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北海道大学 1978年 理系 第2問 解説

数学C/空間ベクトル数学1/立体図形テーマ/最大・最小テーマ/空間図形
北海道大学 1978年 理系 第2問 解説

方針・初手

空間における平面の方程式と、ねじれの位置にある2直線の距離の最小値を求める問題である。 (1) 平面 $\pi$ の法線ベクトルは、2直線 $l_1, l_2$ の方向ベクトルの両方に垂直であることに着目する。 (2) 点から平面に下ろした垂線の足の座標は、垂線のベクトル方程式を平面の方程式に代入して媒介変数を求めるのが定石である。 (3) 直線上の動点間の距離の最小値については、(1)と(2)の誘導を活かし、点と平面の距離の関係に帰着させる幾何学的な考察を行うと見通しが良い。もちろん、ベクトルを用いて2点間の距離の2乗を2変数関数として表し、平方完成により最小値を求める代数的な手法でも解くことができる。

解法1

(1)

直線 $l_1$ の方向ベクトルを $\vec{u_1}$、直線 $l_2$ の方向ベクトルを $\vec{u_2}$ とする。2点を通る直線の方向ベクトルは、2点の位置ベクトルの差で表される。

$$ \begin{aligned} \vec{u_1} &= \vec{AB} = (1 - 2, 4 - (-2), -1 - 1) = (-1, 6, -2) \\ \vec{u_2} &= \vec{CD} = (-1 - 1, 5 - 1, 3 - 3) = (-2, 4, 0) \end{aligned} $$

平面 $\pi$ の法線ベクトルを $\vec{n} = (a, b, c)$ とおく。 条件より直線 $l_1$ は平面 $\pi$ に含まれるため、$\vec{n} \perp \vec{u_1}$ であり $\vec{n} \cdot \vec{u_1} = 0$ となる。 また、直線 $l_2$ は平面 $\pi$ に平行であるため、$\vec{n} \perp \vec{u_2}$ であり $\vec{n} \cdot \vec{u_2} = 0$ となる。 これにより、以下の連立方程式を得る。

$$ \begin{cases} -a + 6b - 2c = 0 \\ -2a + 4b = 0 \end{cases} $$

第2式より $a = 2b$ である。これを第1式に代入すると、$-2b + 6b - 2c = 0$ すなわち $2c = 4b$ となり、$c = 2b$ を得る。 法線ベクトルは零ベクトルではないので、計算を簡単にするために $b = 1$ とすると、$\vec{n} = (2, 1, 2)$ となる。 平面 $\pi$ は点 $A(2, -2, 1)$ を通る(点 $B$ でもよい)ので、その方程式は次のように求められる。

$$ 2(x - 2) + 1(y - (-2)) + 2(z - 1) = 0 $$

展開して整理する。

$$ 2x + y + 2z - 4 = 0 $$

(2)

点 $H$ は、点 $C(1, 1, 3)$ を通り平面 $\pi$ に垂直な直線と、平面 $\pi$ との交点である。 この直線の方向ベクトルは平面 $\pi$ の法線ベクトル $\vec{n} = (2, 1, 2)$ に平行である。 実数 $t$ を用いると、直線上の点 $H$ の位置ベクトルは $\vec{OH} = \vec{OC} + t\vec{n}$ と媒介変数表示できる。

$$ \begin{aligned} \vec{OH} &= (1, 1, 3) + t(2, 1, 2) \\ &= (1 + 2t, 1 + t, 3 + 2t) \end{aligned} $$

点 $H$ の座標 $(1 + 2t, 1 + t, 3 + 2t)$ は平面 $\pi$ 上の点であるから、(1)で求めた平面 $\pi$ の方程式を満たす。

$$ 2(1 + 2t) + (1 + t) + 2(3 + 2t) - 4 = 0 $$

展開して $t$ について解く。

$$ \begin{aligned} 2 + 4t + 1 + t + 6 + 4t - 4 &= 0 \\ 9t + 5 &= 0 \\ t &= -\frac{5}{9} \end{aligned} $$

これを $\vec{OH}$ の成分表示に代入し、$H$ の各座標を求める。

$$ \begin{aligned} x &= 1 + 2\left(-\frac{5}{9}\right) = -\frac{1}{9} \\ y &= 1 + \left(-\frac{5}{9}\right) = \frac{4}{9} \\ z &= 3 + 2\left(-\frac{5}{9}\right) = \frac{17}{9} \end{aligned} $$

