トップ 基礎問題 数学3 微分法 接線・不等式 問題 54

数学3 接線・不等式 問題 54 解説

数学3 接線・不等式 問題 54 解説

方針・初手

(1) は関数の微分を行い、増減表を作成する。漸近線については $y$ 軸($x \to +0$)と、斜めの直線($x \to \infty$)を調べる。 (2) は数列のすべての項が $1$ より大きいことを示すので、数学的帰納法の利用が自然である。その際、(1) で調べた関数 $f(x)$ の単調増加性が活きる。 (3) は与えられた漸化式と不等式を証明する問題である。直接差を計算するか、平均値の定理を用いて証明する。その後、等比数列型の不等式を繰り返し用いて、はさみうちの原理で極限を求める。

解法1

(1)

$$f(x) = \frac{1}{k}\left( (k-1)x + x^{-(k-1)} \right)$$

を $x$ で微分すると、

$$f'(x) = \frac{1}{k}\left( k-1 - (k-1)x^{-k} \right) = \frac{k-1}{k}\left( 1 - \frac{1}{x^k} \right)$$

$k$ は $2$ 以上の整数であり、$x > 0$ において $f'(x) = 0$ となるのは $x^k = 1$ より $x = 1$ のときである。 $0 < x < 1$ のとき、$x^k < 1$ より $\frac{1}{x^k} > 1$ となるので、$f'(x) < 0$ である。 $x > 1$ のとき、$x^k > 1$ より $\frac{1}{x^k} < 1$ となるので、$f'(x) > 0$ である。

また、極限について、

$$\lim_{x \to +0} f(x) = \infty$$

であり、

$$f(x) - \frac{k-1}{k}x = \frac{1}{k x^{k-1}}$$

において $k \geqq 2$ より

$$\lim_{x \to \infty} \left\{ f(x) - \frac{k-1}{k}x \right\} = \lim_{x \to \infty} \frac{1}{k x^{k-1}} = 0$$

となる。 よって、増減表は以下のようになる。

$x$ $(0)$ $\cdots$ $1$ $\cdots$
$f'(x)$ $-$ $0$ $+$
$f(x)$ $\searrow$ $1$ $\nearrow$

極小値は $f(1) = 1$ である。 漸近線は、直線 $x = 0$ ($y$ 軸)および直線 $y = \frac{k-1}{k}x$ である。 グラフの概形は下図のようになる(原点付近で $y$ 軸に漸近し、$x \to \infty$ で直線 $y = \frac{k-1}{k}x$ の上側から漸近する下に凸の曲線となる)。

(2)

数学的帰納法を用いて、$x_n > 1$ を示す。

[1] $n=1$ のとき 条件より $x_1 > 1$ であるから成り立つ。

[2] $n=m$ のとき、$x_m > 1$ が成り立つと仮定する。 (1) の増減表より、$x \geqq 1$ において $f(x)$ は単調に増加する。 仮定より $x_m > 1$ であるから、

$$f(x_m) > f(1)$$

が成り立つ。$x_{m+1} = f(x_m)$ であり、(1) より $f(1) = 1$ であるため、

$$x_{m+1} > 1$$

となり、$n=m+1$ のときも成り立つ。

以上より、すべての自然数 $n$ について $x_n > 1$ である。

(3)

示すべき不等式の右辺と左辺の差をとると、

$$\frac{k-1}{k}(x_n - 1) - (x_{n+1} - 1) = \frac{k-1}{k}x_n - \frac{k-1}{k} - f(x_n) + 1$$

$$= \frac{k-1}{k}x_n + \frac{1}{k} - \frac{1}{k}\left( (k-1)x_n + \frac{1}{x_n^{k-1}} \right)$$

$$= \frac{1}{k} - \frac{1}{k x_n^{k-1}}$$

$$= \frac{1}{k}\left( 1 - \frac{1}{x_n^{k-1}} \right)$$

(2) より $x_n > 1$ であり、$k \geqq 2$ であるから、$x_n^{k-1} > 1$ となる。 したがって、$\frac{1}{x_n^{k-1}} < 1$ であり、

$$\frac{1}{k}\left( 1 - \frac{1}{x_n^{k-1}} \right) > 0$$

となる。ゆえに、

$$x_{n+1} - 1 < \frac{k-1}{k}(x_n - 1)$$

が示された。

次に極限を求める。 (2) より $x_n - 1 > 0$ であるから、得られた不等式を繰り返し用いると、

$$0 < x_n - 1 < \frac{k-1}{k}(x_{n-1} - 1) < \left(\frac{k-1}{k}\right)^2 (x_{n-2} - 1) < \cdots < \left(\frac{k-1}{k}\right)^{n-1} (x_1 - 1)$$

$k \geqq 2$ より $0 < \frac{k-1}{k} < 1$ であるため、

$$\lim_{n \to \infty} \left(\frac{k-1}{k}\right)^{n-1} = 0$$

となる。 よって、はさみうちの原理より、

$$\lim_{n \to \infty} (x_n - 1) = 0$$

したがって、

$$\lim_{n \to \infty} x_n = 1$$

解法2

(3) の前半の別解(平均値の定理の利用)

関数 $f(x)$ は $x > 0$ で微分可能である。(2) より $x_n > 1$ であるから、区間 $[1, x_n]$ において平均値の定理を用いると、

$$\frac{f(x_n) - f(1)}{x_n - 1} = f'(c)$$

を満たす実数 $c$ が $1 < c < x_n$ の範囲に存在する。 $x_{n+1} = f(x_n)$、$f(1) = 1$ であるから、

$$x_{n+1} - 1 = f'(c)(x_n - 1)$$

ここで、(1) より $f'(c) = \frac{k-1}{k}\left( 1 - \frac{1}{c^k} \right)$ である。 $c > 1$ より $0 < \frac{1}{c^k} < 1$ であるため、

$$0 < 1 - \frac{1}{c^k} < 1$$

したがって、

$$0 < f'(c) < \frac{k-1}{k}$$

が成り立つ。$x_n - 1 > 0$ であるから、両辺に $x_n - 1$ を掛けて、

$$x_{n+1} - 1 < \frac{k-1}{k}(x_n - 1)$$

が示された。

解説

ニュートン法を背景とする漸化式の典型問題である。与えられた $f(x)$ は、方程式 $x^k - 1 = 0$ (すなわち $x = \sqrt[k]{1}$)の正の解 $x=1$ を近似値計算で求める際に現れる漸化式 $x_{n+1} = x_n - \frac{x_n^k - 1}{k x_n^{k-1}}$ を整理した形になっている。 (3) の不等式の証明は、差をとって代数的に計算する手法でも難なく解けるが、平均値の定理を利用する解法(解法2)は、微分の応用として非常に見通しが良く、この種の漸化式問題で頻出の定石である。極限は、得られた不等式を漸化式とみて等比数列と結びつけ、はさみうちの原理に持ち込む王道パターンである。

答え

(1)

増減表は解答参照。

極小値 $1$ ($x = 1$ のとき)。

漸近線は、直線 $x = 0$ ($y$ 軸)および 直線 $y = \frac{k-1}{k}x$。

グラフ概形は解答の記述をもとに描画する。

(2)

(証明は解答参照)すべての自然数 $n$ について $x_n > 1$ であることが示された。

(3)

(証明は解答参照)$x_{n+1} - 1 < \frac{k-1}{k}(x_n - 1)$ が示された。

極限値は $\lim_{n \to \infty} x_n = 1$

自分の記録

ログインすると保存できます。

誤りを報告

問題文の写しミス、解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。