北海道大学 1989年 理系 第5問 解説

方針・初手
- 反復試行の確率の公式を用いて、表が $k$ 回出たときの座標 $X_n$ とその確率を一般式で表す。
- (2) では $n=3$ の場合の $X_3$ の取りうる値とそれぞれの確率を具体的に書き出し、与えられた区間に含まれる確率を比較して不等式を解く。
解法1
(1)
$n$ 回硬貨を投げて、表が $k$ 回 ($k = 0, 1, 2, \dots, n$) 出たとすると、裏は $n-k$ 回出る。
点 $A$ は表が出ると正の方向に $a$、裏が出ると負の方向に $b$ 進むので、このときの点 $A$ の座標 $X_n$ は
$$ X_n = a k - b (n - k) = (a + b) k - b n $$
となる。
この座標をとる確率は、表が出る確率が $p$ の硬貨を $n$ 回投げる反復試行において、表がちょうど $k$ 回出る確率に等しい。
以上より、$X_n$ の確率分布は以下のようになる。
$X_n = (a + b) k - b n$ をとる確率は ${}_n\mathrm{C}_k p^k (1 - p)^{n - k}$ (ただし $k = 0, 1, 2, \dots, n$)
(2)
$a = 2, b = 1, n = 3$ のとき、(1) の結果より表が $k$ 回 ($k = 0, 1, 2, 3$) 出たときの座標 $X_3$ は
$$ X_3 = (2 + 1) k - 1 \cdot 3 = 3k - 3 $$
となる。
各 $k$ における $X_3$ の値とその確率は次のようになる。
($k=0$ のとき)
$X_3 = -3$ であり、その確率は $P(X_3 = -3) = {}_3\mathrm{C}_0 p^0 (1 - p)^3 = (1 - p)^3$
($k=1$ のとき)
$X_3 = 0$ であり、その確率は $P(X_3 = 0) = {}_3\mathrm{C}_1 p^1 (1 - p)^2 = 3p (1 - p)^2$
($k=2$ のとき)
$X_3 = 3$ であり、その確率は $P(X_3 = 3) = {}_3\mathrm{C}_2 p^2 (1 - p)^1 = 3p^2 (1 - p)$
($k=3$ のとき)
$X_3 = 6$ であり、その確率は $P(X_3 = 6) = {}_3\mathrm{C}_3 p^3 (1 - p)^0 = p^3$
ここで、$X_3$ が区間 $-4 \leqq x \leqq 0$ に存在する確率は、$X_3$ の取りうる値のうち $-3$ と $0$ が該当するので、
$$ \begin{aligned} P(-4 \leqq X_3 \leqq 0) &= P(X_3 = -3) + P(X_3 = 0) \\ &= (1 - p)^3 + 3p (1 - p)^2 \end{aligned} $$
また、$X_3$ が区間 $1 \leqq x \leqq 5$ に存在する確率は、$X_3$ の取りうる値のうち $3$ のみが該当するので、
$$ P(1 \leqq X_3 \leqq 5) = P(X_3 = 3) = 3p^2 (1 - p) $$
条件より、$P(-4 \leqq X_3 \leqq 0) > P(1 \leqq X_3 \leqq 5)$ であるから、
$$ (1 - p)^3 + 3p (1 - p)^2 > 3p^2 (1 - p) $$
問題の条件より $0 < p < 1$ であるから $1 - p > 0$ である。両辺を $1 - p$ で割って整理すると、
$$ \begin{aligned} (1 - p)^2 + 3p (1 - p) &> 3p^2 \\ 1 - 2p + p^2 + 3p - 3p^2 &> 3p^2 \\ -5p^2 + p + 1 &> 0 \\ 5p^2 - p - 1 &< 0 \end{aligned} $$
方程式 $5p^2 - p - 1 = 0$ を解くと、
$$ p = \frac{1 \pm \sqrt{1 - 4 \cdot 5 \cdot (-1)}}{10} = \frac{1 \pm \sqrt{21}}{10} $$
よって、不等式 $5p^2 - p - 1 < 0$ の解は
$$ \frac{1 - \sqrt{21}}{10} < p < \frac{1 + \sqrt{21}}{10} $$
ここで、$4 < \sqrt{21} < 5$ であるから、
$$ \frac{1 + 4}{10} < \frac{1 + \sqrt{21}}{10} < \frac{1 + 5}{10} $$
すなわち $0.5 < \frac{1 + \sqrt{21}}{10} < 0.6$ である。
また、明らかに $\frac{1 - \sqrt{21}}{10} < 0$ である。
$0 < p < 1$ であるから、求める $p$ の範囲はこれらとの共通範囲をとって、
$$ 0 < p < \frac{1 + \sqrt{21}}{10} $$
解説
反復試行の確率と確率分布に関する標準的な問題である。
(1)は確率分布を求める問題であり、とりうる値とそれに対応する確率をセットで解答する。表が $k$ 回出る場合の座標を一般式で表すことがポイントである。
(2)は(1)で求めた分布に具体的な数値を代入し、条件を満たす確率の和を比較する。不等式を解く際に、共通因数である $1-p$ が正であることを利用して両辺を割ることで、3次不等式ではなく2次不等式に帰着でき、計算量を減らすことができる。また、最終的な不等式の解と、確率の条件である $0 < p < 1$ との共通範囲をとることを忘れないように注意したい。
答え
(1)
$X_n = (a + b) k - b n$ となる確率は ${}_n\mathrm{C}_k p^k (1 - p)^{n - k}$ (ただし $k = 0, 1, 2, \dots, n$)
(2)
$0 < p < \frac{1 + \sqrt{21}}{10}$
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