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北海道大学 1997年 理系 第2問 解説

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北海道大学 1997年 理系 第2問 解説

方針・初手

(1) 放物線の方程式を $x^2 = 4py$ と変形し、点 $Q(x_0, y_0)$ における接線の方程式を立てます。接線と $y$ 軸(主軸)の交点、および焦点の座標を求め、三角形の幾何学的な性質(二等辺三角形になること)を利用して角度が等しいことを示すアプローチが簡明です。あるいは、各直線の方向ベクトルを定めて内積から証明することも可能です。

(2) 与えられた放物線上の点 $R$ における接線の傾きから $\tan \theta$ を $a$ の式で表します。問題で与えられた直線の傾き $\frac{1 - \tan^2\theta}{2\tan\theta}$ が $\frac{1}{\tan 2\theta}$ に等しいことに着目し、直線の方程式を $a$ で表します。その後、「$a$ によらない定点を通る」という条件を、$a$ (または $a$ を平行移動した変数)についての恒等式として処理します。

解法1

(1) 放物線 $C$ の頂点は原点であり、焦点が $F(0, p)$、準線が $y = -p$ であるから、$C$ の方程式は $x^2 = 4py$ と表される。 点 $Q(x_0, y_0)$ は $C$ 上の点であるから、以下の式が成り立つ。

$$ x_0^2 = 4py_0 $$

$x^2 = 4py$ の両辺を $x$ で微分すると $2x = 4p y'$ より $y' = \frac{x}{2p}$ となるので、点 $Q(x_0, y_0)$ における接線 $l$ の方程式は以下のようになる。

$$ y - y_0 = \frac{x_0}{2p}(x - x_0) $$

両辺に $2p$ を掛けて整理する。

$$ 2py - 2py_0 = x_0 x - x_0^2 $$

$x_0^2 = 4py_0$ を代入すると、接線 $l$ の方程式は次のように簡略化できる。

$$ x_0 x = 2p(y + y_0) $$

接線 $l$ と $y$ 軸(放物線の主軸)との交点を $T$ とすると、$x = 0$ を代入して $0 = 2p(y + y_0)$ となり、$y = -y_0$ を得る。よって $T(0, -y_0)$ である。 焦点 $F(0, p)$ と点 $T(0, -y_0)$ の距離 $FT$ は、$p > 0$ かつ $y_0 \ge 0$ ($x_0^2 = 4py_0$ より)であるから以下のようになる。

$$ FT = |p - (-y_0)| = y_0 + p $$

一方、放物線の定義より、点 $Q(x_0, y_0)$ から焦点 $F$ までの距離 $FQ$ は、点 $Q$ から準線 $y = -p$ までの距離に等しい。したがって以下のようになる。

$$ FQ = y_0 - (-p) = y_0 + p $$

ゆえに $FT = FQ$ が成り立ち、$\triangle FQT$ は二等辺三角形となるので、底角は等しくなる。

$$ \angle FQT = \angle FTQ \quad \cdots ① $$

次に、直線 $l_2$ は点 $Q$ を通り主軸($y$ 軸、すなわち直線 $FT$)に平行な直線である。 直線 $l_2$ 上において $y$ 座標が $y_0$ より小さい部分(下側)の任意の点を $S$ とすると、半直線 $QS$ と半直線 $TF$ は互いに平行で向きも同じである。したがって、平行線の錯角により以下の関係が成り立つ。

$$ \angle SQT = \angle FTQ \quad \cdots ② $$

①、②より $\angle FQT = \angle SQT$ を得る。 これは、接線 $l$ (直線 $QT$)が、直線 $l_1$ の一部である半直線 $QF$ と、直線 $l_2$ の一部である半直線 $QS$ のなす角を二等分していることを示している。 したがって、接線 $l$ は $l_1$ と $l_2$ のなす角を二等分する。

