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大阪大学 1981年 理系 第5問 解説

数学A/確率数学B/確率分布・統計的推測数学1/方程式不等式テーマ/場合分け
大阪大学 1981年 理系 第5問 解説

方針・初手

確率変数の期待値と分散の定義に従って計算を進める。

(1)

$X$ がそれぞれの値をとる確率が等しいことを確認し、期待値 $E(X)$ と二乗の期待値 $E(X^2)$ を求めて分散を計算する。

(2)

$X+Y=k$ より $Y=k-X$ として、$-n \leqq X \leqq n$ および $-n \leqq Y \leqq n$ から $X$ のとりうる値の範囲を絞り込む。$k$ の値(正負)によって $X$ のとりうる個数が変わるため、場合分けを行う。

(3) 「(2)の結果を利用して」とあるため、定義通りに $Z$ の分散 $V(Z) = E(Z^2) - \{E(Z)\}^2$ を計算する。$p_k = p_{-k}$ の対称性を利用すると計算量を減らすことができる。

解法1

(1) 確率変数 $X$ のとりうる値は $-n, -n+1, \dots, n$ の $(2n+1)$ 個の整数であり、それぞれの値をとる確率はすべて $\frac{1}{2n+1}$ である。

$X$ の期待値 $E(X)$ は、対称性より

$$ E(X) = \sum_{i=-n}^n i \cdot \frac{1}{2n+1} = 0 $$

である。

また、$X^2$ の期待値 $E(X^2)$ は、

$$ E(X^2) = \sum_{i=-n}^n i^2 \cdot \frac{1}{2n+1} $$

$$ = \frac{1}{2n+1} \left( 0^2 + 2 \sum_{i=1}^n i^2 \right) $$

$$ = \frac{2}{2n+1} \cdot \frac{n(n+1)(2n+1)}{6} $$

$$ = \frac{n(n+1)}{3} $$

よって、確率変数 $X$ の分散 $V(X)$ は

$$ V(X) = E(X^2) - \{E(X)\}^2 = \frac{n(n+1)}{3} - 0^2 = \frac{n(n+1)}{3} $$

(2) 1回目に取り出したカードの数を $X$、2回目に取り出したカードの数を $Y$ とすると、$X, Y$ は独立であり、それぞれ $-n$ 以上 $n$ 以下の整数をとる。

カードの取り出し方の全事象は $(2n+1)^2$ 通りであり、これらは同様に確からしい。

$Z = X + Y = k$ となる $(X, Y)$ の組の数を求める。

$Y = k - X$ であり、$-n \leqq Y \leqq n$ を満たさなければならないので、

$$ -n \leqq k - X \leqq n $$

$$ k - n \leqq X \leqq k + n $$

これと $-n \leqq X \leqq n$ を同時に満たす整数 $X$ の個数が、求める $(X, Y)$ の組の数と一致する。

$X$ の満たすべき条件は、

$$ \max(-n, k-n) \leqq X \leqq \min(n, k+n) $$

である。

(i)

$k \geqq 0$ のとき

$k-n \geqq -n$ かつ $k+n \geqq n$ であるから、共通範囲は

$$ k - n \leqq X \leqq n $$

となる。これを満たす整数 $X$ の個数は

$$ n - (k - n) + 1 = 2n - k + 1 \text{ (個)} $$

である。

(ii)

