北海道大学 1966年 理系 第3問 解説

方針・初手
(1) 与えられた $z$ の値を式に代入し、分母の実数化を行ってから絶対値の2乗を計算する。
(2) 与式から分母を払って $z$ の2次方程式として解く。得られた $z$ を極形式で表し、ド・モアブルの定理を用いて負のべき乗を計算する。
(3) ベクトルが直交するための条件である「内積が $0$ になる」という関係式を立てる。成分を先に計算する方法と、内積を展開してから代入する方法がある。
解法1
(1)
$z = 1 - i$ を与式に代入するため、まず $\frac{1}{z}$ を計算して分母を実数化する。
$$ \frac{1}{z} = \frac{1}{1 - i} = \frac{1 + i}{(1 - i)(1 + i)} = \frac{1 + i}{1^2 + 1^2} = \frac{1 + i}{2} $$
これを用いて、絶対値の中身を計算する。
$$ z - \frac{1}{z} = (1 - i) - \frac{1 + i}{2} = \frac{2 - 2i - 1 - i}{2} = \frac{1 - 3i}{2} $$
したがって、求める絶対値の2乗は以下のようになる。
$$ \left|z - \frac{1}{z}\right|^2 = \left|\frac{1 - 3i}{2}\right|^2 = \frac{1^2 + (-3)^2}{2^2} = \frac{10}{4} = \frac{5}{2} $$
(2)
与えられた方程式 $z + \frac{4}{z} = 2$ の両辺に $z$ を掛ける。($z \neq 0$ は明らかである)
$$ z^2 + 4 = 2z $$
$$ z^2 - 2z + 4 = 0 $$
二次方程式の解の公式を用いて $z$ を求める。
$$ z = \frac{2 \pm \sqrt{4 - 16}}{2} = 1 \pm \sqrt{3}i $$
これを極形式で表す。
$$ z = 2\left(\frac{1}{2} \pm \frac{\sqrt{3}}{2}i\right) = 2\left(\cos\left(\pm\frac{\pi}{3}\right) + i\sin\left(\pm\frac{\pi}{3}\right)\right) $$
(複号同順)
求めるものは $\frac{1}{z^2} = z^{-2}$ であるため、ド・モアブルの定理を用いる。
$$ z^{-2} = 2^{-2} \left(\cos\left(-2 \times \left(\pm\frac{\pi}{3}\right)\right) + i\sin\left(-2 \times \left(\pm\frac{\pi}{3}\right)\right)\right) $$
$$ \frac{1}{z^2} = \frac{1}{4} \left(\cos\left(\mp\frac{2\pi}{3}\right) + i\sin\left(\mp\frac{2\pi}{3}\right)\right) $$
複号によって2つの値が得られるため、偏角の取り方に注意して記述する。
$$ \frac{1}{4} \left(\cos\frac{2\pi}{3} + i\sin\frac{2\pi}{3}\right), \quad \frac{1}{4} \left(\cos\left(-\frac{2\pi}{3}\right) + i\sin\left(-\frac{2\pi}{3}\right)\right) $$
(3)
2つのベクトル $\vec{a} + x\vec{b}$ と $\vec{a} - \vec{b}$ の成分をそれぞれ求める。
$$ \vec{a} + x\vec{b} = (3, 4) + x(2, -1) = (3 + 2x, 4 - x) $$
$$ \vec{a} - \vec{b} = (3, 4) - (2, -1) = (1, 5) $$
これらのベクトルが直交するため、内積が $0$ になる。
$$ (\vec{a} + x\vec{b}) \cdot (\vec{a} - \vec{b}) = 0 $$
$$ (3 + 2x) \cdot 1 + (4 - x) \cdot 5 = 0 $$
これを展開して $x$ の方程式を解く。
$$ 3 + 2x + 20 - 5x = 0 $$
$$ -3x + 23 = 0 $$
$$ x = \frac{23}{3} $$
解法2
(3)の別解
成分計算を後回しにし、内積の性質を用いて式を展開する。直交条件より、内積が $0$ となる。
$$ (\vec{a} + x\vec{b}) \cdot (\vec{a} - \vec{b}) = 0 $$
これを展開する。
$$ |\vec{a}|^2 - \vec{a} \cdot \vec{b} + x(\vec{a} \cdot \vec{b}) - x|\vec{b}|^2 = 0 $$
各値を成分から計算する。
$$ |\vec{a}|^2 = 3^2 + 4^2 = 25 $$
$$ |\vec{b}|^2 = 2^2 + (-1)^2 = 5 $$
$$ \vec{a} \cdot \vec{b} = 3 \cdot 2 + 4 \cdot (-1) = 2 $$
これらを展開した式に代入する。
$$ 25 - 2 + 2x - 5x = 0 $$
$$ 23 - 3x = 0 $$
$$ x = \frac{23}{3} $$
解説
(1) 複素数の四則演算と絶対値の計算問題である。分母の実数化をミスなく行うことがポイントとなる。
(2) 分数方程式を2次方程式に帰着させ、極形式に変換してからド・モアブルの定理を適用する典型的な流れである。偏角の範囲に特に指定がないため、$-\pi < \theta \leqq \pi$ や $0 \leqq \theta < 2\pi$ などのどの範囲で答えても正解となる。
(3) ベクトルの直交条件が「内積 $= 0$」であることの基本的な確認問題である。成分から先に計算して内積を求める方法と、内積の式を展開してから代入する方法のどちらでも容易に解くことができる。
答え
(1)
$$ \frac{5}{2} $$
(2)
$$ \frac{1}{4} \left(\cos\frac{2\pi}{3} + i\sin\frac{2\pi}{3}\right), \quad \frac{1}{4} \left(\cos\left(-\frac{2\pi}{3}\right) + i\sin\left(-\frac{2\pi}{3}\right)\right) $$
(3)
$$ x = \frac{23}{3} $$
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