トップ 基礎問題 数学3 微分法 接線・不等式 問題 25

数学3 接線・不等式 問題 25 解説

数学3 接線・不等式 問題 25 解説

方針・初手

証明すべき不等式の両辺の差をとって $t$ の関数とみなし、微分して増減を調べる方針が基本となります。または、不等式の持つ図形的な意味(2点を結ぶ線分と曲線の位置関係)に着目し、平均値の定理を利用して証明することもできます。

解法1

$F(t) = (1-t)f(a) + tf(b) - f((1-t)a + tb)$ とおく。$t$ は $0 \leqq t \leqq 1$ の範囲を動く。

$F(t)$ を $t$ で微分すると、

$$F'(t) = -f(a) + f(b) - (b-a)f'((1-t)a + tb)$$

さらにもう一度 $t$ で微分すると、合成関数の微分より、

$$F''(t) = -(b-a)^2 f''((1-t)a + tb)$$

となる。

問題の条件より常に $f''(x) > 0$ であり、$a < b$ より $b-a \neq 0$ であるから、すべての $t$ ($0 \leqq t \leqq 1$) に対して $F''(t) < 0$ が成り立つ。

したがって、$F'(t)$ は $0 \leqq t \leqq 1$ において単調に減少する。

また、関数 $F(t)$ の定義から両端の値を計算すると、

$$F(0) = f(a) - f(a) = 0$$

$$F(1) = f(b) - f(b) = 0$$

である。

$F(0) = F(1) = 0$ であり、$F(t)$ は連続かつ微分可能であるから、ロルの定理により $F'(c) = 0$ を満たす $c$ ($0 < c < 1$) が存在する。

$F'(t)$ は単調減少であるから、 $0 \leqq t < c$ のとき $F'(t) > F'(c) = 0$ $c < t \leqq 1$ のとき $F'(t) < F'(c) = 0$ となる。

これにより、$F(t)$ は $0 \leqq t \leqq c$ で単調に増加し、$c \leqq t \leqq 1$ で単調に減少することがわかる。

増減を考えると、$F(t)$ は $t=c$ で最大値をとり、最小値は区間の両端点 $t=0$ または $t=1$ の値となる。

$F(0) = F(1) = 0$ であるから、$0 \leqq t \leqq 1$ における $F(t)$ の最小値は $0$ である。

よって、$0 \leqq t \leqq 1$ のすべての $t$ において $F(t) \geqq 0$ が成り立つ。

すなわち、

$$(1-t)f(a) + tf(b) - f((1-t)a + tb) \geqq 0$$

$$f((1-t)a + tb) \leqq (1-t)f(a) + tf(b)$$

が示された。

等号が成り立つのは $F(t) = 0$ となるときであり、増減からこれは $t=0$ または $t=1$ の場合である。

解法2

$t=0$ または $t=1$ のとき、与えられた不等式の両辺は等しくなり、等号が成り立つ。

以下、$0 < t < 1$ の場合を考える。

$x = (1-t)a + tb$ とおくと、$x = a + t(b-a)$ と変形できる。$a < b$ かつ $0 < t < 1$ であるから、$a < x < b$ である。

また、$t$ と $1-t$ を $x$ を用いて表すと、$t = \frac{x-a}{b-a}$、$1-t = \frac{b-x}{b-a}$ となる。

これらを示すべき不等式の右辺に代入すると、

$$(1-t)f(a) + tf(b) = \frac{b-x}{b-a}f(a) + \frac{x-a}{b-a}f(b)$$

となる。したがって、示すべき不等式は次のように同値変形できる。

$$f(x) < \frac{b-x}{b-a}f(a) + \frac{x-a}{b-a}f(b)$$

両辺に正の値 $b-a$ を掛けて、

$$(b-a)f(x) < (b-x)f(a) + (x-a)f(b)$$

ここで $b-a = (x-a) + (b-x)$ であるから、左辺を展開して整理すると、

$$\{(x-a) + (b-x)\}f(x) < (b-x)f(a) + (x-a)f(b)$$

$$(b-x)\{f(x) - f(a)\} < (x-a)\{f(b) - f(x)\}$$

$a < x < b$ より $x-a > 0$ かつ $b-x > 0$ であるから、両辺を $(x-a)(b-x)$ で割ると、

$$\frac{f(x) - f(a)}{x-a} < \frac{f(b) - f(x)}{b-x}$$

となる。したがって、この不等式が成り立つことを示せばよい。

関数 $f(x)$ について、区間 $[a, x]$ および $[x, b]$ において平均値の定理を用いると、

$$\frac{f(x) - f(a)}{x-a} = f'(c_1) \quad (a < c_1 < x)$$

$$\frac{f(b) - f(x)}{b-x} = f'(c_2) \quad (x < c_2 < b)$$

を満たす実数 $c_1, c_2$ が存在する。

ここで $c_1 < x < c_2$ より、$c_1 < c_2$ である。

問題の条件より常に $f''(x) > 0$ であるから、導関数 $f'(x)$ は単調増加関数である。

したがって、$c_1 < c_2$ より $f'(c_1) < f'(c_2)$ が成り立つ。

ゆえに、

$$\frac{f(x) - f(a)}{x-a} < \frac{f(b) - f(x)}{b-x}$$

が示された。これを逆にたどることで、$0 < t < 1$ において

$$f((1-t)a + tb) < (1-t)f(a) + tf(b)$$

が成り立つことがわかる。

以上より、$0 \leqq t \leqq 1$ において与式は成り立ち、等号が成立するのは $t=0, 1$ の場合であることが示された。

解説

これは、第2次導関数が常に正である関数(下に凸な関数)において成り立つ代表的な性質である「イェンゼンの不等式(2変数の場合)」を証明する問題です。

解法1は、両辺の差をとって微分するという、不等式証明の最も標準的で確実なアプローチです。定数 $a, b$ が多く含まれる式ですが、動く変数 $t$ に着目して関数を設定することがポイントです。

解法2は、不等式の図形的な意味を式に翻訳したものです。右辺は座標平面上の2点 $(a, f(a))$ と $(b, f(b))$ を結ぶ線分を $t : (1-t)$ に内分する点の $y$ 座標であり、左辺は曲線上の対応する点の $y$ 座標を表しています。平均値の定理を用いて「変化の割合(直線の傾き)」を比較する手法は、微積分における証明問題で非常に強力な武器になります。

答え

与えられた不等式が成り立つことは示された。

等号が成り立つのは、$t = 0, 1$ のとき。

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