$k < 0$ のとき

$k-n < -n$ かつ $k+n < n$ であるから、共通範囲は

$$ -n \leqq X \leqq k + n $$

となる。これを満たす整数 $X$ の個数は

$$ (k + n) - (-n) + 1 = 2n + k + 1 \text{ (個)} $$

である。

以上より、全事象が $(2n+1)^2$ 通りであるから、$p_k$ は絶対値を用いて次のように表せる。

$$ p_k = \frac{2n - |k| + 1}{(2n+1)^2} $$

(3) (2)で求めた確率 $p_k$ は、$p_{-k} = p_k$ を満たしている。

$Z$ の期待値 $E(Z)$ は、

$$ E(Z) = \sum_{k=-2n}^{2n} k p_k $$

$$ = 0 \cdot p_0 + \sum_{k=1}^{2n} \{ k p_k + (-k) p_{-k} \} $$

$$ = \sum_{k=1}^{2n} k (p_k - p_k) = 0 $$

となる。

また、$Z^2$ の期待値 $E(Z^2)$ は、 $(-k)^2 p_{-k} = k^2 p_k$ より

$$ E(Z^2) = \sum_{k=-2n}^{2n} k^2 p_k = 0^2 \cdot p_0 + 2 \sum_{k=1}^{2n} k^2 p_k $$

$k \geqq 1$ においては $p_k = \frac{2n - k + 1}{(2n+1)^2}$ であるから、

$$ E(Z^2) = 2 \sum_{k=1}^{2n} k^2 \frac{2n - k + 1}{(2n+1)^2} $$

$$ = \frac{2}{(2n+1)^2} \sum_{k=1}^{2n} \left\{ (2n+1)k^2 - k^3 \right\} $$

ここで、それぞれの和の公式を用いると、

$$ \sum_{k=1}^{2n} k^2 = \frac{2n(2n+1)(4n+1)}{6} $$

$$ \sum_{k=1}^{2n} k^3 = \left\{ \frac{2n(2n+1)}{2} \right\}^2 = n^2(2n+1)^2 $$

となるため、代入して計算すると、

$$ E(Z^2) = \frac{2}{(2n+1)^2} \left\{ (2n+1) \cdot \frac{2n(2n+1)(4n+1)}{6} - n^2(2n+1)^2 \right\} $$

$$ = 2 \left\{ \frac{2n(4n+1)}{6} - n^2 \right\} $$

$$ = 2 \cdot \frac{8n^2 + 2n - 6n^2}{6} $$

$$ = \frac{2n^2 + 2n}{3} $$

$$ = \frac{2n(n+1)}{3} $$

よって、$Z$ の分散 $V(Z)$ は

$$ V(Z) = E(Z^2) - \{E(Z)\}^2 = \frac{2n(n+1)}{3} - 0^2 = \frac{2n(n+1)}{3} $$

解説

離散型確率変数の分散を求める典型的な問題である。

(1)は定義通りに期待値と二乗の期待値を計算すればよい。$\sum$ の計算公式を正しく使えるかがポイントになる。

(2)は2つの変数の和の確率分布を求める問題であり、和が $k$ になる条件から変数のとりうる範囲を特定する。$k$ の正負によって場合分けが必要になることに注意したい。絶対値を用いて1つの式にまとめることもできる。

(3)は(2)で求めた確率を用いて $V(Z)$ を計算する。$E(Z)=0$ であることと、$p_k$ が偶関数的($p_{-k} = p_k$)であることを利用して計算量を減らす工夫が大切である。

なお、本問の(3)は「(2)の結果を利用して」という指定があるため、上記のように定義にしたがって和の計算を行う必要があるが、もしこの指定がなければ、試行が独立であることから $V(X+Y) = V(X) + V(Y)$ を用いて即座に $\frac{n(n+1)}{3} + \frac{n(n+1)}{3} = \frac{2n(n+1)}{3}$ と求めることができる。この性質を知っていれば、答えの検算として有効に活用できる。

答え

(1)

$V(X) = \frac{n(n+1)}{3}$

(2)

$p_k = \frac{2n - |k| + 1}{(2n+1)^2}$ ($0 \leqq k \leqq 2n$ のとき $p_k = \frac{2n - k + 1}{(2n+1)^2}$、$-2n \leqq k < 0$ のとき $p_k = \frac{2n + k + 1}{(2n+1)^2}$)

(3)

$V(Z) = \frac{2n(n+1)}{3}$

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