数学3 接線・不等式 問題 48 解説

方針・初手
(1) は陰関数の微分法を用いて接線の方程式を求め、座標軸との交点を計算する。 (2) は(1)で求めた線分 $\mathrm{A}\mathrm{B}$ の長さが点 $\mathrm{P}$ の座標によらず一定となる条件を考える。長さを $p$ などの1変数の関数として表し、それが定数関数となる条件を微分の恒等式から導くアプローチや、特定の点を代入して必要条件を絞り込むアプローチが有効である。
解法1
(1) 曲線 $C: x^r + y^r = 1$ を $x$ について微分すると、
$$r x^{r-1} + r y^{r-1} y' = 0$$
$r > 0$ であり、第1象限において $y \neq 0$ であるから、
$$y' = - \frac{x^{r-1}}{y^{r-1}}$$
点 $\mathrm{P}(p, q)$ における接線 $\ell$ の方程式は、
$$y - q = - \frac{p^{r-1}}{q^{r-1}} (x - p)$$
両辺に $q^{r-1}$ を掛けて整理すると、
$$p^{r-1} x + q^{r-1} y = p^r + q^r$$
点 $\mathrm{P}$ は曲線 $C$ 上の点であるから、$p^r + q^r = 1$ が成り立つ。よって接線 $\ell$ の方程式は、
$$p^{r-1} x + q^{r-1} y = 1$$
点 $\mathrm{A}$ は $\ell$ と $x$ 軸の交点であるから、$y=0$ として
$$p^{r-1} x = 1 \iff x = p^{1-r}$$
点 $\mathrm{B}$ は $\ell$ と $y$ 軸の交点であるから、$x=0$ として
$$q^{r-1} y = 1 \iff y = q^{1-r}$$
したがって、求める座標は以下の通りである。
$$\mathrm{A}(p^{1-r}, 0), \quad \mathrm{B}(0, q^{1-r})$$
(2) 線分 $\mathrm{A}\mathrm{B}$ の長さを $L$ とすると、
$$L^2 = (p^{1-r})^2 + (q^{1-r})^2 = p^{2-2r} + q^{2-2r}$$
$q^r = 1 - p^r$ であるから、$L^2$ を $p$ の関数 $f(p)$ とおくと、
$$f(p) = p^{2-2r} + (1 - p^r)^{\frac{2-2r}{r}} \quad (0 < p < 1)$$
線分 $\mathrm{A}\mathrm{B}$ の長さが一定であるとき、$f(p)$ は定数関数となるため、常に $f'(p) = 0$ が成り立つ。
$$\begin{aligned} f'(p) &= (2-2r) p^{1-2r} + \frac{2-2r}{r} (1 - p^r)^{\frac{2-2r}{r} - 1} \cdot (-r p^{r-1}) \\ &= (2-2r) p^{r-1} \left\{ p^{2-3r} - (1 - p^r)^{\frac{2-3r}{r}} \right\} \end{aligned}$$
$0<r<1$ より $2-2r \neq 0$、$p>0$ より $p^{r-1} > 0$ であるから、$f'(p) = 0$ が恒等的に成り立つ条件は、
$$p^{2-3r} - (1 - p^r)^{\frac{2-3r}{r}} = 0$$
すなわち、
$$\left( p^r \right)^{\frac{2-3r}{r}} = \left( 1 - p^r \right)^{\frac{2-3r}{r}}$$
ここで $\frac{2-3r}{r} \neq 0$ と仮定すると、上式より $p^r = 1 - p^r \iff p^r = \frac{1}{2}$ となり、$p$ が特定の値のときにしか成り立たず不適である。 よって、任意の $0<p<1$ で成り立つためには、指数の部分が $0$ になることが必要である。
$$\frac{2-3r}{r} = 0 \iff r = \frac{2}{3}$$
逆に $r = \frac{2}{3}$ のとき、$2-2r = \frac{2}{3} = r$ となるから、
$$L^2 = p^r + q^r = 1$$
となり、任意の点 $\mathrm{P}$ に対して線分 $\mathrm{A}\mathrm{B}$ の長さは一定($L=1$)となる。 以上より、求める $r$ の値は $r = \frac{2}{3}$ である。
