北海道大学 1965年 文系 第2問 解説

方針・初手
(1) 2つの2元1次方程式からなる連立方程式が解を無数にもつ条件は、それらが表す2つの直線が一致することである。まずは、2直線が平行または一致するための必要条件として、 $x, y$ の係数からなる行列の行列式が $0$ になる $k$ の値を求める。その後、求まった $k$ の値ごとに、2式が完全に一致するための $a, b$ の条件を調べる。
(2) $k \neq 1, 2$ のとき、与えられた連立方程式はただ1組の解をもつ。この解が $k$ の値によらず一定であるとし、その解を定数 $X, Y$ とおく。これを与式に代入したものが $k$ についての恒等式となるように条件を立てる。
解法1
(1)
与えられた連立方程式は以下の通りである。
$$ (3k+1)x + (5k-2)y = ak - 3 \cdots\cdots \text{①} $$
$$ (9-k)x + 2(k+2)y = a + bk + 4 \cdots\cdots \text{②} $$
これらを同時にみたす $x, y$ の組が無数にあるとき、これらが表す2直線は一致する。少なくとも2直線が平行または一致するための必要条件として、$x, y$ の係数からなる行列の行列式が $0$ でなければならない。
$$ (3k+1) \cdot 2(k+2) - (5k-2)(9-k) = 0 $$
$$ 2(3k^2+7k+2) - (-5k^2+47k-18) = 0 $$
$$ 11k^2 - 33k + 22 = 0 $$
$$ k^2 - 3k + 2 = 0 $$
$$ (k-1)(k-2) = 0 $$
よって、$k=1, 2$ が必要である。
(i) $k=1$ のとき
①は $4x + 3y = a-3$ となる。
②は $8x + 6y = a+b+4$ となる。
これらが一致するとき、解を無数にもつ。②の両辺を $2$ で割ると $4x + 3y = \frac{a+b+4}{2}$ となり、これが①と一致する条件は右辺同士が等しいことである。
$$ a-3 = \frac{a+b+4}{2} $$
$$ 2a - 6 = a + b + 4 $$
$$ a - b = 10 $$
このとき、①と②は同一の方程式となり、解を無数にもつ。
(ii) $k=2$ のとき
①は $7x + 8y = 2a-3$ となる。
②は $7x + 8y = a+2b+4$ となる。
これらが一致する条件は、同様に右辺同士が等しいことである。
$$ 2a - 3 = a + 2b + 4 $$
$$ a - 2b = 7 $$
このとき、①と②は同一の方程式となり、解を無数にもつ。
以上より、求める条件は、$k=1$ のとき $a-b=10$、$k=2$ のとき $a-2b=7$ である。
(2)
$k \neq 1, 2$ のとき、係数の行列式は $0$ ではないため、①, ②をみたす解 $(x, y)$ はただ1組存在する。この解が $k$ の値によらず一定であるとし、その解を $x=X, y=Y$ とおく。
①, ②に代入して、それぞれ $k$ について整理する。
$$ (3X+5Y-a)k + (X-2Y+3) = 0 \cdots\cdots \text{①'} $$
$$ (X-2Y-b)k + (9X+4Y-a-4) = 0 \cdots\cdots \text{②'} $$
これらが $k \neq 1, 2$ なる任意の $k$ について成り立つためには、これらが $k$ についての恒等式でなければならない。したがって、それぞれの係数がすべて $0$ になる必要がある。
$$ 3X+5Y-a = 0 \cdots\cdots \text{③} $$
$$ X-2Y+3 = 0 \cdots\cdots \text{④} $$
$$ X-2Y-b = 0 \cdots\cdots \text{⑤} $$
$$ 9X+4Y-a-4 = 0 \cdots\cdots \text{⑥} $$
④, ⑤より、以下の関係がわかる。
$$ -b = 3 \iff b = -3 $$
また、④より $X = 2Y - 3$ である。これを③, ⑥に代入して $X$ を消去する。
③より
$$ 3(2Y-3) + 5Y - a = 0 $$
$$ 11Y - 9 - a = 0 \iff a = 11Y - 9 \cdots\cdots \text{⑦} $$
⑥より
$$ 9(2Y-3) + 4Y - a - 4 = 0 $$
$$ 22Y - 31 - a = 0 \iff a = 22Y - 31 \cdots\cdots \text{⑧} $$
⑦, ⑧より $a$ を消去する。
$$ 11Y - 9 = 22Y - 31 $$
$$ 11Y = 22 \iff Y = 2 $$
このとき $X = 2 \cdot 2 - 3 = 1$ であり、⑦より $a = 11 \cdot 2 - 9 = 13$ となる。
得られた値 $X=1, Y=2, a=13, b=-3$ は③〜⑥をすべてみたすため、条件に適合する。
よって、求める値は $a=13, b=-3$ である。
解説
(1) では、連立1次方程式が不定(解が無数にある)となる条件を問われている。2直線が一致することと同値であるため、まずは傾きが一致する条件(係数の行列式が $0$ になる条件)から $k$ の値を絞り込み、その後で切片も一致する条件を立式する手順が安全かつ確実である。
(2) では、「任意の $k$ (ただし $k \neq 1, 2$) について成立する」という条件から、恒等式の問題に帰着させるのが定石である。解 $(x,y)$ を $k$ の式として具体的に求めてからそれが定数になる条件を考えることも原理的には可能だが、計算量が膨大になり現実的ではない。「一定となる解を定数 $X, Y$ とおいて代入し、$k$ について整理する」という逆の視点を持つことが、計算を劇的に簡単にするポイントである。
答え
(1) $k=1$ のとき $a-b=10$、$k=2$ のとき $a-2b=7$
(2) $a=13, b=-3$
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