北海道大学 2007年 理系 第5問 解説

方針・初手
- 与えられた双曲線と楕円について、それぞれ焦点の座標を求める。
- 両者の焦点が一致するという条件から、パラメータ $\alpha, \beta, a, b$ の間に成り立つ関係式を導く。
- 2曲線の交点の座標を文字でおき、その点における各曲線の接線の方程式を立てる。
- 2つの接線の法線ベクトルの内積を計算し、それが $0$ になることを、導いた関係式と交点が曲線上にある条件式を用いて示す。
解法1
双曲線 $C_2 : \frac{x^2}{a^2} - \frac{y^2}{b^2} = 1$ は $x$ 軸上に焦点をもち、その座標は $(\pm\sqrt{a^2+b^2}, 0)$ である。
楕円 $C_1 : \frac{x^2}{\alpha^2} + \frac{y^2}{\beta^2} = 1$ の焦点が $C_2$ の焦点と一致するとき、$C_1$ の焦点も $x$ 軸上にある。これより $\alpha^2 > \beta^2$ が成り立ち、$C_1$ の焦点の座標は $(\pm\sqrt{\alpha^2-\beta^2}, 0)$ と表せる。
両者の焦点が一致するから、
$$ \sqrt{\alpha^2-\beta^2} = \sqrt{a^2+b^2} $$
両辺は正であるから、2乗して整理すると以下の関係式が得られる。
$$ \alpha^2 - \beta^2 = a^2 + b^2 $$
$$ \alpha^2 - a^2 = \beta^2 + b^2 \quad \cdots \text{①} $$
$C_1$ と $C_2$ の交点の1つを $P(x_1, y_1)$ とおく。点 $P$ は $C_1$ および $C_2$ 上にあるから、次が成り立つ。
$$ \frac{x_1^2}{\alpha^2} + \frac{y_1^2}{\beta^2} = 1 \quad \cdots \text{②} $$
$$ \frac{x_1^2}{a^2} - \frac{y_1^2}{b^2} = 1 \quad \cdots \text{③} $$
②の両辺から③の両辺を引くと、
$$ \left( \frac{1}{\alpha^2} - \frac{1}{a^2} \right) x_1^2 + \left( \frac{1}{\beta^2} + \frac{1}{b^2} \right) y_1^2 = 0 $$
通分して整理すると、
$$ \frac{a^2 - \alpha^2}{\alpha^2 a^2} x_1^2 + \frac{\beta^2 + b^2}{\beta^2 b^2} y_1^2 = 0 $$
ここで、関係式①より $a^2 - \alpha^2 = -(\beta^2 + b^2)$ であるから、これを代入して
$$ -\frac{\beta^2 + b^2}{\alpha^2 a^2} x_1^2 + \frac{\beta^2 + b^2}{\beta^2 b^2} y_1^2 = 0 $$
各文字は実数であり、分母にあることから $\beta \neq 0, b \neq 0$ となり $\beta^2 > 0, b^2 > 0$ である。ゆえに $\beta^2 + b^2 \neq 0$ であるため、両辺を $\beta^2 + b^2$ で割ることができ、次式が得られる。
$$ -\frac{x_1^2}{\alpha^2 a^2} + \frac{y_1^2}{\beta^2 b^2} = 0 $$
すなわち、
$$ \frac{x_1^2}{\alpha^2 a^2} - \frac{y_1^2}{\beta^2 b^2} = 0 \quad \cdots \text{④} $$
次に、交点 $P(x_1, y_1)$ における $C_1$ の接線 $l_1$ と、$C_2$ の接線 $l_2$ の方程式はそれぞれ以下のようになる。
$$ l_1 : \frac{x_1 x}{\alpha^2} + \frac{y_1 y}{\beta^2} = 1 $$
$$ l_2 : \frac{x_1 x}{a^2} - \frac{y_1 y}{b^2} = 1 $$
直線 $l_1, l_2$ の法線ベクトルをそれぞれ $\vec{n_1}, \vec{n_2}$ とすると、各係数を取り出して
$$ \vec{n_1} = \left( \frac{x_1}{\alpha^2}, \frac{y_1}{\beta^2} \right) $$
$$ \vec{n_2} = \left( \frac{x_1}{a^2}, -\frac{y_1}{b^2} \right) $$
2つの接線の直交性は、法線ベクトルの内積 $\vec{n_1} \cdot \vec{n_2}$ を調べることで判定できる。内積を計算すると、
$$ \vec{n_1} \cdot \vec{n_2} = \frac{x_1}{\alpha^2} \cdot \frac{x_1}{a^2} + \frac{y_1}{\beta^2} \cdot \left( -\frac{y_1}{b^2} \right) = \frac{x_1^2}{\alpha^2 a^2} - \frac{y_1^2}{\beta^2 b^2} $$
式④より、この式の値は $0$ となる。
$$ \vec{n_1} \cdot \vec{n_2} = 0 $$
法線ベクトルの内積が $0$ であるから、交点における $C_1$ と $C_2$ のそれぞれの接線は直交する。
解説
二次曲線に関する有名な性質である「共焦点二次曲線は交点で直交する」ことの証明問題です。 この問題の処理のポイントは以下の2点に集約されます。
1つ目は、2直線の直交条件を考える際、「傾きの積が $-1$ になる」ことではなく、「法線ベクトルの内積が $0$ になる」ことを利用した点です。傾きを考えようとすると、接線が $y$ 軸に平行になる場合(すなわち $y_1 = 0$ の場合)の例外処理が必要になることがありますが、法線ベクトルを用いればそのような場合分けを回避し、議論を簡潔に保つことができます。
2つ目は、焦点が一致する条件 $\alpha^2 - \beta^2 = a^2 + b^2$ の活用法です。交点がそれぞれの曲線上にあることを示す2つの式を辺々引くことで交点の座標に関する式を作り、そこに焦点の条件式を代入して整理することで、自然と内積の式と同じ形が現れるという式処理の工夫が問われています。
なお、図形的性質(二次曲線の光学的性質)から直観的に理解することも可能です。楕円上の点における接線はその点と2つの焦点を結ぶ線分のなす角の「外角」を二等分し、双曲線上の点における接線は「内角」を二等分します。2曲線の焦点が共通していれば、交点において内角の二等分線と外角の二等分線が引かれることになり、これらは必ず直交します。
答え
$C_1$ と $C_2$ の焦点が一致しているならば、$C_1$ と $C_2$ の交点でそれぞれの接線は直交する。
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