(2) 放物線 $y = x^2 - 2\sqrt{2}x + 4$ について、$y' = 2x - 2\sqrt{2}$ である。 点 $R(a, b)$ は放物線上の点であるから $b = a^2 - 2\sqrt{2}a + 4$ であり、この点における接線の傾き $m$ は以下のようになる。

$$ m = 2a - 2\sqrt{2} = 2(a - \sqrt{2}) $$

$a > \sqrt{2}$ の条件より、$m > 0$ である。 接線と直線 $x = a$ (鉛直線)のなす鋭角が $\theta$ である。直角三角形を考慮すると、接線と $x$ 軸の正の向きとのなす角 $\phi$ ($0^\circ < \phi < 90^\circ$) に対して $\phi + \theta = 90^\circ$ が成り立つ。 したがって、$\tan\phi = m$ であり、$\tan\theta$ は次のように表される。

$$ \tan \theta = \tan(90^\circ - \phi) = \frac{1}{\tan \phi} = \frac{1}{m} = \frac{1}{2(a - \sqrt{2})} $$

点 $R$ を通る問題の直線の傾きは $\frac{1 - \tan^2\theta}{2\tan\theta}$ であるが、これは正接の2倍角の公式 $\tan 2\theta = \frac{2\tan\theta}{1 - \tan^2\theta}$ の逆数であるから、傾きは $\frac{1}{\tan 2\theta}$ と等しい。 ここで計算を簡略化するため、$t = a - \sqrt{2}$ とおく。$a > \sqrt{2}$ より $t > 0$ である。 $b = (a - \sqrt{2})^2 + 2 = t^2 + 2$ であり、$\tan\theta = \frac{1}{2t}$ となる。 求める直線の傾きを $t$ で表す。

$$ \frac{1}{\tan 2\theta} = \frac{1 - \left(\frac{1}{2t}\right)^2}{2 \left(\frac{1}{2t}\right)} = \frac{1 - \frac{1}{4t^2}}{\frac{1}{t}} = \frac{4t^2 - 1}{4t} $$

したがって、点 $R(t + \sqrt{2}, t^2 + 2)$ を通り、傾き $\frac{4t^2 - 1}{4t}$ の直線の方程式は以下のようになる。

$$ y - (t^2 + 2) = \frac{4t^2 - 1}{4t} \left\{ x - (t + \sqrt{2}) \right\} $$

両辺に $4t$ を掛けて展開し、整理する。

$$ \begin{aligned} 4t(y - t^2 - 2) &= (4t^2 - 1)(x - t - \sqrt{2}) \\ 4ty - 4t^3 - 8t &= 4t^2 x - 4t^3 - 4\sqrt{2}t^2 - x + t + \sqrt{2} \\ -4t^2 x + 4\sqrt{2}t^2 + 4ty - 9t + x - \sqrt{2} &= 0 \end{aligned} $$

$t$ について式を整理すると、次のようになる。

$$ -4(x - \sqrt{2})t^2 + (4y - 9)t + (x - \sqrt{2}) = 0 $$

この直線が $a$ の値、すなわち $t$ の値によらず定点を通るための条件は、上式が $t$ についての恒等式になることである。 したがって、各係数が $0$ になればよい。

$$ \begin{cases} -4(x - \sqrt{2}) = 0 \\ 4y - 9 = 0 \\ x - \sqrt{2} = 0 \end{cases} $$

これを解くと、$x = \sqrt{2}$、$y = \frac{9}{4}$ となり、これはすべての式を矛盾なく満たす。 よって、直線は $a$ によらない定点 $(\sqrt{2}, \frac{9}{4})$ を通る。