よって、点 $H$ の座標は $\left( -\frac{1}{9}, \frac{4}{9}, \frac{17}{9} \right)$ である。 次に、線分 $CH$ の長さを求める。これはベクトル $\vec{CH}$ の大きさである。 $\vec{CH} = \vec{OH} - \vec{OC} = t\vec{n}$ であるから、以下のように計算できる。

$$ CH = |t||\vec{n}| = \left|-\frac{5}{9}\right| \sqrt{2^2 + 1^2 + 2^2} = \frac{5}{9} \times 3 = \frac{5}{3} $$

(3)

直線 $l_2$ 上の任意の点 $Q$ を通り、平面 $\pi$ に垂直な直線と平面 $\pi$ の交点を $Q'$ とする。 線分 $QQ'$ は平面 $\pi$ に垂直であるため、平面 $\pi$ 上の任意の点 $X$ において、$\triangle XQQ'$ は $\angle XQ'Q = 90^\circ$ の直角三角形となる(ただし、点 $X$ と点 $Q'$ が一致する場合は除く)。 直角三角形の斜辺は他のどの辺よりも長いため、$X$ と $Q'$ が一致する場合も含めると、常に $QX \geqq QQ'$ が成り立つ。

(1)の構成より、直線 $l_1$ は平面 $\pi$ に含まれるため、直線 $l_1$ 上の点 $P$ は平面 $\pi$ 上の点である。 したがって、$X$ として点 $P$ を選ぶと、

$$ PQ \geqq QQ' $$

が成り立つ。 ここで、$QQ'$ の長さは点 $Q$ と平面 $\pi$ との距離である。 条件より直線 $l_2$ は平面 $\pi$ と平行であるため、直線 $l_2$ 上の点と平面 $\pi$ との距離は常に一定であり、直線 $l_2$ 上の点 $C$ と平面 $\pi$ との距離 $CH$ に等しい。 ゆえに、$QQ' = CH$ であり、以下の不等式が得られる。

$$ PQ \geqq CH $$

等号が成立するのは、点 $P$ と点 $Q'$ が一致するときである。このような点 $P, Q$ が実際に存在するかを確認する。 点 $Q$ が直線 $l_2$ 全体を動くとき、その垂線の足 $Q'$ の軌跡は、直線 $l_2$ を平面 $\pi$ に正射影した直線となる。これを $l_2'$ とする。 直線 $l_1$ の方向ベクトル $\vec{u_1} = (-1, 6, -2)$ と、直線 $l_2'$ の方向ベクトル(これは $\vec{u_2} = (-2, 4, 0)$ と等しい)は実数倍の関係になく、平行ではない。 したがって、同一平面 $\pi$ 上にある2直線 $l_1$ と $l_2'$ は平行ではなく、必ず1点で交わる。 その交点を $P_0$ とすると、点 $Q'$ が $P_0$ と一致するような直線 $l_2$ 上の点 $Q_0$ が存在する。 このとき $P = P_0, Q = Q_0$ において $PQ = CH$ となり、等号を満たす点が確かに存在する。

以上より、線分 $CH$ の長さは、直線 $l_1$ 上の動点 $P$ と直線 $l_2$ 上の動点 $Q$ との距離の最小値に等しいことが証明された。

解法2

(3) の別解(ベクトルと代数計算によるアプローチ)

直線 $l_1$ 上の点 $P$ は、実数 $s$ を用いて $\vec{OP} = \vec{OA} + s\vec{u_1}$ と表せる。

$$ \begin{aligned} \vec{OP} &= (2, -2, 1) + s(-1, 6, -2) \\ &= (2 - s, -2 + 6s, 1 - 2s) \end{aligned} $$

直線 $l_2$ 上の点 $Q$ は、実数 $t$ を用いて $\vec{OQ} = \vec{OC} + t\vec{v}$ と表せる。ここで計算を簡単にするため、$\vec{u_2}$ と平行な $\vec{v} = (-1, 2, 0)$ を方向ベクトルとして用いる。

$$ \begin{aligned} \vec{OQ} &= (1, 1, 3) + t(-1, 2, 0) \\ &= (1 - t, 1 + 2t, 3) \end{aligned} $$

