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北海道大学 1992年 文系 第3問 解説

数学B/数列数学1/方程式不等式テーマ/漸化式テーマ/場合分け
北海道大学 1992年 文系 第3問 解説

方針・初手

(1) 与えられた漸化式 $a_n = \frac{1}{r} a_{n-1} + r$ は隣接2項間漸化式である。係数に $\frac{1}{r}$ が含まれるため、特性方程式から公比 $\frac{1}{r}$ を用いて一般項を求めるのが定石である。ただし、公比が $1$ となる場合、すなわち $\frac{1}{r} = 1 \iff r = 1$ の場合は等差数列となるため、場合分けが必要である。

(2) $b_n = a_n + b_{n-1}$ より、$b_n - b_{n-1} = a_n$ となる。これは数列 $\{a_n\}$ が数列 $\{b_n\}$ の階差数列であることを意味している。階差数列の公式を用いて $b_n$ を求める。(1) と同様に $r=1$ と $r \neq 1$ の場合分けを維持して計算する。

解法1

(1)

与えられた漸化式は以下の通りである。

$$ a_n = \frac{1}{r} a_{n-1} + r \quad (n \geqq 2) $$

この漸化式を変形するために、特性方程式 $\alpha = \frac{1}{r}\alpha + r$ を考える。

(i) $r = 1$ のとき

漸化式は $a_n = a_{n-1} + 1$ となる。 これは、数列 $\{a_n\}$ が初項 $a_1 = 1$、公差 $1$ の等差数列であることを示す。 よって、一般項は次のように求まる。

$$ a_n = 1 + (n - 1) \cdot 1 = n $$

(ii) $r \neq 1$ かつ $r \neq 0$ のとき

特性方程式 $\alpha = \frac{1}{r}\alpha + r$ を解くと、$\frac{r-1}{r}\alpha = r$ より $\alpha = \frac{r^2}{r-1}$ となる。 漸化式は次のように変形できる。

$$ a_n - \frac{r^2}{r-1} = \frac{1}{r} \left( a_{n-1} - \frac{r^2}{r-1} \right) $$

数列 $\left\{ a_n - \frac{r^2}{r-1} \right\}$ は、初項が

$$ a_1 - \frac{r^2}{r-1} = r - \frac{r^2}{r-1} = \frac{r(r-1) - r^2}{r-1} = -\frac{r}{r-1} $$

であり、公比が $\frac{1}{r}$ の等比数列である。 したがって、

$$ a_n - \frac{r^2}{r-1} = -\frac{r}{r-1} \left( \frac{1}{r} \right)^{n-1} $$

$$ a_n = \frac{r^2}{r-1} - \frac{r}{r-1} \left( \frac{1}{r} \right)^{n-1} $$

(2)

与えられた条件より、$n \geqq 2$ のとき

$$ b_n - b_{n-1} = a_n $$

であるから、階差数列の性質と $b_1 = r = a_1$ より、$n \geqq 2$ のとき

$$ b_n = b_1 + \sum_{k=2}^n a_k = a_1 + \sum_{k=2}^n a_k = \sum_{k=1}^n a_k $$

となる。これは $n=1$ のとき $b_1 = a_1$ となり成立する。したがって、すべての自然数 $n$ に対して $b_n = \sum_{k=1}^n a_k$ である。

(i) $r = 1$ のとき

(1) より $a_n = n$ であるから、

$$ b_n = \sum_{k=1}^n k = \frac{1}{2}n(n+1) $$

(ii) $r \neq 1$ かつ $r \neq 0$ のとき

(1) より $a_k = \frac{r^2}{r-1} - \frac{r}{r-1} \left( \frac{1}{r} \right)^{k-1}$ であるから、

$$ b_n = \sum_{k=1}^n \left\{ \frac{r^2}{r-1} - \frac{r}{r-1} \left( \frac{1}{r} \right)^{k-1} \right\} $$

$$ b_n = \frac{r^2}{r-1}n - \frac{r}{r-1} \sum_{k=1}^n \left( \frac{1}{r} \right)^{k-1} $$

ここで、$\sum_{k=1}^n \left( \frac{1}{r} \right)^{k-1}$ は初項 $1$、公比 $\frac{1}{r}$、項数 $n$ の等比数列の和である。

$$ b_n = \frac{r^2}{r-1}n - \frac{r}{r-1} \cdot \frac{1 - \left(\frac{1}{r}\right)^n}{1 - \frac{1}{r}} $$

分母分子に $r$ を掛けて整理する。

$$ b_n = \frac{r^2}{r-1}n - \frac{r}{r-1} \cdot \frac{r\left\{1 - \left(\frac{1}{r}\right)^n\right\}}{r - 1} $$

$$ b_n = \frac{nr^2}{r-1} - \frac{r^2}{(r-1)^2} \left\{ 1 - \left( \frac{1}{r} \right)^n \right\} $$

解説

隣接2項間漸化式と階差数列の基本問題である。文字定数 $r$ が含まれている場合、$r$ の値によって数列の性質が大きく変わる可能性があることに常に注意を払う必要がある。本問では、$a_n = pa_{n-1} + q$ の形をした漸化式において $p = 1$ となる場合、すなわち $\frac{1}{r} = 1$ より $r=1$ となる場合を見落とさずに場合分けできるかが最大のポイントである。等比数列の和の公式を用いる際にも、公比が $1$ の場合は公式が使えないため、この場合分けは不可避である。

答え

(1)

$r = 1$ のとき

$$ a_n = n $$

$r \neq 1$ かつ $r \neq 0$ のとき

$$ a_n = \frac{r^2}{r-1} - \frac{r}{r-1} \left( \frac{1}{r} \right)^{n-1} $$

(2)

$r = 1$ のとき

$$ b_n = \frac{1}{2}n(n+1) $$

$r \neq 1$ かつ $r \neq 0$ のとき

$$ b_n = \frac{nr^2}{r-1} - \frac{r^2}{(r-1)^2} \left\{ 1 - \left( \frac{1}{r} \right)^n \right\} $$

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