解法2

(1) ベクトルを用いた証明 放物線 $C$ 上の点 $Q(x_0, y_0)$ ($x_0 \neq 0$) における接線 $l$ の方程式は $x_0 x = 2p(y + y_0)$ であり、変形すると $x_0 x - 2py - 2py_0 = 0$ となる。 この直線の方向ベクトルの1つを $\vec{d}$ とすると、$\vec{d} = (2p, x_0)$ ととることができる。 次に、$l_1$ と $l_2$ の方向ベクトルを考える。 点 $Q$ を始点として焦点 $F(0, p)$ に向かう $l_1$ 上のベクトルを $\vec{u_1}$ とすると、以下のようになる。

$$ \vec{u_1} = \vec{QF} = (0 - x_0, p - y_0) = (-x_0, p - y_0) $$

このベクトルの大きさは、$x_0^2 = 4py_0$ および $p > 0, y_0 > 0$ を用いて次のように計算できる。

$$ |\vec{u_1}| = \sqrt{(-x_0)^2 + (p - y_0)^2} = \sqrt{4py_0 + p^2 - 2py_0 + y_0^2} = \sqrt{(y_0 + p)^2} = y_0 + p $$

直線 $l_2$ は $y$ 軸に平行であるから、点 $Q$ を始点とする $l_2$ 上の下向きのベクトルとして $\vec{u_2} = (0, -1)$ をとる。この大きさは $|\vec{u_2}| = 1$ である。 $\vec{u_1}$ と $\vec{u_2}$ と同じ方向の単位ベクトルをそれぞれ $\vec{e_1}, \vec{e_2}$ とし、その和ベクトルを $\vec{w}$ とおく。

$$ \vec{w} = \vec{e_1} + \vec{e_2} = \frac{\vec{u_1}}{|\vec{u_1}|} + \frac{\vec{u_2}}{|\vec{u_2}|} = \frac{1}{y_0 + p}(-x_0, p - y_0) + (0, -1) $$

成分ごとに計算して整理する。

$$ \vec{w} = \left( \frac{-x_0}{y_0 + p}, \frac{p - y_0 - (y_0 + p)}{y_0 + p} \right) = \left( \frac{-x_0}{y_0 + p}, \frac{-2y_0}{y_0 + p} \right) = \frac{-1}{y_0 + p}(x_0, 2y_0) $$

ここで、$x_0 \neq 0$ と $x_0^2 = 4py_0$ を用いると、$(x_0, 2y_0)$ は次のように変形できる。

$$ (x_0, 2y_0) = \left( x_0, \frac{x_0^2}{2p} \right) = \frac{x_0}{2p}(2p, x_0) = \frac{x_0}{2p}\vec{d} $$

これを $\vec{w}$ に代入すると以下のようになる。

$$ \vec{w} = \frac{-x_0}{2p(y_0 + p)}\vec{d} $$

したがって、$\vec{w}$ と $\vec{d}$ は平行である。2直線の単位方向ベクトルの和 $\vec{w}$ はその2直線のなす角の二等分線の方向ベクトルとなるため、$\vec{d}$ を方向ベクトルに持つ接線 $l$ は $l_1$ と $l_2$ のなす角を二等分することが示された。

解説

本問は放物線の有名な光学的性質(パラボラアンテナの原理)をテーマにした問題です。 (1) は「放物線の軸に平行に入射した光は、放物面で反射して焦点に集まる」という性質の証明です。幾何的にアプローチする場合、接線の $y$ 切片を求めて二等辺三角形を作るのが定石の解法です。ベクトルを用いた解法も、条件を機械的に処理できるため有力な手段となります。 (2) は (1) の逆の構成となっており、「放物線上の点で、接線に対して軸平行な直線と対称な角度を持つ直線は焦点を通る」という事実を、具体的な関数で確認させるものです。計算においては、$\tan 2\theta$ の公式の形に気づくことと、計算量を減らすために $a - \sqrt{2} = t$ と置き換えて恒等式に持ち込む処理能力が問われます。定点が放物線の焦点そのものになるという美しい背景を持つ良問です。

答え

(1) 点 $Q$ における放物線 $C$ の接線は、直線 $l_1$ と $l_2$ のなす角を二等分する。

(2) 定点の座標は $\left(\sqrt{2}, \frac{9}{4}\right)$

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