数学3 接線・不等式 問題 49 解説

方針・初手
(1)は、定数 $a$ に対して、関数 $f(x) = a^r + x^r - (a+x)^r$ を設定し、微分を用いて $x \geqq 0$ における最小値が $0$ 以上になることを示す。このとき、$0 < r < 1$ であることに注意して導関数の符号を調べる。
(2)は、(1)で示した2変数の場合の不等式を利用し、数学的帰納法を用いて $n$ 変数の場合へと拡張する。
解法1
(1)
$f(x) = a^r + x^r - (a+x)^r$ とおく。$x \geqq 0$ において $f(x) \geqq 0$ となることを示す。
(i) $x = 0$ のとき
$f(0) = a^r + 0^r - (a+0)^r = a^r - a^r = 0$ となり、$f(x) \geqq 0$ は成り立つ。
(ii) $x > 0$ のとき
$f(x)$ を $x$ について微分すると、
$$f'(x) = r x^{r-1} - r (a+x)^{r-1} = r \left( x^{r-1} - (a+x)^{r-1} \right)$$
となる。ここで、$a \geqq 0$ であり、$x > 0$ であるから $x \leqq a+x$ である。
また、$0 < r < 1$ より $r-1 < 0$ であるため、関数 $y = t^{r-1}$ は $t > 0$ において単調減少関数である。
したがって、$a=0$ のときは $x^{r-1} = (a+x)^{r-1}$ となり $f'(x) = 0$ となる。 $a > 0$ のときは $x < a+x$ より $x^{r-1} > (a+x)^{r-1}$ となり $f'(x) > 0$ となる。
いずれにせよ、$x > 0$ において $f'(x) \geqq 0$ であるから、$f(x)$ は $x \geqq 0$ において単調に増加する。
よって、$x \geqq 0$ において $f(x) \geqq f(0) = 0$ となり、不等式 $(a+x)^r \leqq a^r + x^r$ が成り立つことが示された。
(2)
(1)の結果を利用し、数学的帰納法により証明する。
(I) $n=1$ のとき
左辺は $(a_1)^r$、右辺は $a_1^r$ となり、両辺は等しく不等式は成り立つ。
(II) $n=m$ ($m$ は自然数) のとき、不等式が成り立つと仮定する。すなわち、
$$\left( \sum_{k=1}^m a_k \right)^r \leqq \sum_{k=1}^m a_k^r$$
が成り立つとする。
$n=m+1$ のときを考えると、
$$\left( \sum_{k=1}^{m+1} a_k \right)^r = \left( \sum_{k=1}^m a_k + a_{m+1} \right)^r$$
となる。ここで、$A = \sum_{k=1}^m a_k$、$X = a_{m+1}$ とおくと、$a_k \geqq 0$ より $A \geqq 0$、$X \geqq 0$ であるから、(1)で示した不等式 $(A+X)^r \leqq A^r + X^r$ を適用できる。
これにより、
$$\left( \sum_{k=1}^m a_k + a_{m+1} \right)^r \leqq \left( \sum_{k=1}^m a_k \right)^r + a_{m+1}^r$$
が成り立つ。さらに帰納法の仮定を用いると、
$$\left( \sum_{k=1}^m a_k \right)^r + a_{m+1}^r \leqq \sum_{k=1}^m a_k^r + a_{m+1}^r = \sum_{k=1}^{m+1} a_k^r$$
となる。したがって、
$$\left( \sum_{k=1}^{m+1} a_k \right)^r \leqq \sum_{k=1}^{m+1} a_k^r$$
となり、$n=m+1$ のときも不等式が成り立つ。
(I), (II) より、すべての自然数 $n$ について、不等式
$$\left(\sum_{k=1}^n a_k \right)^r \leqq \sum_{k=1}^n a_k^r$$
が成り立つことが示された。
解説
(1)は、変数を1つに固定して微分し、関数の増減を調べる定石通りの問題である。微分する際に $x=0$ で導関数が定義できるかどうかに注意し、$x>0$ と $x=0$ で場合分けを行うと論理的に正確な解答になる。また、$x^{r-1}$ と $(a+x)^{r-1}$ の大小関係を比較する際、指数 $r-1$ が負であることを明記して関数の単調減少性から大小を判断することが重要である。
(2)は、(1)で2つの項についての不等式が示されているため、それを $n$ 個の項に拡張する典型的な数学的帰納法の問題である。帰納法のステップで(1)をどのように適用するか(どれをひとまとめの項とみなすか)を明記すると、採点者に伝わりやすい答案となる。
答え
(1) 関数 $f(x) = a^r + x^r - (a+x)^r$ を設定し、$x \geqq 0$ で単調増加することを用いて不等式が成り立つことを示した。
(2) 数学的帰納法と(1)の結果を用いて不等式が成り立つことを示した。
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