北海道大学 1991年 理系 第5問 解説

方針・初手
(1) 球の中心の座標を $(x, y, z)$ とおき、3つの線分 $OA, OB, AB$ に接する条件を立式する。 線分に接することは、「直線への距離が半径に等しいこと」と「垂線の足(接点)が線分上にあること」の2つの条件からなる。 (2) は、(1) で求めた中心の $z$ 座標と半径を用いて、球が $xy$ 平面によってどのように切り取られるかを考え、断面積の積分計算を行って体積を求める。
解法1
(1)
球 $S$ の中心を $C(x, y, z)$ とおく。$z$ 座標が正であるから $z > 0$ である。 球 $S$ の半径は $\sqrt{6}$ である。
点 $C$ から $x$ 軸に下ろした垂線の足は $(x, 0, 0)$ であり、点 $C$ と $x$ 軸の距離の2乗は $y^2 + z^2$ である。 球 $S$ が線分 $OA$($0 \le x \le \sqrt{2}, y=0, z=0$)に接する条件は、中心と $x$ 軸の距離が $\sqrt{6}$ であり、かつ接点 $(x, 0, 0)$ が線分 $OA$ 上にあることであるから、 $$y^2 + z^2 = 6$$ $$0 \le x \le \sqrt{2}$$
同様に、点 $C$ から $y$ 軸に下ろした垂線の足は $(0, y, 0)$ である。 球 $S$ が線分 $OB$($x=0, 0 \le y \le \sqrt{2}, z=0$)に接する条件は、 $$x^2 + z^2 = 6$$ $$0 \le y \le \sqrt{2}$$
次に、線分 $AB$ は $xy$ 平面上の直線 $x + y = \sqrt{2}$ の $0 \le x \le \sqrt{2}, 0 \le y \le \sqrt{2}$ を満たす部分である。 点 $C(x, y, z)$ から $xy$ 平面に下ろした垂線の足は $H(x, y, 0)$ である。 点 $H$ から直線 $AB$ に下ろした垂線の足を $I$ とすると、三垂線の定理より $C$ から直線 $AB$ に下ろした垂線の足も $I$ となる。 $xy$ 平面において、点 $H(x, y)$ と直線 $x + y - \sqrt{2} = 0$ の距離 $HI$ は、 $$HI = \frac{|x + y - \sqrt{2}|}{\sqrt{1^2 + 1^2}} = \frac{|x + y - \sqrt{2}|}{\sqrt{2}}$$
点 $C$ と直線 $AB$ の距離の2乗 $CI^2$ は三平方の定理より、 $$CI^2 = z^2 + HI^2 = z^2 + \frac{(x + y - \sqrt{2})^2}{2}$$
球 $S$ が直線 $AB$ に接するためには $CI^2 = 6$ である必要があるから、 $$z^2 + \frac{(x + y - \sqrt{2})^2}{2} = 6$$
ここで、$y^2 + z^2 = 6$ と $x^2 + z^2 = 6$ より $x^2 = y^2$ である。 $0 \le x \le \sqrt{2}$ かつ $0 \le y \le \sqrt{2}$ であるから $x = y$ となる。 これを $z^2 + \frac{(x + y - \sqrt{2})^2}{2} = 6$ に代入すると、 $$z^2 + \frac{(2x - \sqrt{2})^2}{2} = 6$$ $$z^2 + 2x^2 - 2\sqrt{2}x + 1 = 6$$ $$z^2 + 2x^2 - 2\sqrt{2}x - 5 = 0$$
また、$y^2 + z^2 = 6$ より $z^2 = 6 - x^2$ であるから、上の式に代入して、 $$(6 - x^2) + 2x^2 - 2\sqrt{2}x - 5 = 0$$ $$x^2 - 2\sqrt{2}x + 1 = 0$$
これを解くと、 $$x = \sqrt{2} \pm \sqrt{2 - 1} = \sqrt{2} \pm 1$$
$0 \le x \le \sqrt{2}$ を満たすのは $x = \sqrt{2} - 1$ である。 このとき $y = \sqrt{2} - 1$ となり、$0 \le y \le \sqrt{2}$ を満たす。 $z^2$ の値を求めると、 $$z^2 = 6 - (\sqrt{2} - 1)^2 = 6 - (3 - 2\sqrt{2}) = 3 + 2\sqrt{2}$$
$z > 0$ であるから、二重根号を外して、 $$z = \sqrt{3 + 2\sqrt{2}} = \sqrt{2} + 1$$
