数学C 空間ベクトル 問題 136 解説

方針・初手
両方に直交する直線を直接探す。直線 $\ell,m$ 上にそれぞれ点 $X,Y$ を取り、直線 $XY$ が $\ell,m$ の両方に垂直になる条件をベクトルで表す。
つまり、$\overrightarrow{XY}$ が $\ell$ の方向ベクトルと $m$ の方向ベクトルの両方に垂直になるような $X,Y$ がただ一組存在することを示せばよい。
解法1
直線 $\ell,m$ はねじれの位置にあるから、平行でなく、交わらない。
$\ell$ 上の1点を $P$、方向ベクトルを $\mathbf{a}$、$m$ 上の1点を $Q$、方向ベクトルを $\mathbf{b}$ とする。ただし、$\mathbf{a},\mathbf{b}$ はともに零ベクトルでなく、$\ell,m$ は平行でないので $\mathbf{a},\mathbf{b}$ は平行でない。
直線上の点を
$$ X=P+s\mathbf{a},\qquad Y=Q+t\mathbf{b} $$
とおく。ここで $s,t$ は実数である。
$\mathbf{r}=Q-P$ とおくと、
$$ \overrightarrow{XY}=Y-X=\mathbf{r}+t\mathbf{b}-s\mathbf{a} $$
である。
直線 $XY$ が $\ell$ と $m$ の両方に垂直であるための条件は、
$$ \overrightarrow{XY}\cdot \mathbf{a}=0,\qquad \overrightarrow{XY}\cdot \mathbf{b}=0 $$
である。これを $s,t$ について整理すると、
$$ \begin{cases} (\mathbf{a}\cdot\mathbf{a})s-(\mathbf{a}\cdot\mathbf{b})t=\mathbf{a}\cdot\mathbf{r},\\ (\mathbf{a}\cdot\mathbf{b})s-(\mathbf{b}\cdot\mathbf{b})t=\mathbf{b}\cdot\mathbf{r}. \end{cases} $$
これは $s,t$ に関する連立一次方程式である。この係数行列の行列式は
$$ \begin{vmatrix} \mathbf{a}\cdot\mathbf{a} & -\mathbf{a}\cdot\mathbf{b}\\ \mathbf{a}\cdot\mathbf{b} & -\mathbf{b}\cdot\mathbf{b} \end{vmatrix} =-(\mathbf{a}\cdot\mathbf{a})(\mathbf{b}\cdot\mathbf{b})+(\mathbf{a}\cdot\mathbf{b})^2 $$
である。
ここで $\mathbf{a},\mathbf{b}$ は平行でないから、
$$ (\mathbf{a}\cdot\mathbf{a})(\mathbf{b}\cdot\mathbf{b})-(\mathbf{a}\cdot\mathbf{b})^2>0 $$
が成り立つ。したがって、上の行列式は $0$ でない。
よって、連立一次方程式はただ一組の解 $(s,t)$ をもつ。その解に対応する点を
$$ A=P+s\mathbf{a},\qquad B=Q+t\mathbf{b} $$
とする。
このとき、
$$ \overrightarrow{AB}\cdot\mathbf{a}=0,\qquad \overrightarrow{AB}\cdot\mathbf{b}=0 $$
であるから、直線 $AB$ は $\ell$ と $m$ の両方に垂直である。
また、もし $A=B$ なら、$\ell$ と $m$ は点 $A$ で交わることになる。しかし $\ell,m$ はねじれの位置にあるので交わらない。したがって $A\neq B$ であり、直線 $AB$ は確かに1本の直線として定まる。
次に一意性を示す。
$\ell$ と $m$ の両方に直交する直線が他にもあるとし、その直線が $\ell,m$ と交わる点をそれぞれ $X,Y$ とする。このとき、ある実数 $s,t$ を用いて
$$ X=P+s\mathbf{a},\qquad Y=Q+t\mathbf{b} $$
と書ける。
さらに、その直線は $\ell,m$ の両方に垂直だから、
$$ \overrightarrow{XY}\cdot\mathbf{a}=0,\qquad \overrightarrow{XY}\cdot\mathbf{b}=0 $$
を満たす。したがって $s,t$ は先ほどの連立一次方程式を満たす。
しかし、その連立一次方程式の解はただ一組である。よって $X=A,\ Y=B$ であり、その直線は直線 $AB$ に一致する。
したがって、$\ell$ と $m$ の両方に直交する直線はただ1つ存在する。
解説
ねじれの位置にある2直線に対しては、両方に垂直な線を「共通垂線」という。この問題の本質は、共通垂線の足となる2点が一意に定まることを示す点にある。
直線上の点をパラメータ $s,t$ で表し、結ぶベクトルが2つの方向ベクトルの両方に垂直であるという条件を立てると、$s,t$ に関する連立一次方程式になる。
係数行列の行列式が $0$ でないことは、2つの方向ベクトルが平行でないことに対応している。ねじれの位置では2直線は平行でないため、この連立方程式は一意解をもつ。これにより、存在と一意性が同時に示される。
答え
空間内のねじれの位置にある2直線 $\ell,m$ に対して、$\ell$ と $m$ の両方に直交する直線はただ1つ存在する。
自分の記録
誤りを報告
問題文の写しミス、解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。





