九州大学 1992年 理系 第4問 解説

方針・初手
立方体という対称性の高い図形と、辺上の動点や中点が含まれる問題であるため、座標空間を導入して代数的に処理する方針が有効である。 頂点の一つを原点とし、各辺が座標軸に平行になるように設定することで、平面の方程式やベクトルの内積を機械的に計算できる。まずは各点の座標を文字 $t$ を用いて表し、切り口の多角形の頂点を特定することから始める。
(1)
解法1
点 $E$ を原点 $(0,0,0)$ とし、辺 $EF, EH, EA$ がそれぞれ $x$軸、$y$軸、$z$軸の正の方向と一致するように座標空間を定める。 一辺の長さは $AB=2$ より $2$ であるから、各頂点の座標は以下のように表せる。
$$A(0,0,2), \ B(2,0,2), \ C(2,2,2), \ D(0,2,2)$$
$$E(0,0,0), \ F(2,0,0), \ G(2,2,0), \ H(0,2,0)$$
点 $L, M$ はそれぞれ辺 $AE, CG$ の中点であるから、その座標は以下のようになる。
$$L(0,0,1), \ M(2,2,1)$$
点 $X$ は辺 $AB$ 上の点であり、$A$ から $B$ に向かって距離 $2t$ の位置にあるので、その座標は $X(2t,0,2)$ である($0 \le t \le 1$)。
次に、3点 $L, M, X$ を通る平面 $\alpha$ の方程式を求める。 平面 $\alpha$ の法線ベクトルを $\vec{n} = (a, b, c)$ とおく。 $\vec{LM} = (2, 2, 0)$、$\vec{LX} = (2t, 0, 1)$ であり、これらは $\vec{n}$ と垂直に交わるので、内積は $0$ となる。
$$\begin{cases} \vec{n} \cdot \vec{LM} = 2a + 2b = 0 \\ \vec{n} \cdot \vec{LX} = 2at + c = 0 \end{cases}$$
これより $b = -a, c = -2at$ を得る。$a=1$ とすると $\vec{n} = (1, -1, -2t)$ となる。 平面 $\alpha$ は点 $L(0,0,1)$ を通るため、その方程式は以下のように表される。
$$1 \cdot (x - 0) - 1 \cdot (y - 0) - 2t \cdot (z - 1) = 0$$
整理して、平面 $\alpha$ の方程式を得る。
$$x - y - 2tz + 2t = 0$$
この平面 $\alpha$ と立方体の各辺との交点を求める。 辺 $BC$ は直線 $x=2, z=2 \ (0 \le y \le 2)$ の一部である。平面 $\alpha$ の方程式に代入すると、
$$2 - y - 4t + 2t = 0 \iff y = 2 - 2t$$
$0 \le t \le 1$ より $0 \le 2 - 2t \le 2$ を満たすので、交点は辺 $BC$ 上に存在し、その座標は $P(2, 2-2t, 2)$ である。 同様に、辺 $GH$ は直線 $y=2, z=0 \ (0 \le x \le 2)$ の一部であり、代入すると、
$$x - 2 - 0 + 2t = 0 \iff x = 2 - 2t$$
これも条件を満たすので、交点は辺 $GH$ 上の $Y(2-2t, 2, 0)$ である。 辺 $EH$ は直線 $x=0, z=0 \ (0 \le y \le 2)$ の一部であり、代入すると、
$$0 - y - 0 + 2t = 0 \iff y = 2t$$
交点は辺 $EH$ 上の $Q(0, 2t, 0)$ である。 以上より、$0 < t < 1$ のとき、平面 $\alpha$ による立方体の切り口 $K_X$ は、6点 $L, X, P, M, Y, Q$ を順に結んだ六角形となる。 ($t=0, 1$ のときは頂点が一致して四角形になるが、以下の辺の長さの計算式はそのまま成り立つ)
各辺の長さを計算する。$0 \le t \le 1$ であるため、$1-t \ge 0$ となることに注意して根号を外す。
