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東京大学 1963年 文系 第3問 解説

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東京大学 1963年 文系 第3問 解説

方針・初手

分数関数と直線の差である関数 $y = f(x) - x$ の性質を調べる問題である。 まずは (1) において $y$ を $x$ の関数として整理し、微分を用いて増減を調べ、グラフの概形を把握する。分子の次数を分母の次数より下げる(帯分数化する)ことで、漸近線が分かりやすくなり、微分の計算も容易になる。 (2) と (3) は、(1) で描いたグラフから視覚的に処理できるが、代数的な解法(方程式の実数解条件や高次不等式の解法)を選択することも可能である。

解法1

(1) $y = f(x) - x$ とおく。与えられた $f(x)$ の式を代入して整理すると、

$$ y = \frac{4x - 2}{5 - x} - x = \frac{4x - 2 - x(5 - x)}{5 - x} = \frac{x^2 - x - 2}{-(x - 5)} $$

分子を $x - 5$ で割って式を変形する。

$$ y = -\frac{(x - 5)^2 + 9(x - 5) + 18}{x - 5} = -x - 4 - \frac{18}{x - 5} $$

関数の定義域は $x \neq 5$ である。$x$ で微分すると、

$$ y' = -1 + \frac{18}{(x - 5)^2} = \frac{-(x - 5)^2 + 18}{(x - 5)^2} $$

$y' = 0$ となる $x$ の値は、$(x - 5)^2 = 18$ より $x = 5 \pm 3\sqrt{2}$ である。 これをもとに $x$ の増減表を作成すると以下のようになる。

$$ \begin{array}{c|c|c|c|c|c|c|c} \hline x & \cdots & 5 - 3\sqrt{2} & \cdots & 5 & \cdots & 5 + 3\sqrt{2} & \cdots \\ \hline y' & - & 0 & + & / & + & 0 & - \\ \hline y & \searrow & 極小 & \nearrow & / & \nearrow & 極大 & \searrow \\ \hline \end{array} $$

$x = 5 - 3\sqrt{2}$ のとき、極小値は

$$ y = -(5 - 3\sqrt{2}) - 4 - \frac{18}{-3\sqrt{2}} = -9 + 6\sqrt{2} $$

$x = 5 + 3\sqrt{2}$ のとき、極大値は

$$ y = -(5 + 3\sqrt{2}) - 4 - \frac{18}{3\sqrt{2}} = -9 - 6\sqrt{2} $$

また、$\lim_{x \to 5-0} y = \infty$、$\lim_{x \to 5+0} y = -\infty$ であり、$\lim_{x \to \pm\infty} \{y - (-x - 4)\} = 0$ となることから、漸近線は直線 $x = 5$ および 直線 $y = -x - 4$ である。 さらに、$x$ 軸との交点($y = 0$)は $x^2 - x - 2 = 0$ より $x = -1, 2$、また $y$ 軸との交点($x = 0$)は $y = -\frac{2}{5}$ である。 以上より、グラフは漸近線に近づく双曲線の一部となる。(実際の解答では以上の情報をもとにグラフを図示する)

(2) (1) の増減表およびグラフの概形から、$y$ のとりうる値の範囲は、極大値以下および極小値以上の範囲となる。したがって、

$$ y \leqq -9 - 6\sqrt{2}, \quad -9 + 6\sqrt{2} \leqq y $$

(3) $f(x) > x$ は、$y = f(x) - x > 0$ と同値である。 (1) で整理した式を用いて、

$$ \frac{x^2 - x - 2}{-(x - 5)} > 0 $$

因数分解すると、

$$ \frac{(x - 2)(x + 1)}{-(x - 5)} > 0 $$

両辺に正の値である $(x - 5)^2$ を掛けると、不等号の向きはそのままで分母を払うことができる。

$$ -(x + 1)(x - 2)(x - 5) > 0 $$

両辺に $-1$ を掛けて、

$$ (x + 1)(x - 2)(x - 5) < 0 $$

この3次不等式を解くと、

$$ x < -1, \quad 2 < x < 5 $$

これが求める範囲である。

解法2

(2) について、グラフに頼らず実数解条件を用いて解く別解を示す。

$y = \frac{x^2 - x - 2}{-(x - 5)}$ とおき、これを $x$ についての方程式とみなす。$x \neq 5$ より分母を払うと、

$$ -y(x - 5) = x^2 - x - 2 $$

整理して $x$ の2次方程式の形にする。

$$ x^2 + (y - 1)x - 5y - 2 = 0 $$

この2次方程式が $x \neq 5$ なる実数解をもつための $y$ の条件を求めればよい。 $x = 5$ を代入すると、

$$ 5^2 + (y - 1) \cdot 5 - 5y - 2 = 25 + 5y - 5 - 5y - 2 = 18 \neq 0 $$

となるため、どのような $y$ であっても $x = 5$ が解になることはない。 よって、単にこの2次方程式が実数解をもつ条件として、判別式 $D \geqq 0$ を満たせばよい。

$$ D = (y - 1)^2 - 4 \cdot 1 \cdot (-5y - 2) = y^2 - 2y + 1 + 20y + 8 = y^2 + 18y + 9 $$

$y^2 + 18y + 9 \geqq 0$ を解く。方程式 $y^2 + 18y + 9 = 0$ の解が $y = -9 \pm \sqrt{81 - 9} = -9 \pm 6\sqrt{2}$ であるから、

$$ y \leqq -9 - 6\sqrt{2}, \quad -9 + 6\sqrt{2} \leqq y $$

これが $f(x) - x$ のとりうる値の範囲である。

解説

分数関数と直線との関係を調べる典型的な総合問題である。 (1) では、分数関数の分子の次数を下げる(帯分数化する)操作が必須となる。これにより、斜め漸近線が $y = -x - 4$ であることが一目で分かり、微分の計算負担も大幅に軽減される。 (2) は (1) のグラフを利用するのが自然な流れだが、「解法2」に示したような実数解条件(判別式)に帰着させる手法も極めて重要である。グラフの描画が困難な複雑な分数関数の値域を求める際にも、この手法は威力を発揮する。 (3) の分数不等式は、分母の2乗を掛けて高次不等式に帰着させるのが定石である。計算後は、(1) のグラフの $x$ 軸との上下関係($y > 0$ となる区間)と一致しているかを確認することで、計算ミスを未然に防ぐことができる。

答え

(1)

漸近線 $x = 5$ および $y = -x - 4$ をもち、極大値 $-9 - 6\sqrt{2}$($x = 5 + 3\sqrt{2}$ のとき)、極小値 $-9 + 6\sqrt{2}$($x = 5 - 3\sqrt{2}$ のとき)をとる双曲線(図示は省略)。

(2)

$f(x) - x \leqq -9 - 6\sqrt{2}, \quad -9 + 6\sqrt{2} \leqq f(x) - x$

(3)

$x < -1, \quad 2 < x < 5$

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