トップ 基礎問題 数学3 微分法 接線・不等式 問題 50

数学3 接線・不等式 問題 50 解説

数学3 接線・不等式 問題 50 解説

方針・初手

(1)は、差をとって微分し、導関数の符号から関数の増減を調べる定石である。(2)は、指示通り数学的帰納法を用いる。(1)と同様に、差をとって関数をおき、その導関数が帰納法の仮定から正になることを利用する。(3)は、極限 $\lim_{x \to \infty} \frac{x^n}{e^x}$ を求めるために、(2)の不等式からはさみうちの原理を利用する。その際、(2)の不等式をそのまま用いると極限が $n!$ になってしまい求まらないため、$n$ を $n+1$ とした不等式を用いるのがポイントである。

解法1

(1)

$$f(x) = e^x - (1+x)$$

とおく。$x > 0$ において $f(x) > 0$ となることを示せばよい。 $f(x)$ を $x$ で微分すると、

$$f'(x) = e^x - 1$$

$x > 0$ のとき、$e^x > e^0 = 1$ であるから、

$$f'(x) > 0$$

となる。したがって、$f(x)$ は $x \ge 0$ において単調に増加する。 また、

$$f(0) = e^0 - (1+0) = 0$$

であるから、$x > 0$ において、

$$f(x) > f(0) = 0$$

が成り立つ。 ゆえに、$x > 0$ のとき $e^x > 1+x$ が成り立つ。

(2)

与えられた不等式を $P(n)$ とする。

(i) $n=1$ のとき 示すべき不等式は $e^x > 1+x$ となり、これは(1)により $x > 0$ のとき成り立つ。

(ii) $n=k$ ($k$ は自然数) のとき、$P(k)$ が成り立つと仮定する。すなわち、$x > 0$ において、

$$e^x > 1 + \frac{x}{1!} + \frac{x^2}{2!} + \cdots + \frac{x^k}{k!}$$

が成り立つと仮定する。 $n=k+1$ のとき、

$$g(x) = e^x - \left( 1 + \frac{x}{1!} + \frac{x^2}{2!} + \cdots + \frac{x^k}{k!} + \frac{x^{k+1}}{(k+1)!} \right)$$

とおく。$g(x)$ を $x$ で微分すると、

$$\begin{aligned} g'(x) &= e^x - \left( 0 + 1 + \frac{2x}{2!} + \cdots + \frac{kx^{k-1}}{k!} + \frac{(k+1)x^k}{(k+1)!} \right) \\ &= e^x - \left( 1 + \frac{x}{1!} + \cdots + \frac{x^{k-1}}{(k-1)!} + \frac{x^k}{k!} \right) \end{aligned}$$

となる。帰納法の仮定より、$x > 0$ において $g'(x) > 0$ が成り立つ。 したがって、$g(x)$ は $x \ge 0$ において単調に増加する。 また、

$$g(0) = 1 - (1 + 0 + \cdots + 0) = 0$$

であるから、$x > 0$ において、

$$g(x) > g(0) = 0$$

が成り立つ。すなわち、$x > 0$ のとき、

$$e^x > 1 + \frac{x}{1!} + \frac{x^2}{2!} + \cdots + \frac{x^{k+1}}{(k+1)!}$$

が成り立ち、$n=k+1$ のときも $P(n)$ は成り立つ。

(i)(ii) より、すべての自然数 $n$ について、与えられた不等式が成り立つ。

(3)

(2)で示された不等式は任意の自然数 $n$ について成り立つため、(2)の不等式において $n$ を $n+1$ と置き換えた次の不等式も $x > 0$ において成り立つ。

$$e^x > 1 + \frac{x}{1!} + \frac{x^2}{2!} + \cdots + \frac{x^n}{n!} + \frac{x^{n+1}}{(n+1)!}$$

$x > 0$ のとき、右辺の各項は正であるから、

$$e^x > \frac{x^{n+1}}{(n+1)!}$$

が成り立つ。両辺は正であるから逆数をとると、

$$0 < \frac{1}{e^x} < \frac{(n+1)!}{x^{n+1}}$$

両辺に $x^n$ ($x>0$) を掛けると、

$$0 < \frac{x^n}{e^x} < \frac{(n+1)!}{x^{n+1}} \cdot x^n$$

すなわち、

$$0 < \frac{x^n}{e^x} < \frac{(n+1)!}{x}$$

となる。ここで、$n$ は固定された自然数であるから、

$$\lim_{x \to \infty} \frac{(n+1)!}{x} = 0$$

である。したがって、はさみうちの原理より、

$$\lim_{x \to \infty} \frac{x^n}{e^x} = 0$$

となる。

解説

指数関数のマクローリン展開の有限項での打ち切りが常に下からの評価になること(テイラーの定理)、および指数関数の増加スピードが任意の多項式よりも速いことを示す、非常に有名な背景を持つ問題である。 (1)と(2)は誘導として素直な微分法と数学的帰納法の組み合わせである。 (3)では、示したい極限の分子が $x^n$ であるため、(2)の不等式をそのまま用いて $e^x > \frac{x^n}{n!}$ と評価すると、$\frac{x^n}{e^x} < n!$ となり $0$ に収束させることができない。このため、次数を1つ上げた $n+1$ までの不等式を適用してはさみうちの原理を使う必要がある。この「次数を1つ上げる」という工夫は、このタイプの極限計算における頻出の定石である。

答え

(1) 略(解説を参照)

(2) 略(解説を参照)

(3) $0$

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