数学3 接線・不等式 問題 35 解説

方針・初手
絶対値を含む指数関数のグラフ $y=e^{|x|}$ と直線 $y=ax+b$ の共有点を考える問題である。 (1) は、グラフの概形から「曲線部分と接する場合」と「$x=0$ の尖点で唯一の共有点を持つ場合」に分けて条件を求める。 (2) は、(1) で得られた関数 $f(a)$ を用いて新しい関数 $g(a) = pa + f(a)$ の増減を調べる。パラメータ $p$ の符号によって極値をもつ区間が変わるため、場合分けを行う。
解法1
(1) ① $y = e^{|x|}$ ② $y = ax + b$
①のグラフは $y$ 軸対称であり、$x \ge 0$ では $y = e^x$、$x < 0$ では $y = e^{-x}$ である。 $x=0$ において点 $(0, 1)$ を通る。
共有点がただ1つになるための条件を、$a$ の範囲で場合分けして調べる。
(i) $-1 \le a \le 1$ のとき 点 $(0, 1)$ を通る直線 $y = ax + 1$ (すなわち $b=1$)を考えると、この直線は $-1 \le a \le 1$ の範囲において、点 $(0, 1)$ 以外のすべての $x$ で $e^{|x|} > ax + 1$ を満たす。 ($x>0$ では $e^x > x + 1 \ge ax + 1$、$x<0$ では $e^{-x} > -x + 1 \ge ax + 1$ であるため) よって、$b=1$ のとき共有点はただ1つである。 $b < 1$ のときは共有点を持たず、$b > 1$ のときは $x>0$ と $x<0$ の領域でそれぞれ1つずつ(計2つ)の共有点を持つため、条件を満たさない。
(ii) $a > 1$ のとき 直線②の傾きが $1$ より大きいため、$x > 0$ の範囲の曲線 $y = e^x$ と接するときにただ1つの共有点を持つ。 (このとき、$x < 0$ の範囲では $e^{-x} > ax + b$ となり交わらない) 接点を $(t, e^t)$ ($t > 0$) とおくと、接線の方程式は $y' = e^x$ より、
$$y - e^t = e^t(x - t) \iff y = e^t x + e^t(1 - t)$$
これが $y = ax + b$ と一致するので、係数を比較して、
$$a = e^t, \quad b = e^t(1 - t)$$
$a = e^t$ より $t = \log a$ である。これを $b$ の式に代入して、
$$b = a(1 - \log a)$$
(iii) $a < -1$ のとき 対称性から、(ii) と同様に $x < 0$ の範囲の曲線 $y = e^{-x}$ と接するときにただ1つの共有点を持つ。 接点を $(-t, e^t)$ ($t > 0$) とおくと、接線の方程式は $y' = -e^{-x}$ より、
$$y - e^t = -e^{-(-t)}(x - (-t)) \iff y = -e^t x + e^t(1 - t)$$
これと $y = ax + b$ の係数を比較して、
$$a = -e^t, \quad b = e^t(1 - t)$$
$a = -e^t$ より $t = \log(-a)$ である。これを代入して、
$$b = -a(1 - \log(-a))$$
以上より、$b$ を $a$ で表した関数は以下のようになる。
$$b = \begin{cases} -a(1 - \log(-a)) & (a < -1) \\ 1 & (-1 \le a \le 1) \\ a(1 - \log a) & (a > 1) \end{cases}$$
このグラフを $ab$ 平面上に図示する際の形状の特徴は以下の通りである。
- $-1 \le a \le 1$ の範囲では、定数関数 $b=1$ の線分である。
- $a > 1$ の範囲では、$b' = -\log a < 0$, $b'' = -\frac{1}{a} < 0$ より、上に凸で単調に減少する曲線であり、点 $(e, 0)$ を通る。
- $a < -1$ の範囲では、$b' = \log(-a) > 0$, $b'' = \frac{1}{a} < 0$ より、上に凸で単調に増加する曲線であり、点 $(-e, 0)$ を通る。
- $a = \pm 1$ において、各区間の接線の傾きは $0$ となり、グラフはなめらかに接続される(偶関数であるため $b$ 軸対称の釣り鐘のような形状になる)。
(2) (1) で求めた関数を $b = f(a)$ とおく。 $g(a) = pa + f(a)$ とし、これの最大値を求める。 関数 $g(a)$ を区間ごとに微分すると、以下のようになる。
$$g'(a) = \begin{cases} p + \log(-a) & (a < -1) \\ p & (-1 < a < 1) \\ p - \log a & (a > 1) \end{cases}$$
$p$ の符号によって $g'(a) = 0$ となる $a$ の位置が変わるため、場合分けを行う。
(ア) $p > 0$ のとき $a > 1$ において $g'(a) = 0$ とすると、$p - \log a = 0$ より $a = e^p$ となる。 $a < e^p$ では $g'(a) > 0$、$a > e^p$ では $g'(a) < 0$ となるため、$g(a)$ は $a = e^p$ で極大かつ最大となる。 その最大値は、
$$g(e^p) = p e^p + e^p(1 - \log e^p) = p e^p + e^p(1 - p) = e^p$$
(イ) $p < 0$ のとき $a < -1$ において $g'(a) = 0$ とすると、$p + \log(-a) = 0$ より $a = -e^{-p}$ となる。 $a < -e^{-p}$ では $g'(a) > 0$、$-e^{-p} < a$ では $g'(a) < 0$ となるため、$g(a)$ は $a = -e^{-p}$ で極大かつ最大となる。 その最大値は、
$$g(-e^{-p}) = p(-e^{-p}) - (-e^{-p})(1 - \log e^{-p}) = -p e^{-p} + e^{-p}(1 + p) = e^{-p}$$
(ウ) $p = 0$ のとき $g(a) = f(a)$ であり、(1) のグラフの通り、$-1 \le a \le 1$ の範囲で最大となる。 その最大値は、
$$g(a) = 1 \quad (-1 \le a \le 1)$$
解説
絶対値を含む指数関数のグラフと直線の共有点を考察する問題である。 $y=e^{|x|}$ は $x=0$ で尖点(微分不可能な点)を持つことが最大のポイントである。直線が曲線とただ1点を共有する条件を探る際、単なる接条件だけでなく、この「尖った点」を直線が通り、かつ曲線の内側をすり抜けない条件($-1 \le a \le 1$)を見落とさないように注意したい。 (2) は(1)で求めた区分ごとに定義された関数に対して微分法を適用する標準的な問題である。パラメータ $p$ によって極値をとる区間が変わるため、導関数の符号変化を丁寧に追う必要がある。
答え
(1)
$a < -1$ のとき $b = -a(1 - \log(-a))$
$-1 \le a \le 1$ のとき $b = 1$
$a > 1$ のとき $b = a(1 - \log a)$
グラフの特徴:$ab$ 平面上において、$b$ 軸対称であり、$-1 \le a \le 1$ で $b=1$、それを超える範囲では $a=\pm e$ で $a$ 軸と交わる、なめらかに接続された上に凸の曲線となる。
(2)
$p > 0$ のとき、$a = e^p$ で最大値 $e^p$
$p = 0$ のとき、$-1 \le a \le 1$ で最大値 $1$
$p < 0$ のとき、$a = -e^{-p}$ で最大値 $e^{-p}$
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