東京大学 1976年 理系 第4問 解説

方針・初手
関数 $f(x)$ の極値を求めるため、導関数 $f'(x)$ を計算し、増減表を作成して最小値をとる $x$ の値を決定する。 (i) では定義域が $0 < x < 1$ で固定されているため、極小値を与える $x$ が常に区間内に存在することを確認し、その $x$ (すなわち $\alpha$)と最小値 $f(\alpha)$ を $t$ を媒介変数として表現する。その後、$t$ を消去して軌跡の方程式を求める。 (ii) では定義域が $0 < x \leqq t$ となるため、区間の右端 $t$ と、極小値を与える $x = \alpha$ の大小関係によって最小値をとる位置が変わる。$t$ の値で場合分けを行い、それぞれの区間における軌跡を求める。
解法1
関数 $f(x) = \frac{x+t}{x(1-tx)}$ を $x$ について微分する。
$$ f'(x) = \frac{1 \cdot x(1-tx) - (x+t)(1-2tx)}{x^2(1-tx)^2} $$
分子を展開して整理すると、
$$ x - tx^2 - (x - 2tx^2 + t - 2t^2x) = tx^2 + 2t^2x - t = t(x^2 + 2tx - 1) $$
となるため、導関数は次のようになる。
$$ f'(x) = \frac{t(x^2+2tx-1)}{x^2(1-tx)^2} $$
$f'(x) = 0$ とすると、$t > 0$ より $x^2 + 2tx - 1 = 0$ である。 $x > 0$ におけるこの方程式の解は $x = -t + \sqrt{t^2+1}$ のみである。
(i) $0 < t < 1$ のとき、$\sqrt{t^2+1} - t > 0$ は明らかであり、また $\sqrt{t^2+1} < t+1$ の両辺を2乗して整理すると $0 < 2t$ となり成立するため、$0 < \sqrt{t^2+1} - t < 1$ である。 よって、区間 $0 < x < 1$ において $f'(x) = 0$ となる $x$ はただ一つ存在し、これを $\alpha$ とすると $\alpha = \sqrt{t^2+1} - t$ である。 このとき、$0 < x < \alpha$ では $f'(x) < 0$、$\alpha < x < 1$ では $f'(x) > 0$ となるから、$f(x)$ は $x = \alpha$ で最小となる。
点 $(\alpha, f(\alpha))$ の座標を $(X, Y)$ とおく。
$$ X = \alpha = \sqrt{t^2+1} - t $$
これより $\alpha + t = \sqrt{t^2+1}$ となり、両辺を2乗して整理すると $2t\alpha = 1 - \alpha^2$ を得る。すなわち、
$$ t = \frac{1-X^2}{2X} $$
である。次に、$Y$ を計算する。$X = \alpha$ は $\alpha^2 + 2t\alpha - 1 = 0$ を満たすことに注意して $f(\alpha)$ に代入する。
$$ Y = f(\alpha) = \frac{\alpha+t}{\alpha(1-t\alpha)} = \frac{\alpha + \frac{1-\alpha^2}{2\alpha}}{\alpha \left( 1 - \frac{1-\alpha^2}{2} \right)} = \frac{\frac{\alpha^2+1}{2\alpha}}{\alpha \left( \frac{\alpha^2+1}{2} \right)} = \frac{1}{\alpha^2} = \frac{1}{X^2} $$
よって、点 $(X, Y)$ は曲線 $y = \frac{1}{x^2}$ 上にある。 $t$ が $0$ から $1$ に向かって動くとき、$\frac{dX}{dt} = \frac{t}{\sqrt{t^2+1}} - 1 < 0$ より $X$ は単調に減少する。 $t \to +0$ のとき $X \to 1$、$t \to 1-0$ のとき $X \to \sqrt{2}-1$ となる。 したがって、点 $(\alpha, f(\alpha))$ は、曲線 $y = \frac{1}{x^2}$ 上を、点 $(1, 1)$ から点 $(\sqrt{2}-1, 3+2\sqrt{2})$ に向かって動く。
(ii) 区間 $0 < x \leqq t$ において $f(x)$ の最小値を与える $x$ の値 $\beta$ を考える。 区間の右端 $t$ と、極小値をとる $x = \alpha$ の大小を比較する。 $\alpha - t = \sqrt{t^2+1} - 2t$ であり、$\sqrt{t^2+1}$ と $2t$ の大小は、それぞれの2乗の差 $(t^2+1) - 4t^2 = 1 - 3t^2$ の符号と一致する。
