トップ 基礎問題 数学3 微分法 接線・不等式 問題 45

数学3 接線・不等式 問題 45 解説

数学3 接線・不等式 問題 45 解説

方針・初手

(1) 差をとって微分し、最小値が $0$ 以上であることを示す、不等式証明の定石に従う。

(2) 確率を立式すると積の形で表される。これに (1) の不等式を適用することで、積を指数関数の肩における和に変換し、上から評価する。

解法1

(1) $f(x) = e^{-x} - (1-x)$ とおく。 $x \geqq 0$ における $f(x)$ の増減を調べる。関数 $f(x)$ を $x$ で微分すると

$$f'(x) = -e^{-x} + 1$$

$x > 0$ のとき、$e^{-x} < 1$ であるから $f'(x) > 0$ となる。 したがって、$f(x)$ は $x \geqq 0$ において単調に増加する。 また、$x=0$ のとき

$$f(0) = e^0 - (1-0) = 1 - 1 = 0$$

ゆえに、$x \geqq 0$ において $f(x) \geqq 0$ が成り立つ。 よって、$1 - x \leqq e^{-x}$ が示された。

(2) $n$ 人の中からくじ引きで2人の選手を選ぶ選び方は ${}_n\text{C}_2$ 通りあり、各試合においてどの対戦が選ばれる確率も等しい。 ここで、$N = {}_n\text{C}_2 = \frac{n(n-1)}{2}$ とおく。$n \geqq 3$ であるから $N \geqq 3$ である。

$n$ 回の試合が行われるとき、起こりうるすべての試合の組み合わせは $N^n$ 通りである。 「同じ選手同士の試合が一度も起こらない」という事象は、$n$ 回の試合で選ばれる対戦がすべて異なる場合であり、その総数は $N$ 種類の対戦から $n$ 種類を選んで並べる順列の数に等しく、${}_N\text{P}_n$ 通りである。 したがって、求める確率 $P_n$ は

$$P_n = \frac{{}_N\text{P}_n}{N^n} = \frac{N(N-1)\cdots(N-n+1)}{N^n}$$

これを各項の積として変形すると

$$P_n = 1 \cdot \left(1 - \frac{1}{N}\right) \left(1 - \frac{2}{N}\right) \cdots \left(1 - \frac{n-1}{N}\right)$$

となる。 ここで、(1) で示した不等式 $1 - x \leqq e^{-x} \ (x \geqq 0)$ を用いる。 $k = 1, 2, \dots, n-1$ に対して、$x = \frac{k}{N}$ とすると $x > 0$ であるから、等号は成立せず、厳密な不等式

$$1 - \frac{k}{N} < e^{-\frac{k}{N}}$$

が成り立つ。 これを $P_n$ の各因数に適用すると

$$P_n < 1 \cdot e^{-\frac{1}{N}} \cdot e^{-\frac{2}{N}} \cdots e^{-\frac{n-1}{N}}$$

となる。右辺を指数法則を用いてまとめると

$$P_n < e^{-\left( \frac{1}{N} + \frac{2}{N} + \dots + \frac{n-1}{N} \right)} = e^{-\frac{1}{N} \sum_{k=1}^{n-1} k}$$

指数の和の部分を計算すると

$$\sum_{k=1}^{n-1} k = \frac{1}{2}(n-1)n$$

であり、$N = \frac{n(n-1)}{2}$ であるから、

$$\frac{1}{N} \sum_{k=1}^{n-1} k = \frac{2}{n(n-1)} \cdot \frac{n(n-1)}{2} = 1$$

となる。 したがって、

$$P_n < e^{-1} = \frac{1}{e}$$

が成り立つ。よって、同じ選手同士の試合が一度も起こらない確率は $\frac{1}{e}$ よりも小さいことが証明された。

解説

前問の結果を次問の評価で活用する、典型的な誘導問題である。 (1) の不等式は、関数 $y = e^{-x}$ のグラフと $x=0$ における接線 $y = 1-x$ の上下関係を表している。 (2) では、確率を積の形で表し、(1) の不等式を用いて各項を指数関数で評価することで、積を指数の和に変換する発想が鍵となる。このような「積を和に直して評価する」手法は、極限や不等式証明の問題で頻出であるため、定石として身につけておきたい。

答え

(1) 微分法により $x \geqq 0$ で $e^{-x} - (1-x) \geqq 0$ であることを示した(証明は本文参照)

(2) 求める確率を立式し、(1)の不等式を用いて積を指数関数の形に評価することで示した(証明は本文参照)

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