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北海道大学 1997年 理系 第1問 解説

数学B/数列数学A/整数問題数学1/方程式不等式テーマ/不等式の証明
北海道大学 1997年 理系 第1問 解説

方針・初手

ガウス記号の定義に従い、不等式を立てて評価することが基本方針となる。 任意の実数 $x$ に対して、$x - 1 < [x] \le x$ (または $[x] \le x < [x] + 1$)が成り立つことを利用し、$a_n$ のとり得る値の範囲を絞り込む。(2) および (3) については、(1) で得られた不等式と $c$ の有理数・無理数の条件を結びつけて証明する。

解法1

(1) ガウス記号の定義より、すべての実数 $x$ に対して以下の不等式が成り立つ。

$$ x - 1 < [x] \le x $$

この不等式において $x = nc$ とすると、次が得られる。

$$ nc - 1 < [nc] \le nc $$

条件より $c > 1$ であるから、各辺を $c$ で割ると不等号の向きは変わらず、以下のようになる。

$$ n - \frac{1}{c} < \frac{[nc]}{c} \le n $$

すなわち、$a_n = \frac{[nc]}{c}$ であるから、

$$ n - \frac{1}{c} < a_n \le n $$

ここで、$c > 1$ より $0 < \frac{1}{c} < 1$ であるから、$n - 1 < n - \frac{1}{c}$ が成り立つ。これを上の不等式に適用すると、

$$ n - 1 < a_n \le n $$

この不等式は、$a_n$ が区間 $(n-1, n]$ に存在することを示している。 したがって、$a_n$ 以下の最大の整数 $[a_n]$ は、$n-1$ または $n$ に等しい。

(2) $c$ が有理数であるとする。 $c > 1$ であるから、$c = \frac{q}{p}$ ($p, q$ は互いに素な自然数で、$q > p \ge 1$)と表すことができる。

ここで、$n = p$ と選ぶ。このとき、$nc$ は次のように計算できる。

$$ nc = p \cdot \frac{q}{p} = q $$

$q$ は自然数(整数)であるため、$[nc] = [q] = q$ となる。 このときの $a_n$(すなわち $a_p$)を求めると、

$$ a_p = \frac{[pc]}{c} = \frac{q}{\frac{q}{p}} = p $$

したがって、$a_p = p$ となるため、$[a_p] = [p] = p$ が成り立つ。 以上より、$[a_n] = n$ となる $n$ (具体的には $n = p$)が存在することが示された。

(3) $c$ が無理数であるとする。 すべての自然数 $n$ に対して $[a_n] = n-1$ となることを、背理法を用いて示す。

ある自然数 $n$ に対して $[a_n] \neq n-1$ と仮定する。 (1) の結果より $[a_n]$ は $n$ または $n-1$ であるから、この仮定は $[a_n] = n$ であることを意味する。

$[a_n] = n$ であるとき、ガウス記号の定義から $n \le a_n < n + 1$ が成り立つ。 一方で、(1) で示した不等式から常に $a_n \le n$ である。 これらを同時に満たすのは、$a_n = n$ のときのみである。

$a_n = n$ のとき、$a_n$ の定義より次が成り立つ。

$$ \frac{[nc]}{c} = n $$

これを変形すると、

$$ [nc] = nc $$

ある実数 $x$ に対して $[x] = x$ が成り立つのは、$x$ が整数のときのみである。したがって、$nc$ は整数である。 $nc = m$ ($m$ は整数)とおくと、$n$ は自然数($n \ge 1$)であるから $n \neq 0$ となり、次のように書ける。

$$ c = \frac{m}{n} $$

$m, n$ はともに整数であるため、これは $c$ が有理数であることを示している。 しかし、これは $c$ が無理数であるという仮定に矛盾する。

したがって、背理法の仮定は誤りであり、すべての自然数 $n$ に対して $[a_n] = n-1$ となることが示された。

解説

ガウス記号 $[x]$ を含む方程式や不等式を扱う際の典型問題である。「$x-1 < [x] \le x$」という評価式を用いることで、複雑な式を扱いやすい不等式に変換できる。

(2) および (3) では、(1) で得られた $a_n \le n$ という条件が決定的な役割を果たす。$[a_n] = n$ となるためには、実質的に $a_n = n$ となる必要があり、それが「$nc$ が整数となること」と同値になるという構造を見抜けるかどうかがポイントとなる。有理数と無理数の定義(分数で表せるか否か)に立ち返ることで、簡潔に証明を記述できる。

答え

(1) すべての $n$ に対して、$[a_n]$ は $n$ または $n-1$

(2) $c$ が有理数のとき、$[a_n]=n$ となる $n$ が存在する。

(3) $c$ が無理数のとき、すべての $n$ に対して $[a_n]=n-1$

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