解法2
(2)の別解を示す。
線分 $\mathrm{A}\mathrm{B}$ の長さを $L$ とすると、(1)より
$$L^2 = p^{2-2r} + q^{2-2r}$$
これが $p^r + q^r = 1$ を満たす任意の $p, q > 0$ に対して一定値をとる。 そこで、条件を満たす2つの点 $\mathrm{P}_1, \mathrm{P}_2$ を考える。
(i) $p^r = \frac{1}{2}, q^r = \frac{1}{2}$ のとき $p = \left(\frac{1}{2}\right)^{\frac{1}{r}}$ であり、
$$L^2 = 2 \left\{ \left(\frac{1}{2}\right)^{\frac{1}{r}} \right\}^{2-2r} = 2 \left(\frac{1}{2}\right)^{\frac{2-2r}{r}}$$
(ii) $p^r = \frac{1}{4}, q^r = \frac{3}{4}$ のとき $p = \left(\frac{1}{4}\right)^{\frac{1}{r}}, q = \left(\frac{3}{4}\right)^{\frac{1}{r}}$ であり、
$$L^2 = \left(\frac{1}{4}\right)^{\frac{2-2r}{r}} + \left(\frac{3}{4}\right)^{\frac{2-2r}{r}}$$
$L$ が一定であるためには、これら2つの値が等しくなければならない。 $X = \frac{2-2r}{r}$ とおくと、
$$2 \left(\frac{1}{2}\right)^X = \left(\frac{1}{4}\right)^X + \left(\frac{3}{4}\right)^X$$
両辺に $4^X$ を掛けて整理すると、
$$3^X - 2 \cdot 2^X + 1 = 0$$
$g(X) = 3^X - 2 \cdot 2^X + 1$ とおくと、$g'(X) = 3^X \log 3 - 2 \cdot 2^X \log 2$ となる。 $g'(X) = 0$ となる $X$ はただ1つ存在するため、$g(X)$ は高々1つの極値を持つ。 よって、$g(X) = 0$ の実数解は最大で2つである。 $g(0) = 0, g(1) = 0$ より、実数解は $X = 0, 1$ に限られる。
$X=0$ のとき、$\frac{2-2r}{r} = 0 \iff r = 1$ となるが、これは $0<r<1$ に反する。 $X=1$ のとき、$\frac{2-2r}{r} = 1 \iff r = \frac{2}{3}$ となる。 これが求める必要条件である。
十分性については、$r = \frac{2}{3}$ のとき $2-2r = r$ となるから、
$$L^2 = p^r + q^r = 1$$
となり、線分 $\mathrm{A}\mathrm{B}$ の長さが一定になることが確認できる。 よって、求める $r$ の値は $r = \frac{2}{3}$ である。
解説
(1)の接線の方程式は、陰関数の微分の基本公式に沿って導出する。結果が $p^{r-1} x + q^{r-1} y = 1$ と非常に美しい形になるため、計算に誤りがないかの指標となる。 (2)の「どこにとっても同じ」という条件の処理方針が明暗を分ける。解法1のように「関数とみなして微分し、導関数が常に $0$ になる条件を求める」方法は、計算過程で論理の飛躍が起こりにくく安全である。解法2の「特定の点を代入して必要条件から絞り込む」方法は、定数をうまく選べば計算が楽になるというメリットがあるが、最後に必ず十分性の確認を行う必要がある。 なお、$r = \frac{2}{3}$ のときの曲線 $x^{\frac{2}{3}} + y^{\frac{2}{3}} = 1$ は「アステロイド」と呼ばれる有名な曲線であり、「接線の座標軸に挟まれた部分の長さが一定」という性質を持つ。本問はこの事実を一般化した背景から作られている。
答え
(1) $\mathrm{A}(p^{1-r}, 0), \mathrm{B}(0, q^{1-r})$
(2) $r = \frac{2}{3}$
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