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数学3 接線・不等式 問題 60 解説

数学3 接線・不等式 問題 60 解説

方針・初手

(1)は与えられた定義式を素直に微分して、シグマ記号の中身を整理することで示せる。階乗の性質 $k! = k \cdot (k-1)!$ に注意して式変形を行う。 (2)はすべての自然数 $n$ についての命題なので、数学的帰納法を用いるのが定石である。その際、(1)で示した関係式 $f_{n+1}'(x) = f_n(x)$ を利用して導関数の符号から関数の増減を判定する。 (3)は(2)で得られた不等式に特定の値を代入することを考える。$a_n$ の定義式が $f_n(1)$ の式の中に現れることに着目し、はさみうちの原理を用いて極限を求める。

解法1

(1)

与えられた定義式より、

$$f_{n+1}(x) = (-1)^{n+1} \left\{ e^{-x} - 1 - \sum_{k=1}^{n+1} \frac{(-1)^k}{k!} x^k \right\}$$

両辺を $x$ で微分すると、

$$f_{n+1}'(x) = (-1)^{n+1} \left\{ -e^{-x} - \sum_{k=1}^{n+1} \frac{(-1)^k}{k!} \cdot k x^{k-1} \right\}$$

ここで、和の部分について $k! = k \cdot (k-1)!$ であるから、

$$\sum_{k=1}^{n+1} \frac{(-1)^k}{k!} \cdot k x^{k-1} = \sum_{k=1}^{n+1} \frac{(-1)^k}{(k-1)!} x^{k-1}$$

$j = k-1$ とおくと、$k=1$ のとき $j=0$、$k=n+1$ のとき $j=n$ となるので、

$$\sum_{k=1}^{n+1} \frac{(-1)^k}{(k-1)!} x^{k-1} = \sum_{j=0}^{n} \frac{(-1)^{j+1}}{j!} x^j = \frac{(-1)^1}{0!} x^0 + \sum_{j=1}^{n} \frac{(-1)^{j+1}}{j!} x^j = -1 - \sum_{j=1}^{n} \frac{(-1)^j}{j!} x^j$$

和の添え字 $j$ を $k$ に戻し、$f_{n+1}'(x)$ の式に代入すると、

$$\begin{aligned} f_{n+1}'(x) &= (-1)^{n+1} \left[ -e^{-x} - \left\{ -1 - \sum_{k=1}^{n} \frac{(-1)^k}{k!} x^k \right\} \right] \\ &= (-1)^{n+1} \left\{ -e^{-x} + 1 + \sum_{k=1}^{n} \frac{(-1)^k}{k!} x^k \right\} \\ &= -(-1)^{n} \cdot (-1) \left\{ e^{-x} - 1 - \sum_{k=1}^{n} \frac{(-1)^k}{k!} x^k \right\} \\ &= (-1)^n \left\{ e^{-x} - 1 - \sum_{k=1}^{n} \frac{(-1)^k}{k!} x^k \right\} \end{aligned}$$

したがって、$f_{n+1}'(x) = f_n(x)$ が成り立つことが示された。

(2)

数学的帰納法を用いて示す。

(i) $n=1$ のとき

$$f_1(x) = (-1)^1 \left\{ e^{-x} - 1 - \frac{-1}{1!} x \right\} = -e^{-x} + 1 - x$$

これを微分すると、$f_1'(x) = e^{-x} - 1$ となる。 $x > 0$ のとき $e^{-x} < e^0 = 1$ であるから、$f_1'(x) < 0$ となる。 したがって、$f_1(x)$ は $x \ge 0$ において単調に減少する。 また、$f_1(0) = -e^0 + 1 - 0 = 0$ であるから、$x > 0$ において

$$f_1(x) < f_1(0) = 0$$

よって、$n=1$ のとき成り立つ。

(ii) $n=m$ ($m$ は自然数)のとき、成り立っていると仮定する。 すなわち、$x > 0$ のとき $f_m(x) < 0$ であるとする。

$n=m+1$ のときを考える。(1) の結果より、

$$f_{m+1}'(x) = f_m(x)$$

帰納法の仮定から、$x > 0$ のとき $f_m(x) < 0$ であるから、$f_{m+1}'(x) < 0$ となる。 したがって、$f_{m+1}(x)$ は $x \ge 0$ において単調に減少する。 ここで、$f_{m+1}(0)$ の値を計算すると、

$$f_{m+1}(0) = (-1)^{m+1} \left\{ e^0 - 1 - \sum_{k=1}^{m+1} \frac{(-1)^k}{k!} \cdot 0^k \right\} = (-1)^{m+1} (1 - 1 - 0) = 0$$