(ア)
$0 < t < \frac{1}{\sqrt{3}}$ のとき $1 - 3t^2 > 0$ より $\alpha > t$ となる。 区間 $0 < x \leqq t$ においては常に $x < \alpha$ であるから、$f'(x) < 0$ となり、$f(x)$ は単調に減少する。 よって、$x = t$ で最小となり、$\beta = t$ である。 点 $(\beta, f(\beta))$ の座標を $(X, Y)$ とおくと、$X = t$ であり、
$$ Y = f(t) = \frac{t+t}{t(1-t^2)} = \frac{2}{1-t^2} = \frac{2}{1-X^2} $$
$t$ が $0$ から $\frac{1}{\sqrt{3}}$ に向かって動くとき、$X$ も $0$ から $\frac{1}{\sqrt{3}}$ に向かって動く。 このとき、点は曲線 $y = \frac{2}{1-x^2}$ 上を、点 $(0, 2)$ から点 $\left( \frac{1}{\sqrt{3}}, 3 \right)$ に向かって動く。
(イ)
$\frac{1}{\sqrt{3}} \leqq t < 1$ のとき $1 - 3t^2 \leqq 0$ より $\alpha \leqq t$ となる。 区間 $0 < x \leqq t$ の内部に $\alpha$ が含まれるため、(i) と同様に $x = \alpha$ で最小となり、$\beta = \alpha$ である。 点 $(\beta, f(\beta))$ の座標 $(X, Y)$ は、(i) で求めたものと同じく $Y = \frac{1}{X^2}$ 上にある。 $t$ が $\frac{1}{\sqrt{3}}$ から $1$ に向かって動くとき、$X$ は $\frac{1}{\sqrt{3}}$ から $\sqrt{2}-1$ に向かって動く。 このとき、点は曲線 $y = \frac{1}{x^2}$ 上を、点 $\left( \frac{1}{\sqrt{3}}, 3 \right)$ から点 $(\sqrt{2}-1, 3+2\sqrt{2})$ に向かって動く。
以上より、点 $(\beta, f(\beta))$ の軌跡は、前半は $y = \frac{2}{1-x^2}$ 上を $x$ が増加する向きに動き、途中で滑らかにつなぎ合わさって、後半は $y = \frac{1}{x^2}$ 上を $x$ が減少する向きに動く。
解説
関数の最小値を与える $x$ 座標と $y$ 座標の双方が、パラメータ $t$ に依存して変化する軌跡の問題である。 $y$ 座標を計算する際、$x = \alpha$ を直接 $f(x)$ に代入すると計算が非常に煩雑になる。ここでは $\alpha$ が満たす方程式 $\alpha^2 + 2t\alpha - 1 = 0$ を変形し、$t$ を $\alpha$ の式で表してから $f(\alpha)$ に代入することで、劇的に計算量を減らす「次数の決定・文字の消去」の工夫が重要になる。 (ii) は定義域の端点と極小値の位置の大小比較(場合分け)を問う典型的なテーマであるが、軌跡が連続してつながり、動く向きが途中で反転する点に注意が必要である。図示する際には、端点の白丸(含まない点)や矢印を用いた進行方向の明記が求められる。
答え
(i)
点 $(\alpha, f(\alpha))$ は、曲線 $y = \frac{1}{x^2}$ 上を、点 $(1, 1)$ から点 $(\sqrt{2}-1, 3+2\sqrt{2})$ に向かって動く。 (両端の点は含まない)
(ii)
点 $(\beta, f(\beta))$ は、$t$ が $0$ から $\frac{1}{\sqrt{3}}$ に動くとき、曲線 $y = \frac{2}{1-x^2}$ 上を点 $(0, 2)$ から点 $\left( \frac{1}{\sqrt{3}}, 3 \right)$ に向かって動く。点 $(0, 2)$ は含まない。 続いて $t$ が $\frac{1}{\sqrt{3}}$ から $1$ に動くとき、曲線 $y = \frac{1}{x^2}$ 上を点 $\left( \frac{1}{\sqrt{3}}, 3 \right)$ から点 $(\sqrt{2}-1, 3+2\sqrt{2})$ に向かって動く。点 $(\sqrt{2}-1, 3+2\sqrt{2})$ は含まない。
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