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京都大学 1985年 文系 第5問 解説

数学A/確率数学B/数列テーマ/確率漸化式テーマ/場合分け
京都大学 1985年 文系 第5問 解説

方針・初手

正六角形の頂点を移動するランダムウォークの問題である。 まず、移動回数の偶奇によって到達可能な頂点が決まること(パリティ)に着目する。 また、図形の対称性から、$A_1$ と $A_5$、$A_2$ と $A_4$ はそれぞれ $A_0$ や $A_3$ に対する条件が等しいため、同一の状態として扱うことができる。 奇数回移動後の状態に注目し、$2$ 回の移動を $1$ つのステップと捉えて確率の漸化式を立てる。

解法1

出発点 $A_0$ からの移動回数を $k$ とすると、各頂点への到達可能性は以下のようになる。

ゲームが終了するのは頂点 $A_3$ に到達したときであるから、ゲームが終了する移動回数は必ず奇数回である。 したがって、$k = 2n+1$ ($n \geqq 0$) 回移動してゲームが終了していない場合、点は必ず $A_1$ または $A_5$ にいる。 この確率が $p_n$ である。

ここで、$n \geqq 1$ のとき、$(2n-1)$ 回目の移動後にゲームが終了していない状態から、さらに $2$ 回($(2n)$ 回目、$(2n+1)$ 回目)移動した後の状態を考える。 $(2n-1)$ 回目の移動後、点は $A_1$ または $A_5$ にいる。図形の対称性から、どちらにいても以後の推移確率は同じであるため、$A_1$ にいる場合を考える。

$A_1$ から $2$ 回移動して、ゲームが終了しない($A_1$ または $A_5$ にいる)確率を求める。

よって、$A_1$ から $2$ 回移動してゲームが終了しない確率は $\frac{1}{2} + \frac{1}{4} = \frac{3}{4}$ である。 ゆえに、以下の漸化式が成り立つ。

$$ p_n = \frac{3}{4} p_{n-1} \quad (n \geqq 1) $$

初期条件 $p_0$ は、$1$ 回の移動後にゲームが終了しない確率である。出発点 $A_0$ から $1$ 回移動すると必ず $A_1$ か $A_5$ に着くため、$p_0 = 1$ である。 数列 $\{p_n\}$ は初項 $1$、公比 $\frac{3}{4}$ の等比数列となるから、

$$ p_n = \left(\frac{3}{4}\right)^n \quad (n \geqq 0) $$

次に、ちょうどゲームが終了する($A_3$ に到達する)確率 $q_n$ を求める。

$(2n-1)$ 回目の移動後に $A_1$ にいる状態から、続く $2$ 回の移動でちょうど $A_3$ に到達するのは、$A_1 \to A_2 \to A_3$ と進む場合のみであり、その確率は $\frac{1}{2} \times \frac{1}{2} = \frac{1}{4}$ である。 よって、$n \geqq 1$ のとき、ちょうど $(2n+1)$ 回目にゲームが終了する確率 $q_n$ は、

$$ q_n = \frac{1}{4} p_{n-1} = \frac{1}{4} \left(\frac{3}{4}\right)^{n-1} $$

一方、$n=0$ のとき、$q_0$ はちょうど $1$ 回目の移動で $A_3$ に到達する確率である。$A_0$ から $1$ 回の移動で $A_3$ には到達できないため、

$$ q_0 = 0 $$

解説

等確率で隣接する頂点に移動するランダムウォークの典型問題である。 本問のようにゴール(吸収状態)が決まっている場合、偶数回・奇数回での存在可能領域の絞り込み(パリティチェック)が非常に有効である。 また、対称な位置にある頂点をグループ化して同一状態とみなすことで、考えるべき状態遷移を大幅に減らすことができる。今回は $(A_1, A_5)$ というグループにいる状態から、2ステップ後の状態を直接計算することで、連立漸化式を立てることなく簡潔に解答できる。$q_n$ において $n=0$ と $n \geqq 1$ で場合分けが生じる点に注意したい。

答え

$$ p_n = \left(\frac{3}{4}\right)^n \quad (n \geqq 0) $$

$$ q_n = \begin{cases} 0 & (n = 0) \\ \frac{1}{4} \left(\frac{3}{4}\right)^{n-1} & (n \geqq 1) \end{cases} $$

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