名古屋大学 1990年 文系 第3問 解説

方針・初手
立体 $D$ を直接イメージするのではなく、定石通り座標軸に垂直な平面で切断し、その断面の通過領域を考える。 本問では平面 $z=h$ ($0 < h < 1$) での切り口を考えるように誘導されているため、まずは点 $P$ を固定したときの円錐の平面 $z=h$ による切り口(円になる)を求める。その後、点 $P$ を線分 $AB$ 上で動かしたときの、その円の通過領域の面積を計算する。最後に、得られた断面積を $h$ について $0$ から $1$ まで積分して体積を求める。
解法1
(1)
点 $P$ は2点 $A(0, 0, 1)$ と $B(1, 0, 1)$ を結ぶ線分 $AB$ 上にあるため、実数 $t$ ($0 \le t \le 1$) を用いて $P(t, 0, 1)$ と表せる。
頂点を $P(t, 0, 1)$、底面を $xy$ 平面上の円 $C$ とする円錐を $K_t$ とする。底面である円 $C$ の内部および周上の点 $Q$ は、$x^2+y^2 \le 1$ かつ $z=0$ を満たす点 $Q(x, y, 0)$ と表せる。
円錐 $K_t$ は、点 $P$ と底面の点 $Q$ を結ぶ線分 $PQ$ の集まりである。この線分 $PQ$ と平面 $z=h$ ($0 < h < 1$) の交点 $R$ を求める。点 $R$ の $z$ 座標が $h$ であることから、点 $R$ は線分 $PQ$ を $(1-h) : h$ に内分する点である。したがって、点 $R$ の座標は
$$ h(t, 0, 1) + (1-h)(x, y, 0) = (ht + (1-h)x, \ (1-h)y, \ h) $$
となる。ここで、平面 $z=h$ 上での点 $R$ の座標を $(X, Y)$ とすると、
$$ \begin{cases} X = ht + (1-h)x \\ Y = (1-h)y \end{cases} $$
と表せる。これを変形すると、
$$ \begin{cases} x = \frac{X - ht}{1-h} \\ y = \frac{Y}{1-h} \end{cases} $$
となる。点 $Q(x, y)$ は $x^2 + y^2 \le 1$ を満たすので、代入すると
$$ \left( \frac{X - ht}{1-h} \right)^2 + \left( \frac{Y}{1-h} \right)^2 \le 1 $$
$$ (X - ht)^2 + Y^2 \le (1-h)^2 $$
を得る。これは平面 $z=h$ 上において、中心が $(ht, 0)$、半径が $1-h$ の円の内部および周を表している。
立体 $D$ を平面 $z=h$ で切った断面の領域は、$t$ が $0 \le t \le 1$ の範囲を動くときの、この円の通過領域である。 円の中心の $x$ 座標である $ht$ は、$t$ が $0 \le t \le 1$ を動くとき、$0$ から $h$ まで動く。
したがって、求める通過領域は、半径 $1-h$ の円を $x$ 軸の正の方向に沿って距離 $h$ だけ平行移動したときに通過する図形となる。 この図形は、縦の長さ $2(1-h)$、横の長さ $h$ の長方形と、その左右に半円(半径 $1-h$)を2つ合わせた形をしている。
よって、求める切り口の面積 $S(h)$ は、長方形の面積と円1つ分の面積の和となるため、
$$ S(h) = 2(1-h) \cdot h + \pi(1-h)^2 = 2h(1-h) + \pi(1-h)^2 $$
となる。
(2)
立体 $D$ の体積 $V$ は、(1)で求めた断面積 $S(h)$ を $h$ が $0$ から $1$ の範囲で定積分することで求められる。
$$ V = \int_{0}^{1} S(h) dh $$
$$ V = \int_{0}^{1} \left\{ 2h(1-h) + \pi(1-h)^2 \right\} dh $$
$$ V = \int_{0}^{1} \left( 2h - 2h^2 + \pi(1-h)^2 \right) dh $$
$$ V = \left[ h^2 - \frac{2}{3}h^3 - \frac{\pi}{3}(1-h)^3 \right]_{0}^{1} $$
$$ V = \left( 1^2 - \frac{2}{3} \cdot 1^3 - \frac{\pi}{3} \cdot 0^3 \right) - \left( 0^2 - \frac{2}{3} \cdot 0^3 - \frac{\pi}{3} \cdot 1^3 \right) $$
$$ V = \left( 1 - \frac{2}{3} \right) - \left( -\frac{\pi}{3} \right) $$
$$ V = \frac{1}{3} + \frac{\pi}{3} = \frac{\pi + 1}{3} $$
解説
動く立体の体積を求める典型問題である。「軸に垂直な平面で切断し、2次元の断面の通過領域を考える」という定石に忠実に従うことが重要である。
(1) では、円錐の断面の方程式を相似比と内分点の考え方を用いて正確に立式できるかが問われている。頂点と底面の任意の点を結んだ線分が円錐の内部を構成することを利用すると、論理の飛躍なく円の方程式を導くことができる。通過領域は円の平行移動によってできる形(いわゆるカプセル型)になるため、図形的に面積を計算するのが最も早い。
(2) は (1) で求めた面積を積分するだけである。$\pi(1-h)^2$ の積分において、展開せずに $-\frac{1}{3}(1-h)^3$ を作ると計算ミスを減らすことができる。
答え
(1) $$S(h) = 2h(1-h) + \pi(1-h)^2$$
(2) $$\frac{\pi + 1}{3}$$
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