東北大学 1963年 理系 第3問 解説

方針・初手
与えられた不等式の各辺から $1$ を引くことで、すべての辺が分子に $x$ を因数として持つ形に変形できます。そこから $x>0$ の範囲で辺々を $x$ で割り、$p \leqq g(x) \leqq q$ の形(定数を分離した形)に持ち込むのが定石です。
解法1
与えられた不等式の各辺から $1$ を引くと、
$$ px \leqq \frac{x^3+x^2+3x+1}{x+1} - 1 \leqq qx $$
$$ px \leqq \frac{x^3+x^2+2x}{x+1} \leqq qx $$
$$ px \leqq \frac{x(x^2+x+2)}{x+1} \leqq qx $$
この不等式が $0 \leqq x \leqq 1$ でつねに成り立つ条件を求める。 $x=0$ のとき、各辺に代入すると $0 \leqq 0 \leqq 0$ となり、すべての実数 $p, q$ について成り立つ。 したがって、$0 < x \leqq 1$ の範囲で不等式がつねに成り立てばよい。
$0 < x \leqq 1$ のとき、各辺を $x$ ($x > 0$)で割ると、
$$ p \leqq \frac{x^2+x+2}{x+1} \leqq q $$
これが $0 < x \leqq 1$ でつねに成り立つような $p, q$ の条件を求める。 $g(x) = \frac{x^2+x+2}{x+1}$ とおき、式を変形すると、
$$ g(x) = \frac{x(x+1)+2}{x+1} = x + \frac{2}{x+1} $$
これを $x$ で微分すると、
$$ g'(x) = 1 - \frac{2}{(x+1)^2} = \frac{(x+1)^2 - 2}{(x+1)^2} $$
$g'(x) = 0$ とすると $(x+1)^2 = 2$ であり、$x > 0$ より $x = \sqrt{2}-1$ である。 $0 < x \leqq 1$ における $g(x)$ の増減表は以下のようになる。
| $x$ | $(0)$ | $\cdots$ | $\sqrt{2}-1$ | $\cdots$ | $1$ |
|---|---|---|---|---|---|
| $g'(x)$ | $-$ | $0$ | $+$ | ||
| $g(x)$ | $(2)$ | $\searrow$ | $2\sqrt{2}-1$ | $\nearrow$ | $2$ |
ここで、$\lim_{x \to +0} g(x) = 2$ である。
増減表より、$0 < x \leqq 1$ における $g(x)$ の最小値は $2\sqrt{2}-1$、最大値は $2$ である。 したがって、$0 < x \leqq 1$ のすべての $x$ に対して $p \leqq g(x) \leqq q$ が成り立つ条件は、
$$ p \leqq (\text{最小値}) \quad \text{かつ} \quad q \geqq (\text{最大値}) $$
よって、求める $p, q$ の値の範囲は
$$ p \leqq 2\sqrt{2}-1, \quad q \geqq 2 $$
解法2
図形的な意味を考えて解く。 $f(x) = \frac{x^3+x^2+3x+1}{x+1}$ とおくと、与えられた不等式は $0 \leqq x \leqq 1$ において
$$ px + 1 \leqq f(x) \leqq qx + 1 $$
がつねに成り立つことと同値である。 これは、座標平面において、曲線 $y = f(x)$ ($0 \leqq x \leqq 1$)が $2$ 直線 $y = px + 1$, $y = qx + 1$ の間(境界を含む)にあることを意味する。
$f(0) = 1$ より、曲線 $y = f(x)$ も $2$ つの直線も定点 $(0, 1)$ を通る。 点 $(0, 1)$ と曲線上の点 $(x, f(x))$ ($0 < x \leqq 1$)を結ぶ線分の傾きを $m(x)$ とすると、
$$ m(x) = \frac{f(x) - 1}{x - 0} = \frac{\frac{x^3+x^2+3x+1}{x+1} - 1}{x} = \frac{x^2+x+2}{x+1} $$
条件は、$0 < x \leqq 1$ の範囲でつねに $p \leqq m(x) \leqq q$ が成り立つことである。 これ以降は解法1と同様に微分を用いて $m(x)$ の増減を調べることで、最小値 $2\sqrt{2}-1$ と最大値 $2$ を得る。
したがって、求める範囲は
$$ p \leqq 2\sqrt{2}-1, \quad q \geqq 2 $$
解説
不等式の成立条件を求める問題では、「定数分離」が非常に有効な手法です。本問では変数 $x$ と定数 $p, q$ を分離するために、各辺から $1$ を引いて $x$ で割るという操作がポイントになります。
その際、$x=0$ の場合と $x>0$ の場合で分けることを忘れないようにしましょう。数学において $0$ で割ることはできないため、変数で割る前にその変数が $0$ になる可能性を個別に検証する手順を怠ると、減点対象になります。
また、解法2のように図形的に「定点からの傾きの最大・最小」を求めているという解釈を持つことで、式変形の意味が視覚的に理解しやすくなり、計算ミスにも気づきやすくなります。
答え
$$ p \leqq 2\sqrt{2}-1, \quad q \geqq 2 $$
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