北海道大学 2020年 文系 第1問 解説

方針・初手
放物線と直線の交点に関する問題です。交点の $x$ 座標は2次方程式の解として表されます。交点の座標を直接解の公式で求めると計算が煩雑になるため、解と係数の関係を利用して中点の座標を効率よく求めるのが定石です。
(1) は放物線 $C$ と直線 $l$ の式から $x$ に関する2次方程式を作り、解と係数の関係を用いて中点 $\text{M}$ の座標を $k$ で表します。 (2) は直線 $l$ と直交し、点 $\text{M}$ を通る直線 $m$ の方程式を求めます。その後、直線 $m$ と放物線 $C$ について再び解と係数の関係を用いて中点 $\text{N}$ の $y$ 座標を $k$ で表し、相加平均と相乗平均の大小関係を用いて最小値を求めます。
解法1
(1)
直線 $l: y = kx + 1$ と放物線 $C: y = x^2$ の交点の $x$ 座標は、これらを連立した2次方程式
$$ x^2 - kx - 1 = 0 $$
の解である。この2次方程式の判別式を $D$ とすると、
$$ D = (-k)^2 - 4 \cdot 1 \cdot (-1) = k^2 + 4 $$
$k$ は実数であるから $k^2 \geqq 0$ であり、$D > 0$ となるため、放物線 $C$ と直線 $l$ は異なる2つの交点 $\text{P}, \text{Q}$ を持つ。
交点 $\text{P}, \text{Q}$ の $x$ 座標をそれぞれ $\alpha, \beta$ とすると、解と係数の関係より、
$$ \alpha + \beta = k $$
が成り立つ。線分 $\text{PQ}$ の中点 $\text{M}$ の $x$ 座標は $\frac{\alpha + \beta}{2}$ であるから、
$$ \frac{\alpha + \beta}{2} = \frac{k}{2} $$
点 $\text{M}$ は直線 $l$ 上にあるので、その $y$ 座標は、
$$ y = k \left( \frac{k}{2} \right) + 1 = \frac{k^2}{2} + 1 $$
したがって、中点 $\text{M}$ の座標は、
$$ \left( \frac{k}{2}, \frac{k^2}{2} + 1 \right) $$
である。
(2)
直線 $m$ は線分 $\text{PQ}$ の垂直二等分線である。 線分 $\text{PQ}$ を含む直線 $l$ の傾きは $k$ であり、$k > 0$ であるから、直線 $l$ に垂直な直線 $m$ の傾きは $-\frac{1}{k}$ である。
直線 $m$ は点 $\text{M} \left( \frac{k}{2}, \frac{k^2}{2} + 1 \right)$ を通るので、その方程式は、
$$ y - \left( \frac{k^2}{2} + 1 \right) = -\frac{1}{k} \left( x - \frac{k}{2} \right) $$
$$ y = -\frac{1}{k}x + \frac{1}{2} + \frac{k^2}{2} + 1 $$
$$ y = -\frac{1}{k}x + \frac{k^2 + 3}{2} $$
直線 $m$ と放物線 $C: y = x^2$ の交点 $\text{R}, \text{S}$ の $x$ 座標は、方程式
$$ x^2 = -\frac{1}{k}x + \frac{k^2 + 3}{2} $$
すなわち、
$$ x^2 + \frac{1}{k}x - \frac{k^2 + 3}{2} = 0 $$
の解である。この2次方程式の2つの解を $\gamma, \delta$ とすると、解と係数の関係より、
$$ \gamma + \delta = -\frac{1}{k} $$
が成り立つ。線分 $\text{RS}$ の中点 $\text{N}$ の $x$ 座標を $x_N$ とすると、
$$ x_N = \frac{\gamma + \delta}{2} = -\frac{1}{2k} $$
点 $\text{N}$ は直線 $m$ 上にあるので、その $y$ 座標 $y_N$ は、
$$ \begin{aligned} y_N &= -\frac{1}{k} \left( -\frac{1}{2k} \right) + \frac{k^2 + 3}{2} \\ &= \frac{1}{2k^2} + \frac{k^2}{2} + \frac{3}{2} \end{aligned} $$
$k > 0$ より、$\frac{1}{2k^2} > 0$ かつ $\frac{k^2}{2} > 0$ であるから、相加平均と相乗平均の大小関係より、
$$ \frac{1}{2k^2} + \frac{k^2}{2} \geqq 2 \sqrt{ \frac{1}{2k^2} \cdot \frac{k^2}{2} } = 2 \cdot \frac{1}{2} = 1 $$
が成り立つ。両辺に $\frac{3}{2}$ を加えて、
$$ y_N \geqq 1 + \frac{3}{2} = \frac{5}{2} $$
等号が成立するのは、$\frac{1}{2k^2} = \frac{k^2}{2}$ のときである。 これを解くと $k^4 = 1$ となり、$k > 0$ であるから $k = 1$ のときである。
したがって、$y_N$ が最小となる $k$ の値は $k = 1$ である。
このとき、$\text{P}, \text{Q}$ の $x$ 座標は、方程式 $x^2 - x - 1 = 0$ の解であるから、
$$ x = \frac{1 \pm \sqrt{1^2 - 4 \cdot 1 \cdot (-1)}}{2} = \frac{1 \pm \sqrt{5}}{2} $$
$\text{P}$ は $x$ 座標が小さい方、$\text{Q}$ は $x$ 座標が大きい方であるから、
$$ x_P = \frac{1 - \sqrt{5}}{2}, \quad x_Q = \frac{1 + \sqrt{5}}{2} $$
また、直線 $l$ の方程式は $y = x + 1$ となるので、対応する $y$ 座標は、
$$ y_P = \frac{1 - \sqrt{5}}{2} + 1 = \frac{3 - \sqrt{5}}{2} $$
$$ y_Q = \frac{1 + \sqrt{5}}{2} + 1 = \frac{3 + \sqrt{5}}{2} $$
よって、$\text{P}$ と $\text{Q}$ の座標は求められた。
解説
2次曲線と直線の交点の中点に関する問題では、「解と係数の関係」を用いると計算量を大幅に減らすことができます。交点の座標を直接解の公式で求めようとすると、複雑な無理式を扱うことになり、計算ミスの原因となります。
また、最小値を求める過程で $f(k) + g(k)$ の形になり、$f(k) \cdot g(k)$ が定数となる場合は、「相加平均と相乗平均の大小関係」を用いるのが典型的な手法です。この不等式を用いる際は、必ず各項が正であることの確認と、等号成立条件の確認(実際にその値をとるかどうかの確認)を行う必要があります。
答え
(1) $\text{M} \left( \frac{k}{2}, \frac{k^2}{2} + 1 \right)$
(2) 最小となる $k$ の値:$k = 1$ そのときの座標:$\text{P} \left( \frac{1 - \sqrt{5}}{2}, \frac{3 - \sqrt{5}}{2} \right), \text{Q} \left( \frac{1 + \sqrt{5}}{2}, \frac{3 + \sqrt{5}}{2} \right)$
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