最後に、このとき接点 $I$ が線分 $AB$ 上にあることを確認する。 点 $H(\sqrt{2}-1, \sqrt{2}-1, 0)$ を通り直線 $AB$ に垂直な直線は、$xy$ 平面上で $X - Y = 0$ と表せる。 これと直線 $X + Y = \sqrt{2}$ の交点が接点 $I$ であり、連立して解くと $X = \frac{\sqrt{2}}{2}, Y = \frac{\sqrt{2}}{2}$ となる。 これは $0 \le X \le \sqrt{2}$ および $0 \le Y \le \sqrt{2}$ を満たすため、接点は確かに線分 $AB$ 上にある。
以上より、球 $S$ の中心の座標は $(\sqrt{2}-1, \sqrt{2}-1, \sqrt{2}+1)$ である。
(2)
球 $S$ の中心の $z$ 座標を $d = \sqrt{2} + 1$、半径を $R = \sqrt{6}$ とする。 求める体積 $V$ は、球が $z \ge 0$ の領域にある部分の体積である。 中心と $xy$ 平面の距離は $d$ であり、$d^2 = 3 + 2\sqrt{2} < 3 + 2 \times 1.5 = 6 = R^2$ より $d < R$ であるから、球の中心は $xy$ 平面より上にあり、$xy$ 平面は球の内部と交わる。
平面 $z = d + t$ ($-d \le t \le R$) で球を切ったときの断面は、半径 $\sqrt{R^2 - t^2}$ の円である。 $xy$ 平面 ($z=0$) は $t = -d$ に対応し、球の最上部は $t = R$ に対応する。 したがって、求める体積 $V$ はこの断面積 $\pi(R^2 - t^2)$ を $t$ について $-d$ から $R$ まで積分して求められる。 $$V = \int_{-d}^{R} \pi (R^2 - t^2) dt$$ $$V = \pi \left[ R^2 t - \frac{t^3}{3} \right]_{-d}^{R}$$ $$V = \pi \left\{ \left( R^3 - \frac{R^3}{3} \right) - \left( -R^2 d + \frac{d^3}{3} \right) \right\}$$ $$V = \pi \left( \frac{2}{3}R^3 + R^2 d - \frac{1}{3}d^3 \right)$$
ここで各値の計算を行う。 $R = \sqrt{6}$ より $R^2 = 6$、$R^3 = 6\sqrt{6}$ である。 $d = \sqrt{2} + 1$ より $d^2 = 3 + 2\sqrt{2}$ であり、 $$d^3 = (\sqrt{2} + 1)(3 + 2\sqrt{2}) = 3\sqrt{2} + 4 + 3 + 2\sqrt{2} = 7 + 5\sqrt{2}$$
これらを体積の式に代入する。 $$V = \pi \left\{ \frac{2}{3}(6\sqrt{6}) + 6(\sqrt{2} + 1) - \frac{1}{3}(7 + 5\sqrt{2}) \right\}$$ $$V = \pi \left( 4\sqrt{6} + 6\sqrt{2} + 6 - \frac{7}{3} - \frac{5\sqrt{2}}{3} \right)$$ $$V = \pi \left( 4\sqrt{6} + \frac{18 - 5}{3}\sqrt{2} + \frac{18 - 7}{3} \right)$$ $$V = \pi \left( 4\sqrt{6} + \frac{13\sqrt{2}}{3} + \frac{11}{3} \right)$$ $$V = \frac{11 + 13\sqrt{2} + 12\sqrt{6}}{3} \pi$$
解説
(1) 空間座標における球と直線の接条件を扱う問題である。 単に直線に接するという条件だけでなく、「線分」に接することから、接点がその線分の範囲内に収まっているかの確認が不可欠である。本問では対称性から $x=y$ が導かれるため、式処理そのものは難しくない。二重根号の処理に慣れておく必要がある。
(2) 球を平面で切断したときの、片側の体積(球欠の体積)を求める典型的な積分問題である。 公式を暗記していなくても、球の中心を基準とした高さ $t$ でスライスして断面積 $\pi(R^2 - t^2)$ を積分することで確実に導出できる。無理数が多く計算が煩雑になるため、展開ミスがないように丁寧に値を代入していくことが求められる。
答え
(1) $(\sqrt{2}-1, \sqrt{2}-1, \sqrt{2}+1)$
(2) $\frac{11 + 13\sqrt{2} + 12\sqrt{6}}{3} \pi$
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