数学3 接線・不等式 問題 28 解説

方針・初手
(1) は差を関数として設定し、微分を用いて増減を調べることで不等式を証明する。または、対数関数の差の形であることに着目し、平均値の定理を利用することも有効である。 (2) は (1) の誘導問題である。比較する2つの数が $(1+t)^{\frac{1}{t}}$ の形をしていることに着目して関数を設定し、その対数をとって微分することで (1) の不等式を活用して大小を判定する。
解法1
(1)
$$f(x) = \log\left(1+\frac{1}{x}\right) - \frac{1}{x+1} = \log(x+1) - \log x - \frac{1}{x+1}$$
とおく。 $x>0$ において $f(x)$ を微分すると、
$$\begin{aligned} f'(x) &= \frac{1}{x+1} - \frac{1}{x} + \frac{1}{(x+1)^2} \\ &= \frac{x(x+1) - (x+1)^2 + x}{x(x+1)^2} \\ &= \frac{x^2+x - (x^2+2x+1) + x}{x(x+1)^2} \\ &= \frac{-1}{x(x+1)^2} \end{aligned}$$
となる。 $x>0$ のとき $x(x+1)^2 > 0$ であるから、$f'(x) < 0$ となる。 したがって、$f(x)$ は $x>0$ において単調に減少する。 また、$\lim_{x \to \infty} \frac{1}{x} = 0$, $\lim_{x \to \infty} \frac{1}{x+1} = 0$ であるから、
$$\lim_{x \to \infty} f(x) = \log 1 - 0 = 0$$
である。 $f(x)$ は単調減少であり、かつ $x \to \infty$ で $0$ に収束するため、$x>0$ において $f(x) > 0$ が成り立つ。 ゆえに、
$$\log\left(1+\frac{1}{x}\right) > \frac{1}{x+1}$$
である。
(2)
比較する2つの数をそれぞれ $A, B$ とおく。
$$A = \left(1+\frac{2001}{2002}\right)^{\frac{2002}{2001}}, \quad B = \left(1+\frac{2002}{2001}\right)^{\frac{2001}{2002}}$$
ここで、関数 $g(t) = (1+t)^{\frac{1}{t}}$ ($t>0$) を考え、その自然対数 $h(t) = \log g(t) = \frac{\log(1+t)}{t}$ の増減を調べる。 $h(t)$ を $t$ で微分すると、商の微分法より
$$\begin{aligned} h'(t) &= \frac{\frac{1}{1+t} \cdot t - \log(1+t) \cdot 1}{t^2} \\ &= \frac{\frac{t}{1+t} - \log(1+t)}{t^2} \end{aligned}$$
となる。 (1)の不等式において、$x = \frac{1}{t}$ とおくと、$t>0$ のとき $x>0$ であり、
$$\log(1+t) > \frac{1}{\frac{1}{t}+1} = \frac{t}{1+t}$$
が成り立つ。 これより、$\frac{t}{1+t} - \log(1+t) < 0$ となるため、$t>0$ において $h'(t) < 0$ である。 したがって、$h(t)$ は $t>0$ において単調に減少する。 底 $e$ は $e>1$ であるため、$h(t) = \log g(t)$ が単調減少ならば、元の関数 $g(t)$ も $t>0$ において単調に減少する。
いま、$\frac{2001}{2002} < \frac{2002}{2001}$ であるから、
$$g\left(\frac{2001}{2002}\right) > g\left(\frac{2002}{2001}\right)$$
すなわち、$A > B$ が成り立つ。 ゆえに、
$$\left(1+\frac{2001}{2002}\right)^{\frac{2002}{2001}} > \left(1+\frac{2002}{2001}\right)^{\frac{2001}{2002}}$$
である。
解法2
(1)の別解
関数 $y = \log t$ は $t>0$ において連続かつ微分可能であり、その導関数は $y' = \frac{1}{t}$ である。 $x>0$ のとき、区間 $[x, x+1]$ において平均値の定理を用いると、
$$\frac{\log(x+1) - \log x}{(x+1) - x} = \frac{1}{c}$$
を満たす実数 $c$ が $x < c < x+1$ の範囲に存在する。 左辺を対数の性質を用いて整理すると、
$$\log\left(\frac{x+1}{x}\right) = \log\left(1+\frac{1}{x}\right)$$
となる。 一方、$x < c < x+1$ より各辺は正であるから、逆数をとると不等号の向きが反転し、
$$\frac{1}{x+1} < \frac{1}{c} < \frac{1}{x}$$
が成り立つ。 したがって、$\frac{1}{c}$ を置き換えることで
$$\frac{1}{x+1} < \log\left(1+\frac{1}{x}\right)$$
すなわち、
$$\log\left(1+\frac{1}{x}\right) > \frac{1}{x+1}$$
が示された。
解説
(1)の不等式証明は、差をとって微分し、導関数の符号から関数の増減を調べ、極限値と比較するオーソドックスな手法が確実である。一方で、対数の差の形が現れることに着目すると、平均値の定理を用いた簡潔な解法も可能となる。 (2)は(1)の結果を利用する典型的な誘導問題である。直接大小を比較することが困難な累乗の形に対して、式の構造を一般化した関数 $g(t) = (1+t)^{\frac{1}{t}}$ を設定できるかが鍵となる。さらに対数をとって微分することで、(1)で証明した不等式が導関数の中に現れるように式変形を行う発想が重要である。
答え
(1)
$$\log\left(1+\frac{1}{x}\right) > \frac{1}{x+1}$$
(2)
$$\left(1+\frac{2001}{2002}\right)^{\frac{2002}{2001}} > \left(1+\frac{2002}{2001}\right)^{\frac{2001}{2002}}$$
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