数学3 接線・不等式 問題 42 解説

方針・初手
(1)は、与えられた不等式が1変数に関するものなので、差をとって微分し、最小値が $0$ 以上であることを示す標準的な手法をとる。 (2)は、(1)の不等式に適切な値を代入して導く方法と、(1)と同様に差をとって一方の変数を固定して微分する方法がある。 (3)は、(2)の証明過程から等号成立条件を明らかにし、$p=3$ を代入して整理する。
解法1
(1)
$$f(x) = x^p + p - 1 - px$$
とおき、$x>0$ における $f(x)$ の増減を調べる。$f(x)$ を $x$ について微分すると、
$$f'(x) = p x^{p-1} - p = p(x^{p-1} - 1)$$
$p$ は $2$ 以上の整数であり、$x>0$ であるから、$f'(x)=0$ となるのは $x=1$ のときのみである。 $x>0$ における $f(x)$ の増減表は以下のようになる。
| $x$ | $(0)$ | $\cdots$ | $1$ | $\cdots$ |
|---|---|---|---|---|
| $f'(x)$ | $-$ | $0$ | $+$ | |
| $f(x)$ | $\searrow$ | $0$ | $\nearrow$ |
表より、$f(x)$ は $x=1$ のとき最小値 $0$ をとる。したがって、$x>0$ において $f(x) \geqq 0$ が成り立つ。 すなわち、不等式 $x^p + p - 1 \geqq px$ が成り立つ。なお、等号が成立するのは $x=1$ のときである。
(2)
(1)で示した不等式において、$x = a b^{-\frac{1}{p-1}}$ を代入する。$a>0, b>0$ より $x>0$ を満たすため、(1)の不等式を適用できる。
$$\left( a b^{-\frac{1}{p-1}} \right)^p + p - 1 \geqq p \left( a b^{-\frac{1}{p-1}} \right)$$
$$a^p b^{-\frac{p}{p-1}} + p - 1 \geqq p a b^{-\frac{1}{p-1}}$$
両辺に $b^{\frac{p}{p-1}} (>0)$ を掛けると、
$$a^p b^{-\frac{p}{p-1}} \cdot b^{\frac{p}{p-1}} + (p - 1)b^{\frac{p}{p-1}} \geqq p a b^{-\frac{1}{p-1}} \cdot b^{\frac{p}{p-1}}$$
右辺の $b$ の指数を計算すると $-\frac{1}{p-1} + \frac{p}{p-1} = \frac{p-1}{p-1} = 1$ となるから、
$$a^p + (p - 1)b^{\frac{p}{p-1}} \geqq pab$$
が成り立つ。なお、等号が成立するのは $x=1$、すなわち $a b^{-\frac{1}{p-1}} = 1$ より $a = b^{\frac{1}{p-1}}$ のときである。
(3)
(2)の証明より、等式が成立するのは $a = b^{\frac{1}{p-1}}$ のときである。 $p=3$ のとき、
$$a = b^{\frac{1}{3-1}} = b^{\frac{1}{2}} = \sqrt{b}$$
となる。
解法2
(2)の別解
$b>0$ を定数とみなし、$a>0$ の関数 $g(a)$ を次のように定める。
$$g(a) = a^p + (p - 1)b^{\frac{p}{p-1}} - pab$$
$g(a)$ を $a$ について微分すると、
$$g'(a) = p a^{p-1} - pb = p(a^{p-1} - b)$$
$a>0, b>0$ より、$g'(a) = 0$ となるのは $a^{p-1} = b$、すなわち $a = b^{\frac{1}{p-1}}$ のときである。 $a>0$ における $g(a)$ の増減表は以下のようになる。
| $a$ | $(0)$ | $\cdots$ | $b^{\frac{1}{p-1}}$ | $\cdots$ |
|---|---|---|---|---|
| $g'(a)$ | $-$ | $0$ | $+$ | |
| $g(a)$ | $\searrow$ | $0$ | $\nearrow$ |
ここで、最小値は
$$\begin{aligned} g\left( b^{\frac{1}{p-1}} \right) &= \left( b^{\frac{1}{p-1}} \right)^p + (p - 1)b^{\frac{p}{p-1}} - p b^{\frac{1}{p-1}} b \\ &= b^{\frac{p}{p-1}} + (p - 1)b^{\frac{p}{p-1}} - p b^{\frac{1}{p-1} + 1} \\ &= p b^{\frac{p}{p-1}} - p b^{\frac{p}{p-1}} \\ &= 0 \end{aligned}$$
したがって、$a>0$ において $g(a) \geqq 0$ が成り立つ。 すなわち、不等式 $a^p + (p - 1)b^{\frac{p}{p-1}} \geqq pab$ が成り立つ。なお、等号が成立するのは $a = b^{\frac{1}{p-1}}$ のときである。
解説
(1)の結果を用いて(2)を示す解法1は、不等式の証明において「適切な文字の置き換えによって既知の不等式に帰着させる」という重要な発想を用いている。(2)の不等式の両辺を $b^{\frac{p}{p-1}}$ で割ることで、(1)の形が現れることに気づくのがポイントである。 一方で、解法2のように「複数の変数がある不等式では、1つの変数を動かして他の変数を固定し、関数として最小値を求める」という方針も非常に有力であり、この問題では計算量もそれほど変わらない。 また、本問の不等式は、積の形を和の形で評価する「ヤングの不等式」に関連するものである。
答え
(1) 略(証明は解法に記載の通り)
(2) 略(証明は解法に記載の通り)
(3) $a = \sqrt{b}$ (または $a = b^{\frac{1}{2}}$)
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