ベクトル $\vec{PQ}$ の成分を計算する。

$$ \begin{aligned} \vec{PQ} &= \vec{OQ} - \vec{OP} \\ &= (1 - t - (2 - s), 1 + 2t - (-2 + 6s), 3 - (1 - 2s)) \\ &= (s - t - 1, -6s + 2t + 3, 2s + 2) \end{aligned} $$

距離の2乗 $PQ^2$ を計算し、$s, t$ の関数として整理する。

$$ \begin{aligned} PQ^2 &= (s - t - 1)^2 + (-6s + 2t + 3)^2 + (2s + 2)^2 \\ &= (s^2 + t^2 + 1 - 2st + 2t - 2s) + (36s^2 + 4t^2 + 9 - 24st + 12t - 36s) + (4s^2 + 8s + 4) \\ &= 41s^2 - 26st - 30s + 5t^2 + 14t + 14 \end{aligned} $$

これを特定の変数(ここでは $t$)について整理し、平方完成を行う。

$$ \begin{aligned} PQ^2 &= 5t^2 - 2(13s - 7)t + 41s^2 - 30s + 14 \\ &= 5\left\{ t - \frac{13s - 7}{5} \right\}^2 - 5\left( \frac{13s - 7}{5} \right)^2 + 41s^2 - 30s + 14 \\ &= 5\left( t - \frac{13s - 7}{5} \right)^2 - \frac{169s^2 - 182s + 49}{5} + \frac{205s^2 - 150s + 70}{5} \\ &= 5\left( t - \frac{13s - 7}{5} \right)^2 + \frac{36s^2 + 32s + 21}{5} \end{aligned} $$

残りの $s$ の部分についても平方完成を行う。

$$ \begin{aligned} PQ^2 &= 5\left( t - \frac{13s - 7}{5} \right)^2 + \frac{36}{5}\left( s^2 + \frac{8}{9}s \right) + \frac{21}{5} \\ &= 5\left( t - \frac{13s - 7}{5} \right)^2 + \frac{36}{5}\left( s + \frac{4}{9} \right)^2 - \frac{36}{5} \cdot \left(\frac{4}{9}\right)^2 + \frac{21}{5} \\ &= 5\left( t - \frac{13s - 7}{5} \right)^2 + \frac{36}{5}\left( s + \frac{4}{9} \right)^2 - \frac{64}{45} + \frac{189}{45} \\ &= 5\left( t - \frac{13s - 7}{5} \right)^2 + \frac{36}{5}\left( s + \frac{4}{9} \right)^2 + \frac{125}{45} \\ &= 5\left( t - \frac{13s - 7}{5} \right)^2 + \frac{36}{5}\left( s + \frac{4}{9} \right)^2 + \frac{25}{9} \end{aligned} $$

$s, t$ は実数であるから、各平方の項は0以上となる。したがって、

$$ PQ^2 \geqq \frac{25}{9} $$

等号は $s + \frac{4}{9} = 0$ かつ $t - \frac{13s - 7}{5} = 0$ のとき、すなわち $s = -\frac{4}{9}, t = -\frac{23}{9}$ のときに成立する。 よって $PQ^2$ の最小値は $\frac{25}{9}$ であり、$PQ \geqq 0$ より $PQ$ の最小値は $\frac{5}{3}$ となる。 これは(2)で求めた $CH$ の長さ $\frac{5}{3}$ と一致する。

解説

空間における「ねじれの位置」にある2直線の最短距離を問う典型的な背景を持つ問題である。 ねじれの位置にある2直線間の距離の最小値は、両方の直線に垂直に交わる線分(共通垂線)の長さと等しくなる。 (1), (2) が丁寧な誘導となっており、一方の直線を含むようにもう一方の直線と平行な平面を設定することで、最短距離が「点と平面の距離」に帰着することを視覚的・幾何学的に理解できるよう構成されている。 解法1のように図形的な意味を捉えて不等式評価を行う方法は、計算量が少なく論理も明快である。一方で、解法2のようにパラメータを設定して2変数関数の最小値問題としてゴリ押しする手法も、いざというときの確実な解法として習熟しておきたい。

答え

(1) $2x + y + 2z - 4 = 0$

(2) 点 $H$ の座標: $\left( -\frac{1}{9}, \frac{4}{9}, \frac{17}{9} \right)$ 線分 $CH$ の長さ: $\frac{5}{3}$

(3) 解説内の証明を参照。

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