北海道大学 1961年 文系 第3問 解説

方針・初手
常用対数の「指標」と「仮数」の定義を確認し、与えられた条件を数式に翻訳する。 正の数 $X$ の常用対数 $\log_{10} X$ は、整数 $n$ と $0 \le \alpha < 1$ を満たす実数 $\alpha$ を用いて $\log_{10} X = n + \alpha$ と表すことができ、このとき $n$ を指標、$\alpha$ を仮数という。 $A, B$ はともに $3$ 桁の整数であることから、それぞれの常用対数の指標は $2$ となる。これを利用して $\log_{10}A$ と $\log_{10}B$ を立式し、仮数の関係から $A$ と $B$ の関係式を導く。
解法1
$A, B$ は $3$ 桁の整数であるから、それぞれの常用対数の指標は $2$ である。 $A, B$ の常用対数の仮数をそれぞれ $a, b$ ($0 \le a < 1$、$0 \le b < 1$)とすると、
$$ \log_{10} A = 2 + a $$
$$ \log_{10} B = 2 + b $$
と表せる。 問題の条件より、$B$ の仮数は $A$ の仮数の $2$ 倍であるから、
$$ b = 2a $$
が成り立つ。これより、$\log_{10} B$ は次のように表される。
$$ \log_{10} B = 2 + 2a $$
ここで、仮数の条件 $0 \le b < 1$ より $0 \le 2a < 1$、すなわち $0 \le a < \frac{1}{2}$ である。
$\log_{10} A = 2 + a$ より $a = \log_{10} A - 2$ であるから、これを $\log_{10} B$ の式に代入すると、
$$ \log_{10} B = 2 + 2(\log_{10} A - 2) $$
$$ \log_{10} B = 2\log_{10} A - 2 $$
$$ \log_{10} B = \log_{10} A^2 - \log_{10} 100 $$
$$ \log_{10} B = \log_{10} \frac{A^2}{100} $$
底が同じであるため真数を比較して、
$$ B = \frac{A^2}{100} $$
$$ A^2 = 100B $$
を得る。
ここで、$A$ と $B$ は整数である。$A^2 = 100B$ より $A^2$ は $100$ の倍数となるため、$A$ は $10$ の倍数でなければならない。 そこで、$k$ を整数として $A = 10k$ とおく。これを上の式に代入すると、
$$ (10k)^2 = 100B $$
$$ 100k^2 = 100B $$
$$ B = k^2 $$
となる。 問題の条件より、$B$ は「$900$ より大きい $3$ 桁の整数」であるから、
$$ 900 < B \le 999 $$
すなわち
$$ 900 < k^2 \le 999 $$
を満たす。 $k$ は整数であり、$30^2 = 900$、$31^2 = 961$、$32^2 = 1024$ であるため、この不等式を満たす整数 $k$ は $k = 31$ のみである。
$k = 31$ のとき、
$$ A = 10 \cdot 31 = 310 $$
$$ B = 31^2 = 961 $$
となる。 このとき $A = 310$ の仮数 $a$ は $\log_{10} 3.1$ である。$\sqrt{10} \approx 3.16$ であり $\log_{10} \sqrt{10} = 0.5$ であることから $0 \le \log_{10} 3.1 < 0.5$ を満たしており、仮数についての条件に適している。
解説
常用対数の指標と仮数の定義を利用して、対数方程式を整数問題に帰着させる典型的な問題である。 「$3$ 桁の整数」という条件から即座に「指標が $2$」と判断できるかどうかが第一の関門となる。その後は対数の関係式を真数の関係式 $A^2 = 100B$ に直し、$B$ が完全平方数になること、および $B$ のとり得る値の範囲から絞り込みを行うとスムーズに解くことができる。 最後に、求めた値が仮数のとり得る範囲($2a < 1$)を満たしているかの確認を行うことが論理的な完全性を保つうえで重要である。
答え
$A = 310, B = 961$
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