北海道大学 1992年 文系 第4問 解説

方針・初手
(1) 与えられた関数 $f(x)$ を微分し、点 $(a, f(a))$ における接線の方程式を立てる。その方程式と $y = g(a)x + h(a)$ の係数を比較して $g(a), h(a)$ を求める。
(2) $f(x)$ と接線の式の差をとった関数 $F(x) = f(x) - \{g(a)x + h(a)\}$ を考える。条件は $x \leqq a$ において常に $F(x) \geqq 0$ となることである。$F(x)$ は $x=a$ で極値 $0$ をとるため $(x-a)^2$ を因数にもつ性質を利用して因数分解し、不等式を解く方針をとる。
(3) 「接点のみを共有する」という条件は、方程式 $F(x) = 0$ の実数解が接点の $x$ 座標である $x=a$ のみ(3重解)になることと言い換えられる。これにより $a$ を決定し、定積分を用いて面積を計算する。
解法1
(1)
$f(x) = 6x^2 - x^3$ を微分すると、
$$f'(x) = 12x - 3x^2$$
となる。点 $(a, f(a))$ における曲線 $C$ の接線の方程式は、
$$y - (6a^2 - a^3) = (12a - 3a^2)(x - a)$$
と表せる。右辺を展開して整理すると、
$$y = (12a - 3a^2)x - 12a^2 + 3a^3 + 6a^2 - a^3$$
$$y = (-3a^2 + 12a)x + 2a^3 - 6a^2$$
となる。これが $y = g(a)x + h(a)$ と一致するため、係数を比較して、
$$g(a) = -3a^2 + 12a$$
$$h(a) = 2a^3 - 6a^2$$
と求まる。
(2)
与えられた条件は、$x \leqq a$ であるすべての $x$ に対して $f(x) - \{g(a)x + h(a)\} \geqq 0$ が成り立つことである。 $F(x) = f(x) - \{g(a)x + h(a)\}$ とおくと、
$$F(x) = -x^3 + 6x^2 - (-3a^2 + 12a)x - (2a^3 - 6a^2)$$
となる。曲線 $y=f(x)$ と直線 $y = g(a)x + h(a)$ は $x=a$ で接するため、$F(x)$ は $(x-a)^2$ を因数にもつ。 最高次の係数と定数項に着目して因数分解すると、
$$F(x) = -(x-a)^2 (x + 2a - 6)$$
と変形できる。
$x \leqq a$ において常に $F(x) \geqq 0$ となる条件を求める。 すべての実数 $x$ において $(x-a)^2 \geqq 0$ であるため、$x < a$ のとき $F(x) \geqq 0$ となるには、
$$-(x + 2a - 6) \geqq 0$$
$$x + 2a - 6 \leqq 0$$
$$x \leqq -2a + 6$$
が成り立つ必要がある。これがすべての $x < a$ で成り立つための条件は、
$$a \leqq -2a + 6$$
である。($x=a$ のときは $F(a)=0$ となり常に題意を満たす。) この不等式を解いて、
$$3a \leqq 6$$
$$a \leqq 2$$
となる。
(3)
曲線 $C$ の接線 $l$ が $C$ と接点のみを共有するのは、方程式 $F(x) = 0$ の実数解が接点 $x=a$ のみとなるときである。 解法1の(2)より、$F(x) = 0$ の解は $x = a, -2a + 6$ であるから、これらが一致して3重解となるときに条件を満たす。
$$a = -2a + 6$$
$$3a = 6$$
$$a = 2$$
このとき、接線 $l$ の方程式を求めるため (1) の結果に $a=2$ を代入すると、
$$g(2) = -3 \cdot 2^2 + 12 \cdot 2 = 12$$
$$h(2) = 2 \cdot 2^3 - 6 \cdot 2^2 = -8$$
となり、$l$ の方程式は $y = 12x - 8$ となる。 またこのとき、$F(x) = -(x-2)^3$ である。
