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九州大学 1969年 理系 第4問 解説

数学C/複素数平面数学B/数列数学2/三角関数テーマ/最大・最小
九州大学 1969年 理系 第4問 解説

方針・初手

等比数列の定義に従い、初項と公比から一般項を表現する。初項 $z_1 = 1$ であるため、第2項 $z_2$ がそのまま公比となる。これを踏まえて $z_3$ を $a, b$ を用いて表し、与えられた $z_3 = b+ia$ の条件と実部・虚部を比較することで $a, b$ の連立方程式を導く。後半は求めた公比(複素数)の累乗を扱うため、極形式に直し、ド・モアブルの定理を利用する。

解法1

(1)

等比数列の公比を $r$ とおく。 初項 $z_1 = 1$ より、第2項 $z_2$ は

$$z_2 = z_1 r = r = a+ib$$

である。続いて第3項 $z_3$ は、

$$z_3 = z_2 r = r^2 = (a+ib)^2 = a^2 - b^2 + 2abi$$

と表される。 問題の条件より $z_3 = b+ia$ であるため、

$$a^2 - b^2 + 2abi = b+ia$$

$a, b$ は実数であるから、両辺の実部と虚部を比較して

$$\begin{cases} a^2 - b^2 = b \quad \cdots ① \\ 2ab = a \quad \cdots ② \end{cases}$$

を得る。問題の条件より $a > 0$ であるから、② の両辺を $a$ で割ることができ、

$$2b = 1 \iff b = \frac{1}{2}$$

これを ① に代入すると、

$$a^2 - \left(\frac{1}{2}\right)^2 = \frac{1}{2}$$

$$a^2 - \frac{1}{4} = \frac{1}{2} \iff a^2 = \frac{3}{4}$$

$a > 0$ であるから、$a = \frac{\sqrt{3}}{2}$ となる。 したがって、

$$a = \frac{\sqrt{3}}{2}, \quad b = \frac{1}{2}$$

また、$z_2 = a+ib = \frac{\sqrt{3}}{2} + \frac{1}{2}i$ である。 この複素数の絶対値は $\sqrt{\left(\frac{\sqrt{3}}{2}\right)^2 + \left(\frac{1}{2}\right)^2} = 1$ であり、偏角を $\theta$ とすると $\cos\theta = \frac{\sqrt{3}}{2}, \sin\theta = \frac{1}{2}$ より $\theta = \frac{\pi}{6}$ となる。 よって、$z_2$ の極形式は

$$z_2 = \cos\frac{\pi}{6} + i\sin\frac{\pi}{6}$$

(2)

$z_n$ は初項 $1$、公比 $z_2 = \cos\frac{\pi}{6} + i\sin\frac{\pi}{6}$ の等比数列である。 公比 $z_2 \neq 1$ であるから、初項から第 $n$ 項までの和 $S_n = z_1 + z_2 + \dots + z_n$ は

$$S_n = \frac{1 \cdot (1 - z_2^n)}{1 - z_2}$$

となる。$S_n = 0$ となる条件は、分子が $0$ になること、すなわち

$$z_2^n = 1$$

を満たすことである。ド・モアブルの定理より、

$$z_2^n = \left(\cos\frac{\pi}{6} + i\sin\frac{\pi}{6}\right)^n = \cos\frac{n\pi}{6} + i\sin\frac{n\pi}{6}$$

これが $1$ に等しくなるため、

$$\cos\frac{n\pi}{6} = 1 \quad \text{かつ} \quad \sin\frac{n\pi}{6} = 0$$

これを満たす $n$ は、$\frac{n\pi}{6} = 2k\pi$ ($k$ は整数)、すなわち $n = 12k$ と表される。 $n$ は自然数であるから、これを満たす最小の $n$ は $k=1$ のときであり、

$$n = 12$$

となる。

次に、この $n=12$ に対する積 $P = z_1 \times z_2 \times z_3 \times \dots \times z_{12}$ を計算する。 等比数列の一般項は $z_k = z_2^{k-1}$ と表せるため、

$$P = z_2^0 \cdot z_2^1 \cdot z_2^2 \cdot \dots \cdot z_2^{11}$$

指数法則より、

$$P = z_2^{0 + 1 + 2 + \dots + 11}$$

指数部の等差数列の和を計算すると、

$$0 + 1 + 2 + \dots + 11 = \frac{11 \cdot 12}{2} = 66$$

よって、

$$P = z_2^{66} = \left(\cos\frac{\pi}{6} + i\sin\frac{\pi}{6}\right)^{66}$$

再びド・モアブルの定理を用いて、

$$P = \cos\left(66 \cdot \frac{\pi}{6}\right) + i\sin\left(66 \cdot \frac{\pi}{6}\right) = \cos(11\pi) + i\sin(11\pi)$$

$\cos(11\pi) = -1, \sin(11\pi) = 0$ であるから、

$$z_1 \times z_2 \times \dots \times z_{12} = -1$$

解説

複素数平面上の点と等比数列を融合した標準的な問題である。 (1) では、公比 $r$ を複素数として設定し、実部・虚部の比較に持ち込む定石を用いる。$a>0$ の条件を見落とさず、②の式で両辺を $a$ で割る操作を正確に行うことがポイントである。極形式への変換は、続く小問への誘導となっている。 (2) では、等比数列の和の公式とド・モアブルの定理を組み合わせる。和が0になる条件は「$z_2^n = 1$ かつ $z_2 \neq 1$」である。複素数の積の計算においても、指数法則で累乗の形にまとめてからド・モアブルの定理を適用することで、煩雑な計算を避けることができる。

答え

(1) $a = \frac{\sqrt{3}}{2}, \quad b = \frac{1}{2}$ $z_2 = \cos\frac{\pi}{6} + i\sin\frac{\pi}{6}$

(2) $n$ の最小値: $12$ 積の値: $-1$

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