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数学3 無理関数 問題 5 解説

数学3 無理関数 問題 5 解説

方針・初手

無理関数の定義域をふまえ、与えられた不等式が特定の区間だけで成立する条件を、2つの関数 $y = \sqrt{x+2}$ と $y = ax+b$ のグラフの上下関係として捉えます。 連続関数の大小関係が $x=2$ を境に入れ替わることから、$x=2$ での値が一致することを利用して文字を減らします。その後、不等式を同値変形するか、微分を用いて関数の増減を調べることで、残りの文字の条件を確定させます。

解法1

$f(x) = \sqrt{x+2}$、$g(x) = ax+b$ とおく。 関数 $f(x)$ の定義域は $x+2 \ge 0$ より $x \ge -2$ である。 不等式 $f(x) > g(x)$ の解が $-2 \le x < 2$ であるための条件を考える。

$f(x)$ と $g(x)$ はともに連続関数であり、$x=2$ を境にして大小関係が入れ替わる。 もし $f(2) > g(2)$ であれば連続性より $x=2$ の右側の近傍でも $f(x) > g(x)$ となり、解が $x < 2$ にとどまらない。 もし $f(2) < g(2)$ であれば連続性より $x=2$ の左側の近傍でも $f(x) < g(x)$ となり、解に $x \to 2-0$ の範囲が含まれなくなる。 したがって、$f(2) = g(2)$ が必要である。

$$\sqrt{2+2} = 2a+b \implies 2a+b = 2$$

これより $b = 2-2a$ となる。 問題の条件より $a > 0$ かつ $b > 0$ であるから、$2-2a > 0$ より $a < 1$ となり、

$$0 < a < 1$$

を得る。このとき、元の不等式は次のように変形できる。

$$\sqrt{x+2} > a(x-2) + 2$$

$$\sqrt{x+2} - 2 > a(x-2)$$

左辺で分子の有理化を行うと、

$$\frac{x-2}{\sqrt{x+2} + 2} > a(x-2)$$

となる。解が $-2 \le x < 2$ になるよう、場合分けして条件を絞る。

(i) $-2 \le x < 2$ のとき

$x-2 < 0$ であるから、両辺を $x-2$ で割ると不等号の向きが変わり、次のようになる。

$$\frac{1}{\sqrt{x+2} + 2} < a$$

この不等式が $-2 \le x < 2$ のすべての $x$ で成り立つ必要がある。 左辺の関数は $x$ が増加すると分母が増加するため、単調減少関数である。 したがって、区間内での最大値は $x=-2$ のときの $\frac{1}{\sqrt{0}+2} = \frac{1}{2}$ となるため、不等式が常に成り立つ条件は次のように求まる。

$$a > \frac{1}{2}$$

(ii) $x = 2$ のとき

不等式の左辺・右辺ともに $0$ となり、不等式は成立しない。これは $x=2$ が解に含まれないという条件と合致する。

(iii) $x > 2$ のとき

$x-2 > 0$ であるから、両辺を $x-2$ で割ると不等号の向きはそのままとなり、次のようになる。

$$\frac{1}{\sqrt{x+2} + 2} > a$$

解が $-2 \le x < 2$ であるためには、$x > 2$ においてこの不等式が「成立しない」こと、すなわち

$$\frac{1}{\sqrt{x+2} + 2} \le a$$

が常に成り立つ必要がある。 左辺の関数は $x > 2$ において単調減少であり、$x \to 2+0$ のとき $\frac{1}{4}$ に収束する。したがって左辺のとりうる値の範囲は $0 < (\text{左辺}) < \frac{1}{4}$ であるから、不等式が常に成り立つ条件は $a \ge \frac{1}{4}$ となる。

(i) で求めた $a > \frac{1}{2}$ はこの条件を満たしている。 以上より、$0 < a < 1$ と合わせて、求める $a$ の条件は

$$\frac{1}{2} < a < 1$$

となる。このとき、求める和 $a+b$ は

$$a+b = a + (2-2a) = 2-a$$

であり、$\frac{1}{2} < a < 1$ の各辺に $-1$ を掛けて $2$ を足すと

$$1 < 2-a < \frac{3}{2}$$

となる。よって、

$$1 < a+b < \frac{3}{2}$$

である。

解法2

($x=2$ での連続性から $b = 2-2a$ および $0 < a < 1$ を導くところまでは解法1と同じ)

$f(x) = \sqrt{x+2}$、$g(x) = ax - 2a + 2$ に対して、差の関数 $h(x) = f(x) - g(x)$ を考える。 定義域は $x \ge -2$ であり、

$$h(x) = \sqrt{x+2} - a(x-2) - 2$$

である。$h(x) > 0$ の解が $-2 \le x < 2$ である条件を求める。 まず、$x=-2$ は解に含まれるため $h(-2) > 0$ が必要である。

$$h(-2) = \sqrt{0} - a(-4) - 2 = 4a - 2 > 0$$

よって $a > \frac{1}{2}$ を得る。これと $0 < a < 1$ より、$\frac{1}{2} < a < 1$ が必要条件となる。 逆にこのとき、十分条件を満たすことを微分の増減を用いて確認する。

$$h'(x) = \frac{1}{2\sqrt{x+2}} - a$$

$h'(x) = 0$ とすると、$\sqrt{x+2} = \frac{1}{2a}$ より $x = \frac{1}{4a^2} - 2$ となる。 これを $\alpha$ とおくと、$\frac{1}{2} < a < 1$ より $\frac{1}{4} < a^2 < 1$ だから $1 < \frac{1}{4a^2} < 4$ であり、$-1 < \alpha < 2$ となる。 関数 $h(x)$ は $x = \alpha$ で極大値をとる。区間ごとの符号を調べると以下のようになる。

(i) $-2 \le x \le \alpha$ のとき

$h'(x) \ge 0$ より $h(x)$ は単調増加する。 $h(-2) = 4a - 2 > 0$ であるため、この区間で常に $h(x) > 0$ となる。

(ii) $\alpha < x \le 2$ のとき

$h'(x) < 0$ より $h(x)$ は単調減少する。 $h(2) = 0$ であるため、この区間($x=2$ を除く)で常に $h(x) > 0$ となる。

(iii) $x > 2$ のとき

引き続き $h'(x) < 0$ より単調減少する。 $h(2) = 0$ であるため、この区間で常に $h(x) < 0$ となる。

以上より、$\frac{1}{2} < a < 1$ のとき、不等式 $h(x) > 0$ の解は確かに $-2 \le x < 2$ と一致する。 したがって求める $a$ の条件は $\frac{1}{2} < a < 1$ であり、$a+b = 2-a$ より $a+b$ のとりうる値の範囲は

$$1 < a+b < \frac{3}{2}$$

となる。

解説

無理不等式の解が区間で与えられた場合、両辺の関数をグラフとして視覚化し、上下関係と交点の条件に帰着させるのが定石です。 本問では、境界である $x=2$ で 2 つのグラフが交わること(等号成立)を見抜き、文字を 1 つ減らすことが最初の山場になります。 解法1のように分子の有理化を行って不等式を同値変形する手法は、微分を使わずに論理を完結できるため非常に鮮やかで、計算ミスも減らせます。一方、解法2のように数IIIの微分を用いて関数の増減からアプローチする手法は、視覚的なイメージをそのまま数式に落とし込めるため、より汎用性の高い確実な解法と言えます。

答え

$$1 < a+b < \frac{3}{2}$$

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