数学3 接線・不等式 問題 14 解説

方針・初手
(1) 与えられた不等式について、各辺から $1$ を引き、$x$ ($x>0$) で割ることで、$m, n$ を含む定数部分と $x$ を含む関数部分に分離します。中央の関数の $0 < x < 1$ における値域を調べ、不等式がつねに成り立つための条件を導きます。
(2) (1) で得られた $m, n$ の値を用いた不等式に対して、$x = 0.0006$ を代入し、$\sqrt{1.0006}-1$ のとり得る値の範囲を評価します。
解法1
(1)
与えられた不等式は以下の通りである。
$$1 + \frac{1}{m}x < \sqrt{1+x} < 1 + \frac{1}{n}x$$
各辺から $1$ を引くと、次のようになる。
$$\frac{1}{m}x < \sqrt{1+x} - 1 < \frac{1}{n}x$$
$0 < x < 1$ より $x > 0$ であるから、各辺を $x$ で割ると、不等号の向きは変わらず次の式を得る。
$$\frac{1}{m} < \frac{\sqrt{1+x} - 1}{x} < \frac{1}{n}$$
ここで、$f(x) = \frac{\sqrt{1+x} - 1}{x}$ とおく。分子を有理化すると、
$$\begin{aligned} f(x) &= \frac{(\sqrt{1+x} - 1)(\sqrt{1+x} + 1)}{x(\sqrt{1+x} + 1)} \\ &= \frac{(1+x) - 1}{x(\sqrt{1+x} + 1)} \\ &= \frac{x}{x(\sqrt{1+x} + 1)} \\ &= \frac{1}{\sqrt{1+x} + 1} \end{aligned}$$
$0 < x < 1$ において、$\sqrt{1+x}$ は単調に増加する正の関数であるから、分母の $\sqrt{1+x} + 1$ も単調に増加し、正の値をとる。したがって、$f(x)$ は単調に減少する関数である。
$x$ の変域の端点における極限を調べると、
$$\lim_{x \to +0} f(x) = \frac{1}{\sqrt{1+0} + 1} = \frac{1}{2}$$
$$\lim_{x \to 1-0} f(x) = \frac{1}{\sqrt{1+1} + 1} = \frac{1}{\sqrt{2} + 1} = \frac{\sqrt{2} - 1}{(\sqrt{2} + 1)(\sqrt{2} - 1)} = \sqrt{2} - 1$$
ゆえに、$0 < x < 1$ における $f(x)$ のとり得る値の範囲は次のようになる。
$$\sqrt{2} - 1 < f(x) < \frac{1}{2}$$
条件より、この範囲のすべての $f(x)$ に対して、不等式 $\frac{1}{m} < f(x) < \frac{1}{n}$ がつねに成り立つ必要十分条件は、
$$\frac{1}{m} \le \sqrt{2} - 1 \quad \text{かつ} \quad \frac{1}{2} \le \frac{1}{n}$$
である。
左側の不等式について、$m > 0, \sqrt{2}-1 > 0$ であるから、逆数をとると、
$$m \ge \frac{1}{\sqrt{2} - 1} = \sqrt{2} + 1$$
$1.4 < \sqrt{2} < 1.5$ より、$2.4 < \sqrt{2} + 1 < 2.5$ であるから、これを満たす正の整数 $m$ の最小値は $3$ である。
右側の不等式について、$n > 0$ であるから、両辺に $2n$ を掛けると、
$$n \le 2$$
これを満たす正の整数 $n$ は $1$ または $2$ であり、最大値は $2$ である。
(2)
(1) より、$m=3, n=2$ のとき、不等式 $1 + \frac{x}{3} < \sqrt{1+x} < 1 + \frac{x}{2}$ は $0 < x < 1$ においてつねに成り立つ。
各辺から $1$ を引いて、次の不等式を得る。
$$\frac{x}{3} < \sqrt{1+x} - 1 < \frac{x}{2}$$
この不等式に、$x = 0.0006$ を代入する。($0 < 0.0006 < 1$ を満たすため代入可能)
$$\frac{0.0006}{3} < \sqrt{1 + 0.0006} - 1 < \frac{0.0006}{2}$$
$$0.0002 < \sqrt{1.0006} - 1 < 0.0003$$
したがって、$\sqrt{1.0006} - 1$ の値は $0.0002$ より大きく、$0.0003$ より小さい。
これを小数で表すと、$0.0002 \dots$ となる。
ゆえに、小数第4位にはじめて0でない数字が現れ、その数字は2である。
解説
(1) は無理関数を含む不等式の成立条件を求める問題です。不等式を変形して定数を分離し、関数の値域と比較する解法が有効です。関数の単調性を示す際、微分を用いてもよいですが、本問のように分子の有理化を行うことで代数的な考察のみで容易に単調減少であることを示せます。条件が「つねに成り立つ」ことと同値になるように、極限値との間に等号を含めること($\frac{1}{m} \le \lim_{x \to 1} f(x)$ など)に注意が必要です。
(2) は、(1) で証明した不等式を用いて具体的な数値の近似値を評価する、誘導形式の典型的な問題です。$x = 0.0006$ と見抜くことができれば、計算自体は平易です。
答え
(1) $m$ の最小値は $3$、$n$ の最大値は $2$
(2) 小数第4位、数字は2
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