京都大学 1970年 理系 第6問 解説

方針・初手
漸化式と不等式の証明、およびそれを用いた極限の計算という、数列の極限における典型的な誘導問題である。
(イ) では、すべての $n \geqq 2$ について不等式が成り立つことを数学的帰納法によって示す。その際、$x_1=a$ であることと $1<a<2$ という条件に注意する。
(ロ) では、漸化式を用いて $x_n - 1$ を $x_{n-1} - 1$ で表し、(イ) で示した $x_{n-1} < a$ または $x_1 = a$ を利用して不等式を導く。
(ハ) では、(ロ) の不等式を繰り返し用いてはさみうちの原理を適用する。
解法1
(イ)
$n = 2, 3, \cdots$ について、$1 < x_n < a$ が成り立つことを数学的帰納法で示す。
[1] $n=2$ のとき
与えられた漸化式 $x_{n+1} = \frac{x_n^2 + 2}{3}$ に $n=1$ を代入すると、
$$ x_2 = \frac{a^2 + 2}{3} $$
$x_2 - 1$ を計算すると、
$$ x_2 - 1 = \frac{a^2 + 2}{3} - 1 = \frac{a^2 - 1}{3} = \frac{(a+1)(a-1)}{3} $$
条件より $1 < a < 2$ であるから、$a-1 > 0$ かつ $a+1 > 0$ となり、$x_2 - 1 > 0$、すなわち $x_2 > 1$ である。
また、$a - x_2$ を計算すると、
$$ a - x_2 = a - \frac{a^2 + 2}{3} = \frac{-a^2 + 3a - 2}{3} = \frac{-(a-1)(a-2)}{3} $$
$1 < a < 2$ より $a-1 > 0$ かつ $a-2 < 0$ であるから、$a - x_2 > 0$、すなわち $x_2 < a$ である。
よって、$1 < x_2 < a$ が成り立ち、$n=2$ のとき成立する。
[2] $n=k$ ($k \geqq 2$)のとき、$1 < x_k < a$ が成り立つと仮定する
$n=k+1$ のときを考える。
$$ x_{k+1} - 1 = \frac{x_k^2 + 2}{3} - 1 = \frac{x_k^2 - 1}{3} = \frac{(x_k+1)(x_k-1)}{3} $$
帰納法の仮定 $x_k > 1$ より $x_{k+1} - 1 > 0$、すなわち $x_{k+1} > 1$ である。
また、
$$ a - x_{k+1} = a - \frac{x_k^2 + 2}{3} $$
ここで、帰納法の仮定 $x_k < a$ より $x_k^2 < a^2$ であるから、
$$ a - \frac{x_k^2 + 2}{3} > a - \frac{a^2 + 2}{3} = \frac{-(a-1)(a-2)}{3} $$
$1 < a < 2$ より $\frac{-(a-1)(a-2)}{3} > 0$ であるから、$a - x_{k+1} > 0$、すなわち $x_{k+1} < a$ である。
よって、$1 < x_{k+1} < a$ が成り立ち、$n=k+1$ のときも成立する。
[1]、[2] より、$n = 2, 3, \cdots$ について $1 < x_n < a$ が成り立つことが証明された。
(ロ)
漸化式より、
$$ x_n - 1 = \frac{x_{n-1}^2 + 2}{3} - 1 = \frac{x_{n-1}^2 - 1}{3} = \left( \frac{x_{n-1} + 1}{3} \right) (x_{n-1} - 1) $$
ここで、$n=2$ のときは $x_1 = a$ より、
$$ x_2 - 1 = \left( \frac{a + 1}{3} \right) (x_1 - 1) $$
となり、等号で成立する。
$n \geqq 3$ のときは、(イ) の結果より $1 < x_{n-1} < a$ が成り立つ。これより、
$$ \frac{x_{n-1} + 1}{3} < \frac{a + 1}{3} $$
であり、また $x_{n-1} - 1 > 0$ であるから、
$$ \left( \frac{x_{n-1} + 1}{3} \right) (x_{n-1} - 1) < \left( \frac{a + 1}{3} \right) (x_{n-1} - 1) $$
が成り立つ。
したがって、すべての $n = 2, 3, \cdots$ に対して、
$$ x_n - 1 \leqq \left( \frac{a + 1}{3} \right) (x_{n-1} - 1) $$
が成り立つことが証明された。
(ハ)
(ロ) の不等式を繰り返し用いると、$n \geqq 2$ において以下の不等式が得られる。
$$ x_n - 1 \leqq \left( \frac{a + 1}{3} \right) (x_{n-1} - 1) \leqq \left( \frac{a + 1}{3} \right)^2 (x_{n-2} - 1) \leqq \cdots \leqq \left( \frac{a + 1}{3} \right)^{n-1} (x_1 - 1) $$
$x_1 = a$ であり、また (イ) より $x_n - 1 > 0$ であるから、
$$ 0 < x_n - 1 \leqq \left( \frac{a + 1}{3} \right)^{n-1} (a - 1) $$
ここで、条件 $1 < a < 2$ より $2 < a + 1 < 3$ であるから、
$$ 0 < \frac{a + 1}{3} < 1 $$
したがって、$n \to \infty$ のとき $\left( \frac{a + 1}{3} \right)^{n-1} \to 0$ となる。
$$ \lim_{n \to \infty} \left( \frac{a + 1}{3} \right)^{n-1} (a - 1) = 0 $$
はさみうちの原理より、
$$ \lim_{n \to \infty} (x_n - 1) = 0 $$
よって、
$$ \lim_{n \to \infty} x_n = 1 $$
解説
非線形の漸化式で定められる数列の極限を求める典型的な誘導問題である。極限値が $1$ になることを予想し、$|x_n - 1|$ が公比 $r$ ($0 < r < 1$) の等比数列によって上から抑えられることを示す手法を用いている。
(イ) の帰納法では、$x_{k+1} < a$ を示す際に $x_{k+1}$ を $x_k$ で表した後、$x_k < a$ の仮定を用いて不等式を評価する操作が重要となる。
(ロ) では、$x_n - 1$ を因数分解して $x_{n-1} - 1$ をくくり出し、残りの部分 $\frac{x_{n-1}+1}{3}$ を定数 $\frac{a+1}{3}$ で上から抑える。$n=2$ のときのみ $x_1=a$ で等号が成立し、$n \geqq 3$ では $x_{n-1}<a$ より不等号が厳密に成立するため、$\leqq$ でまとめることができる点に注意したい。
(ハ) は作成した不等式を用いてはさみうちの原理を適用する定石通りの処理である。公比が $0$ より大きく $1$ より小さいことを、与えられた $a$ の範囲から確実に言及する必要がある。
答え
(イ)
題意は証明された。(略証:数学的帰納法により示される)
(ロ) 題意は証明された。(略証:$x_n - 1 = \frac{x_{n-1}+1}{3}(x_{n-1}-1)$ と (イ) の結果から示される)
(ハ) $\lim_{n \to \infty} x_n = 1$
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