北海道大学 1978年 理系 第1問 解説

方針・初手
- (1) 与えられた円の方程式を平方完成して標準形にし、中心の座標を媒介変数 $\alpha$ で表す。そこから $\alpha$ を消去して軌跡の方程式を求める。$\alpha \neq 1$ であることによる軌跡の除外点に注意する。
- (2) 円の方程式を $\alpha$ について整理し、すべての円が共有する定点がないか調べる方針が計算量を抑えやすい。別の方針として、接線の方程式を文字でおいて「円の中心と直線の距離=半径」の恒等式を立てる解法も可能である。
- (3) 不等式 $D_\alpha$ の条件式を $\alpha$ についての1次関数とみなす。「$\alpha < 1$ を満たすすべての $\alpha$ について正になる」という条件を、$\alpha$ の係数(関数の傾き)で場合分けして処理する。
解法1
(1)
円 $C_\alpha$ の方程式を変形すると
$$ x^2 - 2\alpha x + y^2 + 2(\alpha - 2)y + 2 = 0 $$
$$ (x - \alpha)^2 - \alpha^2 + (y + \alpha - 2)^2 - (\alpha - 2)^2 + 2 = 0 $$
$$ (x - \alpha)^2 + (y + \alpha - 2)^2 = 2\alpha^2 - 4\alpha + 2 $$
$$ (x - \alpha)^2 + (y + \alpha - 2)^2 = 2(\alpha - 1)^2 $$
となる。$\alpha \neq 1$ より $2(\alpha - 1)^2 > 0$ であるため、これは確かに円を表す。
中心の座標を $(x, y)$ とすると
$$ \begin{cases} x = \alpha \\ y = -\alpha + 2 \end{cases} $$
上の2式から $\alpha$ を消去すると
$$ y = -x + 2 $$
また、$\alpha$ は $\alpha \neq 1$ を満たすすべての実数を動くため、$x \neq 1$ である。 したがって、中心の描く図形は、直線 $y = -x + 2$ のうち点 $(1, 1)$ を除いた部分となる。
(2)
すべての円 $C_\alpha$ が通る定点が存在するかを調べる。 円の方程式を $\alpha$ について整理すると
$$ (x^2 + y^2 - 4y + 2) - 2\alpha(x - y) = 0 $$
これが任意の $\alpha \neq 1$ に対して成り立つような $(x, y)$ は、以下の連立方程式を満たす。
$$ \begin{cases} x^2 + y^2 - 4y + 2 = 0 \\ -2(x - y) = 0 \end{cases} $$
第2式から $y = x$ となり、これを第1式に代入すると
$$ 2x^2 - 4x + 2 = 0 $$
$$ 2(x - 1)^2 = 0 $$
よって $x = 1$ であり、このとき $y = 1$ となる。 これは、すべての円 $C_\alpha$ が定点 $(1, 1)$ を通ることを意味する。
(1) より $C_\alpha$ の中心は $(\alpha, -\alpha + 2)$ であり、定点 $(1, 1)$ と結ぶ線分の傾きは
$$ \frac{(-\alpha + 2) - 1}{\alpha - 1} = \frac{-\alpha + 1}{\alpha - 1} = -1 $$
となり、$\alpha$ の値にかかわらず常に $-1$ で一定である。
円上の点 $(1, 1)$ における接線は、中心と $(1, 1)$ を結ぶ直線に垂直であるから、その傾きは $1$ となる。 接点 $(1, 1)$ と接線の傾き $1$ がすべての円 $C_\alpha$ で共通しているため、この直線がすべての円に接する直線である。 したがって、求める接線の方程式は
$$ y - 1 = 1 \cdot (x - 1) $$
$$ y = x $$
(3)
点 $(x, y)$ が $\alpha < 1$ であるすべての $D_\alpha$ に属するための条件は、$\alpha < 1$ を満たすすべての実数 $\alpha$ に対して
$$ x^2 - 2\alpha x + y^2 + 2(\alpha - 2)y + 2 > 0 $$
が成り立つことである。これを $\alpha$ について整理し、左辺を $f(\alpha)$ とおく。
$$ f(\alpha) = -2(x - y)\alpha + x^2 + y^2 - 4y + 2 $$
条件は「$\alpha < 1$ を満たすすべての $\alpha$ について $f(\alpha) > 0$ となること」である。 $f(\alpha)$ のグラフは $\alpha$ の1次以下の関数(直線)であるため、傾き $-2(x - y)$ の符号によって場合分けを行う。
(i) $-2(x - y) > 0$ すなわち $x < y$ のとき
$f(\alpha)$ は $\alpha$ についての単調増加関数である。 $\alpha \to -\infty$ のとき $f(\alpha) \to -\infty$ となるため、$\alpha < 1$ のすべての範囲で $f(\alpha) > 0$ となることはなく、不適である。