であるから、$x > 0$ において

$$f_{m+1}(x) < f_{m+1}(0) = 0$$

よって、$n=m+1$ のときも成り立つ。

(i), (ii) より、すべての自然数 $n$ について、$x > 0$ のとき $f_n(x) < 0$ であることが示された。

(3)

$f_n(x)$ の定義式において $x=1$ とすると、

$$\begin{aligned} f_n(1) &= (-1)^n \left\{ e^{-1} - 1 - \sum_{k=1}^{n} \frac{(-1)^k}{k!} 1^k \right\} \\ &= (-1)^n \left\{ \frac{1}{e} - \left( 1 + \sum_{k=1}^{n} \frac{(-1)^k}{k!} \right) \right\} \\ &= (-1)^n \left( \frac{1}{e} - a_n \right) \end{aligned}$$

(2) より、$x=1 > 0$ であるから $f_n(1) < 0$ が成り立つ。 したがって、すべての自然数 $n$ に対して

$$(-1)^n \left( \frac{1}{e} - a_n \right) < 0$$

が成り立つ。

ここで、$n$ が偶数のとき、つまり $n=2m$ ($m$ は自然数)のとき、 $(-1)^{2m} = 1$ より

$$\frac{1}{e} - a_{2m} < 0 \quad \iff \quad \frac{1}{e} < a_{2m}$$

また、$n$ が奇数のとき、つまり $n=2m-1$ のとき、 $(-1)^{2m-1} = -1$ より

$$-\left( \frac{1}{e} - a_{2m-1} \right) < 0 \quad \iff \quad a_{2m-1} < \frac{1}{e}$$

これらより、任意の自然数 $m$ に対して

$$a_{2m-1} < \frac{1}{e} < a_{2m}$$

が成り立つ。一方、$a_{2m}$ と $a_{2m-1}$ の差を計算すると、

$$a_{2m} - a_{2m-1} = \left( 1 + \sum_{k=1}^{2m} \frac{(-1)^k}{k!} \right) - \left( 1 + \sum_{k=1}^{2m-1} \frac{(-1)^k}{k!} \right) = \frac{(-1)^{2m}}{(2m)!} = \frac{1}{(2m)!}$$

となる。不等式 $a_{2m-1} < \frac{1}{e} < a_{2m}$ の各辺から $\frac{1}{e}$ を引いて変形すると、

$$0 < a_{2m} - \frac{1}{e} < a_{2m} - a_{2m-1}$$

これに上の差の結果を代入して、

$$0 < a_{2m} - \frac{1}{e} < \frac{1}{(2m)!}$$

ここで、$m \to \infty$ のとき $\frac{1}{(2m)!} \to 0$ であるから、はさみうちの原理より

$$\lim_{m \to \infty} \left( a_{2m} - \frac{1}{e} \right) = 0$$

添え字を $n$ で書き直すと、

$$\lim_{n \to \infty} a_{2n} = \frac{1}{e}$$

解説

テイラー展開(マクローリン展開)を背景とする微積分と極限の融合問題である。 関数 $f_n(x)$ の定義式の中に現れる和の部分は、$e^{-x}$ のマクローリン展開の第 $n$ 次近似多項式であり、(2)の不等式は剰余項の符号を評価していることに相当する。

(1) はシグマ記号の扱いに慣れていれば問題なく示せる。添え字をずらして項を揃える計算は頻出である。 (2) は「ある関数が常に正(または負)」を示すために帰納法を用いる典型的なパターン。(1) の結果が誘導となっており、導関数の符号から元の関数の増減を調べるという基本操作を繰り返す構成になっている。 (3) は $x=1$ を代入することで $a_n$ が出現することに気づけるかが鍵。はさみうちの原理を適用するために、偶数番目と奇数番目で大小関係が入れ替わる性質を利用して、目標とする極限値を評価するテクニックが求められる。

答え

(1) 略(解法参照)

(2) 略(解法参照)

(3) $\lim_{n \to \infty} a_{2n} = \frac{1}{e}$

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