数学C 空間ベクトル 問題 66 解説

方針・初手
三角形の面積をベクトルの外積で表す。 (1)では $\triangle ABC$ の面積を外積で求め、底辺 $AB$ の長さで割れば高さが出る。 (2)では $S,S_1,S_2,S_3$ を $a,b,c$ で表し、最後はコーシー・シュワルツの不等式に帰着する。
解法1
まず、
$$ A(a,0,0),\quad B(0,b,0),\quad C(0,0,c) $$
であるから、
$$ \overrightarrow{AB}=(-a,b,0),\quad \overrightarrow{AC}=(-a,0,c) $$
である。
外積を計算すると、
$$ \overrightarrow{AB}\times \overrightarrow{AC} = (bc,ac,ab) $$
となる。したがって、
$$ |\overrightarrow{AB}\times \overrightarrow{AC}| = \sqrt{a^2b^2+a^2c^2+b^2c^2} $$
である。
よって、$\triangle ABC$ の面積 $S$ は
$$ S = \frac{1}{2} \sqrt{a^2b^2+a^2c^2+b^2c^2} $$
である。
一方、底辺 $AB$ の長さは
$$ AB=\sqrt{a^2+b^2} $$
である。辺 $AB$ を底辺としたときの高さを $h$ とすると、
$$ S=\frac{1}{2}AB\cdot h $$
より、
$$ h= \frac{2S}{AB} = \frac{\sqrt{a^2b^2+a^2c^2+b^2c^2}}{\sqrt{a^2+b^2}} $$
である。
次に、各三角形の面積を求める。
$\triangle OAB$ は $xy$ 平面上の直角三角形であるから、
$$ S_1=\frac{1}{2}ab $$
である。同様に、
$$ S_2=\frac{1}{2}bc,\quad S_3=\frac{1}{2}ca $$
である。
したがって、
$$ S_1+S_2+S_3 = \frac{1}{2}(ab+bc+ca) $$
である。
一方、
$$ S = \frac{1}{2} \sqrt{a^2b^2+b^2c^2+c^2a^2} $$
であるから、示すべき不等式
$$ \sqrt{3}S\geqq S_1+S_2+S_3 $$
は、
$$ \frac{\sqrt{3}}{2} \sqrt{a^2b^2+b^2c^2+c^2a^2} \geqq \frac{1}{2}(ab+bc+ca) $$
すなわち、
$$ \sqrt{3} \sqrt{a^2b^2+b^2c^2+c^2a^2} \geqq ab+bc+ca $$
を示せばよい。
これは、コーシー・シュワルツの不等式より、
$$ (ab+bc+ca)^2 \leqq (1^2+1^2+1^2)(a^2b^2+b^2c^2+c^2a^2) $$
すなわち、
$$ (ab+bc+ca)^2 \leqq 3(a^2b^2+b^2c^2+c^2a^2) $$
が成り立つことから従う。両辺は正であるため平方根を取って、
$$ ab+bc+ca \leqq \sqrt{3} \sqrt{a^2b^2+b^2c^2+c^2a^2} $$
となる。よって、
$$ \sqrt{3}S\geqq S_1+S_2+S_3 $$
が示された。
最後に等号成立条件を調べる。コーシー・シュワルツの不等式で等号が成り立つのは、
$$ ab=bc=ca $$
のときである。
ここで $a,b,c$ は正であるから、
$$ ab=bc \Rightarrow a=c $$
また、
$$ bc=ca \Rightarrow b=a $$
である。したがって、
$$ a=b=c $$
が等号成立条件である。
逆に、$a=b=c$ のときは $ab=bc=ca$ となるので、確かに等号が成り立つ。
解説
この問題の中心は、$\triangle ABC$ の面積を外積で一度に求めることである。座標空間内の三角形では、辺の長さや角度を個別に処理するよりも、外積を使う方が計算が整理される。
(2)では、$S_1,S_2,S_3$ がそれぞれ座標平面上の直角三角形の面積になるため、
$$ S_1=\frac{ab}{2},\quad S_2=\frac{bc}{2},\quad S_3=\frac{ca}{2} $$
とすぐに表せる。あとは
$$ ab,\quad bc,\quad ca $$
という3つの正の数に対するコーシー・シュワルツの不等式を使えばよい。
等号条件では、単に「コーシーの等号条件」と書くだけでなく、$ab=bc=ca$ から $a=b=c$ が出ることまで確認する必要がある。
答え
(1)
辺 $AB$ を底辺としたときの $\triangle ABC$ の高さは
$$ \frac{\sqrt{a^2b^2+a^2c^2+b^2c^2}}{\sqrt{a^2+b^2}} $$
である。
(2)
$$ \sqrt{3}S\geqq S_1+S_2+S_3 $$
が成り立つ。
(3)
等号成立条件は
$$ a=b=c $$
である。
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