求める面積 $S$ は、直線 $l$ と曲線 $C$ および $y$ 軸($x=0$)で囲まれる図形の面積である。 区間 $0 \leqq x \leqq 2$ において $F(x) = -(x-2)^3 \geqq 0$、すなわち $f(x) \geqq 12x - 8$ であるから、上のグラフが曲線 $C$、下のグラフが接線 $l$ となる。
$$S = \int_{0}^{2} \{ f(x) - (12x - 8) \} dx$$
$$S = \int_{0}^{2} -(x-2)^3 dx$$
$$S = \left[ -\frac{1}{4}(x-2)^4 \right]_{0}^{2}$$
$$S = 0 - \left( -\frac{1}{4}(-2)^4 \right) = \frac{16}{4} = 4$$
解法2
(2)について、微分を用いて関数の増減から条件を求める別解を示す。
(2)
$F(x) = f(x) - \{g(a)x + h(a)\}$ とおく。
$$F(x) = -x^3 + 6x^2 - (-3a^2 + 12a)x - 2a^3 + 6a^2$$
$F(x)$ を $x$ で微分すると、
$$F'(x) = -3x^2 + 12x + 3a^2 - 12a$$
$$F'(x) = -3(x^2 - 4x - a^2 + 4a)$$
$$F'(x) = -3(x-a)(x+a-4)$$
となる。$F'(x) = 0$ となるのは $x = a, 4-a$ のときである。 $x \leqq a$ の範囲で $F(x) \geqq 0$ となる条件を、極値の位置関係で場合分けして調べる。
(i) $a \leqq 4-a$ すなわち $a \leqq 2$ のとき
$x \leqq a$ の範囲において、$x - a \leqq 0$ かつ $x + a - 4 \leqq 0$ であるため、$F'(x) = -3(x-a)(x+a-4) \leqq 0$ となる。 よって、$F(x)$ は $x \leqq a$ の範囲で単調に減少する。 $x=a$ で最小値 $F(a) = 0$ をとるため、$x \leqq a$ のすべての $x$ に対して $F(x) \geqq 0$ が成り立つ。
(ii) $a > 4-a$ すなわち $a > 2$ のとき
$x \leqq a$ の範囲に $x = 4-a$ が存在する。 $x = 4-a$ の前後で $F'(x)$ の符号は負から正に変わるため、$F(x)$ は $x=4-a$ で極小値をとる。 極小値 $F(4-a)$ を計算する。$F(x)$ は $x=a$ において $F(a)=0, F'(a)=0$ を満たすことから $F(x) = -(x-a)^2(x+2a-6)$ と因数分解できるため、これを利用して計算すると、
$$F(4-a) = -(4-a-a)^2(4-a+2a-6) = -(4-2a)^2(a-2) = -4(a-2)^3$$
となる。$a > 2$ よりこの極小値は負となるため、$x \leqq a$ で常に $F(x) \geqq 0$ とはならない。
(i), (ii) より、求める $a$ の範囲は $a \leqq 2$ である。
解説
3次関数のグラフとその接線に関する典型的な問題である。 関数と接線の差をとった関数 $F(x)$ が、接点 $x=a$ において $(x-a)^2$ を因数にもつという重要な性質を利用できるかが問われている。(2)では、この性質を用いて因数分解する解法1の方が、微分の増減表を考える解法2よりも見通しよく解くことができる。
(3)の面積計算においても、被積分関数が $-(x-2)^3$ と簡潔な形にまとまるため、展開せずに $\int (x-\alpha)^n dx = \frac{1}{n+1}(x-\alpha)^{n+1} + C$ の積分公式を用いることで計算ミスを減らすことができる。
答え
(1) $g(a) = -3a^2 + 12a, \quad h(a) = 2a^3 - 6a^2$
(2) $a \leqq 2$
(3) $a=2$, 面積は $4$
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