$$\begin{aligned} LX &= \sqrt{(2t-0)^2 + (0-0)^2 + (2-1)^2} = \sqrt{4t^2+1} \\ XP &= \sqrt{(2-2t)^2 + (2-2t-0)^2 + (2-2)^2} = \sqrt{2(2-2t)^2} = 2\sqrt{2}(1-t) \\ PM &= \sqrt{(2-2)^2 + (2-(2-2t))^2 + (1-2)^2} = \sqrt{4t^2+1} \\ MY &= \sqrt{(2-2t-2)^2 + (2-2)^2 + (0-1)^2} = \sqrt{4t^2+1} \\ YQ &= \sqrt{(0-(2-2t))^2 + (2t-2)^2 + (0-0)^2} = \sqrt{2(2t-2)^2} = 2\sqrt{2}(1-t) \\ QL &= \sqrt{(0-0)^2 + (0-2t)^2 + (1-0)^2} = \sqrt{4t^2+1} \end{aligned}$$
したがって、$K_X$ の周の長さ $s(t)$ はこれらの和となる。
$$\begin{aligned} s(t) &= LX + XP + PM + MY + YQ + QL \\ &= 4\sqrt{4t^2+1} + 4\sqrt{2}(1-t) \end{aligned}$$
(2)
解法1
(1)で求めた $s(t)$ を $t$ について微分する。
$$s'(t) = 4 \cdot \frac{8t}{2\sqrt{4t^2+1}} - 4\sqrt{2} = \frac{16t}{\sqrt{4t^2+1}} - 4\sqrt{2}$$
$s'(t) = 0$ となる $t$ の値を求める。
$$\begin{aligned} \frac{16t}{\sqrt{4t^2+1}} &= 4\sqrt{2} \\ \frac{4t}{\sqrt{4t^2+1}} &= \sqrt{2} \end{aligned}$$
両辺は正であるから、2乗して整理する。
$$\begin{aligned} 16t^2 &= 2(4t^2+1) \\ 8t^2 &= 2 \\ t^2 &= \frac{1}{4} \end{aligned}$$
$0 \le t \le 1$ より、$t = \frac{1}{2}$ である。 $0 \le t < \frac{1}{2}$ のとき $s'(t) < 0$、$\frac{1}{2} < t \le 1$ のとき $s'(t) > 0$ となるため、$s(t)$ は $t = \frac{1}{2}$ で最小値をとる。 このとき、点 $X_0$ について $AX_0 = 2 \times \frac{1}{2} = 1$ となる。 辺 $AB$ の長さは $2$ であるから、$AX_0 = \frac{1}{2}AB$ が成り立ち、$X_0$ は辺 $AB$ の中点であることが示された。
(3)
解法1
$t = \frac{1}{2}$ のとき、点 $X_0$ の座標は $X_0(1, 0, 2)$ である。 平面 $LMX_0$ に平行な2つのベクトル $\vec{LX_0}$ と $\vec{LM}$ は以下のようになる。
$$\begin{aligned} \vec{LX_0} &= X_0 - L = (1, 0, 2) - (0, 0, 1) = (1, 0, 1) \\ \vec{LM} &= M - L = (2, 2, 1) - (0, 0, 1) = (2, 2, 0) \end{aligned}$$
一方、直線 $DF$ の方向ベクトル $\vec{DF}$ は以下のように成分表示できる。
$$\vec{DF} = F - D = (2, 0, 0) - (0, 2, 2) = (2, -2, -2)$$
ベクトル $\vec{DF}$ と、平面上の1次独立な2つのベクトル $\vec{LX_0}, \vec{LM}$ との内積をそれぞれ計算する。
$$\begin{aligned} \vec{DF} \cdot \vec{LX_0} &= 2 \cdot 1 + (-2) \cdot 0 + (-2) \cdot 1 = 2 - 2 = 0 \\ \vec{DF} \cdot \vec{LM} &= 2 \cdot 2 + (-2) \cdot 2 + (-2) \cdot 0 = 4 - 4 = 0 \end{aligned}$$
