トップ 京都大学 1983年 理系 第1問

京都大学 1983年 理系 第1問 解説

数学A/確率数学B/数列数学1/方程式不等式テーマ/確率漸化式
京都大学 1983年 理系 第1問 解説

方針・初手

この問題は、勝者が次の試合に進み、負けたチームが待機する形式(巴戦)の確率を求めるものである。試合が無限に続く可能性があるため、状態が元に戻る「サイクル」を見つけて無限等比級数として計算するか、各状態から優勝する確率を文字でおいて連立方程式を立てる(状態遷移の手法)ことで解くことができる。

A校が優勝するためには、「A校が1勝し、次にB校またはC校と対戦する」状態からさらに1勝する必要がある。試合の経過とともにどのような状態を経るかを丁寧に追いかけよう。

解法1

あるチームが1勝し、別の1チームと次に対戦する状態を基点として考える。

(1) 第1戦にA校とB校が対戦した場合、A校がB校に勝って優勝する確率

第1戦でA校がB校に勝つ確率は $p$ である。 この直後、「A校が1勝し、次にC校と対戦する」状態(これを状態 $\alpha$ とする)になる。 状態 $\alpha$ からA校が優勝するための試合の推移を考える。

  1. 次の試合でA校がC校に勝てば、A校の優勝が決まる。この確率は $q$ である。
  2. A校がC校に負けると、C校が1勝となり、次は待機していたB校と対戦する。
  3. ここでC校が勝てばC校の優勝となる。B校が勝つとB校が1勝となり、次はA校と対戦する。
  4. ここでB校が勝てばB校の優勝となる。A校が勝つと、再び状態 $\alpha$(A校が1勝し、次にC校と対戦する)に戻る。

状態 $\alpha$ から、他のチームが優勝せずに再び状態 $\alpha$ に戻る確率は、A校負け(確率 $1-q$)、C校負け(確率 $1/2$)、B校負け(確率 $p$) が続く場合なので、

$$ (1-q) \times \frac{1}{2} \times p = \frac{p(1-q)}{2} $$

である。 したがって、状態 $\alpha$ からA校が優勝する確率は、初項 $q$、公比 $\frac{p(1-q)}{2}$ の無限等比級数の和となる。 条件 $0 < p < 1, 0 < q < 1$ より、公比は $0 < \frac{p(1-q)}{2} < \frac{1}{2} < 1$ を満たすためこの級数は収束し、その和は

$$ \frac{q}{1 - \frac{p(1-q)}{2}} = \frac{2q}{2 - p(1-q)} = \frac{2q}{2 - p + pq} $$

となる。 求める確率は、「第1戦でA校がB校に勝つ」事象と「その後A校が優勝する」事象の積であるから、

$$ p \times \frac{2q}{2 - p + pq} = \frac{2pq}{2 - p + pq} $$

となる。

(2) 第1戦にA校とB校が対戦した場合、A校がB校に負けて優勝する確率

第1戦でA校がB校に負ける確率は $1-p$ である。 この直後、B校が1勝し、次はC校と対戦する状態になる。 ここからA校が優勝するためには、まずB校がC校に負け(確率 $1/2$)、次にC校がA校に負ける(確率 $q$)必要がある。(途中でB校やC校が勝てばそのチームの優勝となるため) この2試合を経ると、「A校が1勝し、次にB校と対戦する」状態(これを状態 $\beta$ とする)になる。

状態 $\beta$ からA校が優勝するための推移を、(1)と同様に考える。

  1. 次の試合でA校がB校に勝てば(確率 $p$)、A校の優勝。
  2. A校が負け、B校も負け、C校も負けると、再び状態 $\beta$ に戻る。 この確率は、A校負け(確率 $1-p$)、B校負け(確率 $1/2$)、C校負け(確率 $q$) なので、

$$ (1-p) \times \frac{1}{2} \times q = \frac{q(1-p)}{2} $$

となる。 よって、状態 $\beta$ からA校が優勝する確率は、初項 $p$、公比 $\frac{q(1-p)}{2}$ の無限等比級数の和となる。公比は $0 < 1$ を満たし、その和は

$$ \frac{p}{1 - \frac{q(1-p)}{2}} = \frac{2p}{2 - q(1-p)} = \frac{2p}{2 - q + pq} $$

となる。 以上より、第1戦でA校が負け、その後状態 $\beta$ に至ってからA校が優勝する確率は、

$$ (1-p) \times \left( \frac{1}{2} \times q \right) \times \frac{2p}{2 - q + pq} = \frac{pq(1-p)}{2 - q + pq} $$

