーマ/接線・法線テーマ/不等式の証明
大阪大学 1974年 理系 第4問 解説

方針・初手

(1) 2点における接線の方程式をそれぞれ立式し、それらを連立して交点の $x$ 座標 $c$ を求める。その後、$c - \frac{a+b}{2}$ を計算し、与えられた $S$ の式が作れるように式変形を行う。その際、$f''(x)$ がつねに負であるという条件から、$f'(a)$ と $f'(b)$ の大小関係が決定できることに注意する。

(2)

$f(x) = \log x$ の導関数を用いて $S$ を具体的に $a$ と $b$ の式で表す。変数が2つあるが、式の形から $t = \frac{b}{a}$ などと置き換えることで1変数の関数に帰着でき、微積分を用いて符号を判定できる。

解法1

(1)

曲線 $y = f(x)$ の点 $(a, f(a))$ における接線の方程式は

$$ y - f(a) = f'(a)(x - a) $$

$$ y = f'(a)x - a f'(a) + f(a) \cdots \text{①} $$

点 $(b, f(b))$ における接線の方程式は

$$ y = f'(b)x - b f'(b) + f(b) \cdots \text{②} $$

①と②の交点の $x$ 座標が $c$ であるから、①と②の右辺を等置して

$$ f'(a)c - a f'(a) + f(a) = f'(b)c - b f'(b) + f(b) $$

$$ \{ f'(a) - f'(b) \} c = a f'(a) - b f'(b) - f(a) + f(b) $$

ここで、$f''(x) < 0$ であるから、導関数 $f'(x)$ は単調に減少する。

$a < b$ より $f'(a) > f'(b)$ すなわち $f'(a) - f'(b) > 0$ であるため、両辺を $f'(a) - f'(b)$ で割ることができる。

$$ c = \frac{a f'(a) - b f'(b) - f(a) + f(b)}{f'(a) - f'(b)} $$

次に、$c$ と $\frac{a+b}{2}$ の大小を比較するため、差をとって計算する。

$$ \begin{aligned} c - \frac{a+b}{2} &= \frac{a f'(a) - b f'(b) - f(a) + f(b)}{f'(a) - f'(b)} - \frac{a+b}{2} \\ &= \frac{2 \{ a f'(a) - b f'(b) - f(a) + f(b) \} - (a+b) \{ f'(a) - f'(b) \}}{2 \{ f'(a) - f'(b) \}} \end{aligned} $$

分子を展開して整理すると

$$ \begin{aligned} & 2a f'(a) - 2b f'(b) - 2f(a) + 2f(b) - a f'(a) + a f'(b) - b f'(a) + b f'(b) \\ &= a f'(a) - b f'(b) + a f'(b) - b f'(a) - 2 \{ f(b) - f(a) \} \\ &= a \{ f'(a) + f'(b) \} - b \{ f'(a) + f'(b) \} - 2 \{ f(b) - f(a) \} \\ &= (a - b) \{ f'(a) + f'(b) \} - 2 \{ f(b) - f(a) \} \\ &= - 2 \left[ \frac{b-a}{2} \{ f'(a) + f'(b) \} - \{ f(b) - f(a) \} \right] \\ &= - 2S \end{aligned} $$

したがって

$$ c - \frac{a+b}{2} = \frac{-2S}{2 \{ f'(a) - f'(b) \}} = - \frac{S}{f'(a) - f'(b)} $$

$f'(a) - f'(b) > 0$ であるから、$c - \frac{a+b}{2}$ と $S$ は常に異符号となる。

(2)

$f(x) = \log x$ のとき、対数の真数条件より定義域は $x > 0$ であり、$0 < a < b$ である。

$f'(x) = \frac{1}{x}$ を $S$ の式に代入すると

$$ \begin{aligned} S &= \frac{b-a}{2} \left( \frac{1}{a} + \frac{1}{b} \right) - ( \log b - \log a ) \\ &= \frac{b-a}{2} \cdot \frac{a+b}{ab} - \log \frac{b}{a} \\ &= \frac{b^2 - a^2}{2ab} - \log \frac{b}{a} \\ &= \frac{1}{2} \left( \frac{b}{a} - \frac{a}{b} \right) - \log \frac{b}{a} \end{aligned} $$

$t = \frac{b}{a}$ とおくと、$0 < a < b$ より $t > 1$ である。このとき

$$ S = \frac{1}{2} \left( t - \frac{1}{t} \right) - \log t $$

ここで、$g(t) = \frac{1}{2} \left( t - \frac{1}{t} \right) - \log t$ とおき、$t \geqq 1$ における増減を調べる。

$$ \begin{aligned} g'(t) &= \frac{1}{2} \left( 1 + \frac{1}{t^2} \right) - \frac{1}{t} \\ &= \frac{t^2 + 1 - 2t}{2t^2} \\ &= \frac{(t-1)^2}{2t^2} \end{aligned} $$

$t > 1$ において $g'(t) > 0$ であるから、$g(t)$ は単調に増加する。

$g(1) = 0$ より、$t > 1$ において $g(t) > 0$ となる。

したがって、$S > 0$ である。

解説

抽象的な関数と具体的な関数における、接線や式の値の評価を問う微積分の標準的な問題である。

(1) は接線の方程式を立てて交点を求めるという一本道の方針で確実に解き進めることが重要である。差をとって通分した後の分子が $S$ の定数倍になることは、計算過程で自然に導かれる。また、「$f''(x)$ が負」という条件を「$f'(x)$ が単調減少」と読み換え、分母の符号を決定するために用いる論理展開は記述式において必須である。

(2) は2変数 $a, b$ を含む不等式(または符号の判定)の典型的な処理が問われている。式全体が同次式のような構造(比にのみ依存する形)になっていることに着目し、$t = \frac{b}{a}$ とおくことで1変数の関数に帰着させるのが定石である。

答え

(1)

$S > 0$ のとき $c < \frac{a+b}{2}$ $S = 0$ のとき $c = \frac{a+b}{2}$ $S < 0$ のとき $c > \frac{a+b}{2}$

(2)

$S > 0$

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