したがって、$\vec{DF} \perp \vec{LX_0}$ かつ $\vec{DF} \perp \vec{LM}$ が成り立つため、直線 $DF$ は平面 $LMX_0$ に垂直であることが示された。
(4)
解法1
座標とベクトルの内積を用いて $\angle LX_0M$ を求める。 (3)で求めた $\vec{X_0L}$ と $\vec{X_0M}$ を成分表示する。
$$\begin{aligned} \vec{X_0L} &= - \vec{LX_0} = (-1, 0, -1) \\ \vec{X_0M} &= M - X_0 = (2, 2, 1) - (1, 0, 2) = (1, 2, -1) \end{aligned}$$
これらの内積を計算する。
$$\vec{X_0L} \cdot \vec{X_0M} = (-1) \cdot 1 + 0 \cdot 2 + (-1) \cdot (-1) = -1 + 0 + 1 = 0$$
内積が $0$ であるから、$\vec{X_0L} \perp \vec{X_0M}$ が成り立つ。 よって、$\angle LX_0M = 90^\circ$ である。
解法2
三平方の定理を用いて幾何的に長さを求めて示す。 $\triangle ALX_0$ は $\angle A = 90^\circ$ の直角三角形である。$X_0$ は $AB$ の中点なので $AX_0 = 1$、$L$ は $AE$ の中点なので $AL = 1$ である。三平方の定理より以下が成り立つ。
$$LX_0^2 = AL^2 + AX_0^2 = 1^2 + 1^2 = 2$$
次に $X_0M$ の長さを求める。点 $M$ から面 $ABCD$ に下ろした垂線の足は点 $C$ であるから、$\triangle X_0CM$ は $\angle C = 90^\circ$ の直角三角形である。 直角三角形 $\triangle X_0BC$ において $X_0C^2 = X_0B^2 + BC^2 = 1^2 + 2^2 = 5$ であるから、$\triangle X_0CM$ において三平方の定理より以下が成り立つ。
$$X_0M^2 = X_0C^2 + CM^2 = 5 + 1^2 = 6$$
さらに $LM$ の長さを求める。点 $L$ を通り底面 $EFGH$ に平行な平面で立方体を切断すると、その切り口は一辺の長さが $2$ の正方形となり、点 $L, M$ はその正方形の向かい合う頂点に位置する。したがって $LM$ はその正方形の対角線の長さに等しい。
$$LM^2 = 2^2 + 2^2 = 8$$
以上より、$LX_0^2 + X_0M^2 = 2 + 6 = 8 = LM^2$ が成り立つ。 三平方の定理の逆より、$\triangle LX_0M$ は $\angle LX_0M = 90^\circ$ の直角三角形である。 よって、$\angle LX_0M = 90^\circ$ である。
解説
立方体の切断や、表面上・内部の距離に関する標準的な問題である。空間図形を直接イメージするのが難しい場合は、本解法のように座標空間を導入することで、見落としなく確実に処理できる。 (1)において平面の方程式を立てることで、切り口の多角形が立方体のどの辺と交わるかを代数的に厳密に特定できる。直感に頼らず方程式と変数の範囲を確認する手法は、複雑な図形問題において強力である。
答え
(1) $s(t) = 4\sqrt{4t^2+1} + 4\sqrt{2}(1-t)$
(2) $s(t)$ を微分して増減を調べることで、$t = \frac{1}{2}$ のとき最小となることが示され、$X_0$ が辺 $AB$ の中点であることが証明された。
(3) 直線 $DF$ の方向ベクトルと、平面 $LMX_0$ に平行な2つのベクトルの内積がともに $0$ になることから証明された。
(4) $\angle LX_0M = 90^\circ$
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