となる。

(3) 第1戦にB校とC校が対戦した場合、A校が優勝する確率

第1戦の結果で場合分けをする。

(i) 第1戦でB校が勝つ場合(確率 $1/2$) 次はB校とA校が対戦する。ここからA校が優勝するためには、まずA校がB校に勝つ(確率 $p$)必要がある。 この試合に勝つと、状況は「A校が1勝し、次にC校と対戦する」状態、すなわち(1)の状態 $\alpha$ となる。 よって、この場合においてA校が優勝する確率は、

$$ \frac{1}{2} \times p \times \frac{2q}{2 - p + pq} = \frac{pq}{2 - p + pq} $$

である。

(ii) 第1戦でC校が勝つ場合(確率 $1/2$) 次はC校とA校が対戦する。ここからA校が優勝するためには、まずA校がC校に勝つ(確率 $q$)必要がある。 この試合に勝つと、状況は「A校が1勝し、次にB校と対戦する」状態、すなわち(2)の状態 $\beta$ となる。 よって、この場合においてA校が優勝する確率は、

$$ \frac{1}{2} \times q \times \frac{2p}{2 - q + pq} = \frac{pq}{2 - q + pq} $$

である。

(i) と (ii) は互いに排反であるから、求める確率はこれらの和をとって、

$$ \frac{pq}{2 - p + pq} + \frac{pq}{2 - q + pq} $$

となる。

解法2

「直前に勝ったチーム」と「待機しているチーム」の組み合わせによって、対戦状態は以下の6つに分類できる。それぞれの状態からスタートして、最終的にA校が優勝する確率を次のように文字でおく。

次の試合の結果による状態遷移を考え、各確率について連立方程式を立てる。 (A校が優勝した場合の確率は $1$、他校が優勝した場合は $0$ とする)

$$ \begin{cases} E_1 = q \cdot 1 + (1-q) \cdot E_5 \\ E_2 = p \cdot 1 + (1-p) \cdot E_3 \\ E_3 = \frac{1}{2} \cdot 0 + \frac{1}{2} \cdot E_6 \\ E_4 = (1-p) \cdot 0 + p \cdot E_1 \\ E_5 = \frac{1}{2} \cdot 0 + \frac{1}{2} \cdot E_4 \\ E_6 = (1-q) \cdot 0 + q \cdot E_2 \end{cases} $$

これを整理すると、

$$ \begin{cases} E_1 = q + (1-q)E_5 \\ E_2 = p + (1-p)E_3 \\ E_3 = \frac{1}{2}E_6 \\ E_4 = pE_1 \\ E_5 = \frac{1}{2}E_4 \\ E_6 = qE_2 \end{cases} $$

となる。$E_4, E_5$ を $E_1$ に代入して解く。

$$ E_5 = \frac{1}{2} p E_1 $$

$$ E_1 = q + \frac{p(1-q)}{2} E_1 \quad \Longleftrightarrow \quad E_1 \left( 1 - \frac{p(1-q)}{2} \right) = q $$

ゆえに、

$$ E_1 = \frac{2q}{2 - p + pq} $$

同様に $E_3, E_6$ を $E_2$ に代入して解く。

$$ E_3 = \frac{1}{2} q E_2 $$

$$ E_2 = p + \frac{q(1-p)}{2} E_2 \quad \Longleftrightarrow \quad E_2 \left( 1 - \frac{q(1-p)}{2} \right) = p $$

ゆえに、

$$ E_2 = \frac{2p}{2 - q + pq} $$

これらを用いて、必要な状態からの確率を求める。 (1) 第1戦でA校がB校に勝つと状態 $E_1$ になるため、求める確率は

$$ p E_1 = \frac{2pq}{2 - p + pq} $$

(2) 第1戦でA校がB校に負けると状態 $E_3$ になるため、求める確率は

$$ (1-p) E_3 = (1-p) \frac{q}{2} E_2 = \frac{pq(1-p)}{2 - q + pq} $$

(3) 第1戦でB校が勝てば状態 $E_4$、C校が勝てば状態 $E_6$ になるため、求める確率は

$$ \frac{1}{2} E_4 + \frac{1}{2} E_6 = \frac{1}{2} p E_1 + \frac{1}{2} q E_2 = \frac{pq}{2 - p + pq} + \frac{pq}{2 - q + pq} $$

解説

「勝った者が残り1人と戦う」という巴戦のルールを題材にした確率の典型問題である。 試合がいつ終わるか決まっていないため、そのまま確率を足し合わせようとすると無限に続く場合を考えることになる。このような問題では、解法1のように「同じ状態に戻るまでの1サイクル」を見つけ出し、無限等比級数の和に帰着させるアプローチが王道である。

また、解法2のように各状態から特定のチームが優勝する確率を変数にとり、遷移の連立方程式を立てて解く(マルコフ連鎖の吸収確率の考え方)手法も強力である。無限級数の立式でミスをしやすい人は、解法2の手順を身につけておくと見通しよく解き進めることができる。

答え

(1)

$$ \frac{2pq}{2 - p + pq} $$

(2)

$$ \frac{pq(1-p)}{2 - q + pq} $$

(3)

$$ \frac{pq}{2 - p + pq} + \frac{pq}{2 - q + pq} $$

自分の記録

ログインすると保存できます。

誤りを報告

解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。