トップ 基礎問題 数学3 微分法 接線・不等式 問題 55

数学3 接線・不等式 問題 55 解説

数学3 接線・不等式 問題 55 解説

方針・初手

(1) は関数 $f(x) = e^{-ax} - (1-ax)$ とおき、微分を用いて $x \geqq 0$ における最小値が $0$ 以上であることを示す典型的な不等式証明である。 (2) は (1) で証明した不等式に $a = a_k$ を代入し、すべての $k$ について辺々掛け合わせることで被積分関数の上からの評価を行う。積分計算時に $b_n = 0$ となる場合について配慮する。 (3) は (2) の上からの評価に加え、積分を下から評価し、はさみうちの原理を適用する。$0 \leqq a_k \leqq 1$ を用いて $1 - a_k x \geqq 1 - x$ という評価を作り出せるかが鍵となる。

解法1

(1)

$a \geqq 0$ とする。$x \geqq 0$ において、関数 $f(x)$ を $f(x) = e^{-ax} - (1-ax)$ と定める。

$x$ で微分すると、

$$f'(x) = -ae^{-ax} + a = a(1-e^{-ax})$$

となる。

$x \geqq 0$ かつ $a \geqq 0$ より $ax \geqq 0$ であるから、$-ax \leqq 0$ となり $e^{-ax} \leqq e^0 = 1$ が成り立つ。

また $a \geqq 0$ であるから、$f'(x) = a(1-e^{-ax}) \geqq 0$ となる。したがって、$f(x)$ は $x \geqq 0$ において単調に増加する。

$x = 0$ のとき、

$$f(0) = e^0 - (1 - 0) = 0$$

であるから、$x \geqq 0$ において $f(x) \geqq f(0) = 0$ が成り立つ。すなわち、

$$1-ax \leqq e^{-ax}$$

が示された。

(2)

$0 \leqq a_k \leqq 1$ ($k=1, 2, \dots, n$) とし、$x$ の積分範囲に合わせて $0 \leqq x \leqq 1$ とする。

$a_k \geqq 0$、$x \geqq 0$ であるから、(1) の結果において $a = a_k$ とすることで

$$1 - a_k x \leqq e^{-a_k x}$$

が成り立つ。

さらに、$a_k \leqq 1$、$x \leqq 1$ より $a_k x \leqq 1$ であるから、

$$0 \leqq 1 - a_k x$$

が成り立つ。

各項が $0$ 以上であるため、これらを $k=1, 2, \dots, n$ について辺々掛け合わせても不等号の向きは変わらず、

$$\prod_{k=1}^n (1 - a_k x) \leqq \prod_{k=1}^n e^{-a_k x} = e^{-\sum_{k=1}^n a_k x} = e^{-b_n x}$$

となる。ここで $b_n = \sum_{k=1}^n a_k$ を用いた。

また、$0 \leqq a_k$ より $b_n \geqq 0$ であるから、両辺に $b_n$ を掛けると

$$I_n(x) \leqq b_n e^{-b_n x}$$

が成り立つ。これを $0$ から $1$ まで積分すると、

$$\int_0^1 I_n(x) dx \leqq \int_0^1 b_n e^{-b_n x} dx$$

となる。ここで、$b_n$ の値で場合分けをする。

(i) $b_n = 0$ のとき

$a_1 = a_2 = \cdots = a_n = 0$ であり、$I_n(x) = 0$ となる。このとき、

$$\int_0^1 I_n(x) dx = 0 \leqq 1$$

となり成り立つ。

(ii) $b_n > 0$ のとき

右辺の積分を計算すると、

$$\int_0^1 b_n e^{-b_n x} dx = \left[ -e^{-b_n x} \right]_0^1 = 1 - e^{-b_n}$$

となる。$b_n > 0$ より $e^{-b_n} > 0$ であるから $1 - e^{-b_n} < 1$ となり、

$$\int_0^1 I_n(x) dx \leqq 1 - e^{-b_n} < 1$$

が成り立つ。

(i), (ii) いずれの場合も不等式 $\int_0^1 I_n(x) dx \leqq 1$ が成り立つことが示された。

(3)

$0 \leqq a_k \leqq 1$ および $0 \leqq x \leqq 1$ において、

$$a_k x \leqq x$$

が成り立つ。両辺に $-1$ を掛けて $1$ を足すと、

$$1 - a_k x \geqq 1 - x \geqq 0$$

となる。

これを $k=1, 2, \dots, n$ について辺々掛け合わせると、

$$\prod_{k=1}^n (1 - a_k x) \geqq \prod_{k=1}^n (1 - x) = (1 - x)^n$$

となる。両辺に $b_n \geqq 0$ を掛けて、

$$I_n(x) \geqq b_n (1 - x)^n$$

を得る。これを $0$ から $1$ まで積分すると、

$$\int_0^1 I_n(x) dx \geqq \int_0^1 b_n (1 - x)^n dx$$

となる。右辺の積分を計算すると、

$$\int_0^1 b_n (1 - x)^n dx = b_n \left[ -\frac{(1 - x)^{n+1}}{n+1} \right]_0^1 = \frac{b_n}{n+1}$$

となる。

(2) の結果と合わせると、

$$\frac{b_n}{n+1} \leqq \int_0^1 I_n(x) dx \leqq 1 - e^{-b_n}$$

が成り立つ。(右側の不等式は $n \to \infty$ の極限を考えるため、$b_n > 0$ として (ii) の結果を用いた)

ここで、与えられた条件 $\lim_{n \to \infty} \frac{b_n}{n} = 1$ より、

$$\lim_{n \to \infty} \frac{b_n}{n+1} = \lim_{n \to \infty} \left( \frac{b_n}{n} \cdot \frac{n}{n+1} \right) = 1 \cdot 1 = 1$$

となる。

また、$b_n = n \cdot \frac{b_n}{n}$ であり、$n \to \infty$ のとき $b_n \to \infty$ であるから、$\lim_{n \to \infty} e^{-b_n} = 0$ となり、

$$\lim_{n \to \infty} (1 - e^{-b_n}) = 1$$

となる。

以上より、はさみうちの原理から

$$\lim_{n \to \infty} \int_0^1 I_n(x) dx = 1$$

が示された。

解説

本問は、不等式評価と極限(はさみうちの原理)を組み合わせた微分積分・極限の総合問題である。

(1) の結果を (2) で用いる流れは誘導として自然であり、関数の積を和に変換する際、指数関数の性質 $e^A e^B = e^{A+B}$ が有効に働く典型的な構成となっている。

(3) は下からの評価をどのように行うかが最大のポイントとなる。条件 $0 \leqq a_k \leqq 1$ に着目し、$1 - a_k x \geqq 1 - x$ と評価することで、容易に積分計算可能な $(1-x)^n$ の形を作り出す発想が重要である。

答え

(1) 題意の不等式は、関数 $f(x) = e^{-ax} - (1-ax)$ の単調増加性を用いて示される。

(2) 題意の不等式は、(1) の結果を各 $k$ について適用し、辺々掛け合わせて積分計算を行うことで示される。

(3) $\int_0^1 I_n(x) dx$ を下から $\frac{b_n}{n+1}$、上から $1-e^{-b_n}$ で評価し、はさみうちの原理を用いることで題意の極限が示される。

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