(ii) $-2(x - y) < 0$ すなわち $x > y$ のとき
$f(\alpha)$ は $\alpha$ についての単調減少関数である。 $\alpha < 1$ で常に $f(\alpha) > 0$ となるための必要十分条件は、$f(1) \ge 0$ である。
$$ f(1) = -2(x - y) + x^2 + y^2 - 4y + 2 \ge 0 $$
$$ x^2 - 2x + y^2 - 2y + 2 \ge 0 $$
$$ (x - 1)^2 + (y - 1)^2 \ge 0 $$
これは任意の実数 $x, y$ に対して常に成り立つ。 したがって、$x > y$ を満たす点はすべて条件を満たす。
(iii) $-2(x - y) = 0$ すなわち $x = y$ のとき
$f(\alpha)$ は定数関数となり、
$$ f(\alpha) = 2x^2 - 4x + 2 = 2(x - 1)^2 $$
となる。これが常に正となるための条件は $x \neq 1$ である。 したがって、$x = y$ かつ $x \neq 1$ が条件となる。
(i)〜(iii) より、求める領域は $x \ge y$ かつ $(x, y) \neq (1, 1)$ となる。
解法2
(2) の別解
すべての円 $C_\alpha$ に接する直線を $ax + by + c = 0$ ($a^2 + b^2 \neq 0$) とおく。 円の中心 $(\alpha, -\alpha + 2)$ と直線の距離が、円の半径 $\sqrt{2}|\alpha - 1|$ に等しくなることが条件である。
$$ \frac{|a\alpha + b(-\alpha + 2) + c|}{\sqrt{a^2 + b^2}} = \sqrt{2}|\alpha - 1| $$
$$ |(a - b)\alpha + 2b + c| = \sqrt{2(a^2 + b^2)} |\alpha - 1| $$
これが $\alpha \neq 1$ である任意の実数 $\alpha$ に対して成り立つ。 両辺は $\alpha$ についての連続関数であるため、極限をとれば $\alpha = 1$ でも成り立つ。 $\alpha = 1$ を代入すると右辺が $0$ になるため、左辺も $0$ にならなければならない。
$$ |(a - b) \cdot 1 + 2b + c| = 0 $$
$$ a + b + c = 0 $$
これより $c = -(a + b)$ となる。これを元の等式の左辺の絶対値の中に代入すると
$$ (a - b)\alpha + 2b - (a + b) = (a - b)\alpha - (a - b) = (a - b)(\alpha - 1) $$
となるので、距離の式は次のように簡略化される。
$$ |a - b| |\alpha - 1| = \sqrt{2(a^2 + b^2)} |\alpha - 1| $$
$\alpha \neq 1$ より $|\alpha - 1| \neq 0$ であるから、両辺を割って
$$ |a - b| = \sqrt{2(a^2 + b^2)} $$
両辺は正なので2乗して整理する。
$$ a^2 - 2ab + b^2 = 2a^2 + 2b^2 $$
$$ a^2 + 2ab + b^2 = 0 $$
$$ (a + b)^2 = 0 $$
これより $b = -a$ となる。このとき $c = -(a - a) = 0$ である。 $a = 0$ とすると $b = 0$ となり $a^2 + b^2 \neq 0$ に反するため $a \neq 0$。 これらを直線の方程式に代入すると
$$ ax - ay = 0 $$
$$ x - y = 0 $$
よって、求める直線の方程式は $y = x$ である。
解説
図形と方程式の分野における、文字定数を含む曲線群(円束など)の標準的な問題です。
(2) では、「すべての $\alpha$ に対して~」という文言から $\alpha$ についての恒等式を作る発想が重要です。円の式を $\alpha$ について整理することで定点 $(1, 1)$ を通ることが見抜ければ、そこにおける接線を調べるだけで簡潔に解答できます。別解のように直線と円の距離公式から恒等式を処理する方法も汎用性が高く、確実に押さえておきたい解法です。
(3) も同様に、与えられた不等式を $(x,y)$ の式としてではなく、「$\alpha$ についての1次不等式」として捉える視点の転換がカギになります。1次関数 $f(\alpha) = A\alpha + B$ が特定の区間で常に正となる条件は、直線の傾き $A$ の符号で場合分けをして、端点での符号を調べるのが定石です。
答え
(1) 直線 $y = -x + 2$。ただし、点 $(1, 1)$ を除く。(図は省略) (2) $y = x$ (3) 不等式 $y \le x$ の表す領域。ただし、点 $(1, 1)$ を除く。境界線は含む。(図は省略)
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