数学3 接線・不等式 問題 13 解説

方針・初手
- (1)は自然数 $n$ に関する命題であるため、数学的帰納法を用いて証明するのが自然である。
- (2)は極限の計算であるが、(1)で示した不等式を利用するよう指示がある。(1)の不等式において、$n=3$ とすることで、はさみうちの原理を適用できる形を作り出す。
- (3)は接線と法線の方程式を立てて $x$ 切片を求め、線分の長さを $a$ の式で表す。極限計算では(2)の結果を活用する。
解法1
(1)
任意の自然数 $n$ に対して、$x \geqq 0$ ならば $e^x > \frac{x^n}{n!}$ が成り立つことを、数学的帰納法で証明する。 $f_n(x) = e^x - \frac{x^n}{n!}$ とおき、$x \geqq 0$ において $f_n(x) > 0$ であることを示す。
(i) $n=1$ のとき
$$f_1(x) = e^x - x$$
であるから、これを微分すると
$$f_1'(x) = e^x - 1$$
$x > 0$ において $e^x > 1$ より $f_1'(x) > 0$ である。 したがって、$f_1(x)$ は $x \geqq 0$ で単調に増加する。 また、$f_1(0) = e^0 - 0 = 1 > 0$ である。 よって、$x \geqq 0$ のとき $f_1(x) \geqq f_1(0) > 0$ となり、$e^x > x$ が成り立つ。
(ii) $n=k$ ($k$ は自然数) のとき、$x \geqq 0$ で $f_k(x) > 0$ が成り立つと仮定する。
$n=k+1$ のとき
$$f_{k+1}(x) = e^x - \frac{x^{k+1}}{(k+1)!}$$
を微分すると
$$f_{k+1}'(x) = e^x - \frac{(k+1)x^k}{(k+1)!} = e^x - \frac{x^k}{k!} = f_k(x)$$
帰納法の仮定より、$x \geqq 0$ において $f_k(x) > 0$ であるから、$f_{k+1}'(x) > 0$ となる。 したがって、$f_{k+1}(x)$ は $x \geqq 0$ で単調に増加する。 また、$f_{k+1}(0) = e^0 - 0 = 1 > 0$ である。 よって、$x \geqq 0$ のとき $f_{k+1}(x) \geqq f_{k+1}(0) > 0$ となり、$e^x > \frac{x^{k+1}}{(k+1)!}$ が成り立つ。
(i), (ii) より、任意の自然数 $n$ に対して、$x \geqq 0$ ならば $e^x > \frac{x^n}{n!}$ が成り立つ。
(2)
(1) の結果より、$n=3$ とすると、$x \geqq 0$ において
$$e^x > \frac{x^3}{3!} = \frac{x^3}{6}$$
が成り立つ。$x > 0$ のとき、両辺は正であるから逆数をとって
$$0 < e^{-x} < \frac{6}{x^3}$$
各辺に $x^2 (> 0)$ を掛けると
$$0 < x^2 e^{-x} < \frac{6}{x}$$
ここで、$x \to \infty$ のとき $\frac{6}{x} \to 0$ である。 したがって、はさみうちの原理より
$$\lim_{x \to \infty} x^2 e^{-x} = 0$$
(3)
$y = x e^{-x}$ を微分すると
$$y' = 1 \cdot e^{-x} + x \cdot (-e^{-x}) = (1-x)e^{-x}$$
曲線上の点 $(a, ae^{-a})$ における接線の方程式は
$$y - ae^{-a} = (1-a)e^{-a} (x - a)$$
$y=0$ とおいて $x$ 軸との交点 P の $x$ 座標を求める。$a > 1$ より $1-a \neq 0$ に注意して
$$-ae^{-a} = (1-a)e^{-a} (x - a)$$
$$x - a = \frac{-a}{1-a} = \frac{a}{a-1}$$
$$x = a + \frac{a}{a-1}$$
したがって、P の座標は $\left( a + \frac{a}{a-1}, 0 \right)$ である。
次に、点 $(a, ae^{-a})$ における法線の方程式を求める。$a > 1$ より $(1-a)e^{-a} \neq 0$ であるから、法線の傾きは $\frac{-1}{(1-a)e^{-a}} = \frac{e^a}{a-1}$ となる。 よって、法線の方程式は
$$y - ae^{-a} = \frac{e^a}{a-1} (x - a)$$
$y=0$ とおいて $x$ 軸との交点 Q の $x$ 座標を求める。
$$-ae^{-a} = \frac{e^a}{a-1} (x - a)$$
$$x - a = -a(a-1)e^{-2a}$$
$$x = a - a(a-1)e^{-2a}$$
したがって、Q の座標は $(a - a(a-1)e^{-2a}, 0)$ である。
線分 PQ の長さ $l(a)$ は
$$l(a) = \left| a + \frac{a}{a-1} - \{a - a(a-1)e^{-2a}\} \right| = \left| \frac{a}{a-1} + a(a-1)e^{-2a} \right|$$
$a > 1$ のとき、$\frac{a}{a-1} > 0$ かつ $a(a-1)e^{-2a} > 0$ であるから、絶対値記号はそのまま外れて
$$l(a) = \frac{a}{a-1} + (a^2 - a)e^{-2a} = \frac{1}{1 - \frac{1}{a}} + a^2 e^{-2a} - a e^{-2a}$$
ここで、$t = 2a$ とおくと、$a \to \infty$ のとき $t \to \infty$ であり、(2) の結果より $\lim_{t \to \infty} t^2 e^{-t} = 0$ および $\lim_{t \to \infty} t e^{-t} = 0$ が成り立つから
$$\lim_{a \to \infty} a^2 e^{-2a} = \lim_{t \to \infty} \frac{1}{4} t^2 e^{-t} = 0$$
$$\lim_{a \to \infty} a e^{-2a} = \lim_{t \to \infty} \frac{1}{2} t e^{-t} = 0$$
また、
$$\lim_{a \to \infty} \frac{1}{1 - \frac{1}{a}} = 1$$
である。 以上より
$$\lim_{a \to \infty} l(a) = 1 + 0 - 0 = 1$$
解説
- マクローリン展開の背景を持つ有名な不等式 $e^x > \frac{x^n}{n!}$ $(x>0)$ の証明と、それを利用した極限の計算である。
- (2) で $x^2 e^{-x} \to 0$ を示すためには、(1) で $n \geqq 3$ を選んで不等式を作る必要がある。$n=2$ を選んでしまうと、はさみうちの原理で 0 に収束させることができなくなる。
- (3) は微分の基本的な計算問題であるが、最終的な極限を求める際に(2)で証明した $\lim_{x \to \infty} x^2 e^{-x} = 0$ の形を意識して式変形を行う必要がある。
答え
(1) 略(証明は解答を参照)
(2) 略(証明は解答を参照)
(3) $\lim_{a \to \infty} l(a) = 1$
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