京都大学 2002年 理系 第6問 解説

方針・初手
与えられた条件(ii)は、数列 $\{z_n\}$ の階差数列が複素数平面上で等比数列になることを意味しています。まずは漸化式を解いて、一般項 $z_n$ を求めます。その後、「$z_n = z_0 = 0$ となる $n \ (\geqq 1)$ が存在する」という条件を立式し、それが「$\theta$ が有理数である」ことと同値(必要十分)であることを示します。必要十分条件の証明ですので、論理の飛躍がないように「$\implies$(必要性)」と「$\impliedby$(十分性)」の両方を丁寧に記述します。
解法1
原点のまわりの $\theta^\circ$ 回転を表す複素数を $\alpha = \cos\theta^\circ + i\sin\theta^\circ$ とおく。
条件(i), (ii)より、
$z_0 = 0$
$z_1 = a$
$z_{k+1} - z_k = \alpha(z_k - z_{k-1}) \quad (k \geqq 1)$
これは、数列 $\{z_{n+1} - z_n\}$ が初項 $z_1 - z_0 = a - 0 = a$、公比 $\alpha$ の等比数列であることを示している。したがって、
$$ z_{k+1} - z_k = a\alpha^k \quad (k \geqq 0) $$
が成り立つ。$n \geqq 1$ のとき、階差数列の和を利用して $z_n$ を求める。
$$ z_n = z_0 + \sum_{k=0}^{n-1} (z_{k+1} - z_k) = 0 + \sum_{k=0}^{n-1} a\alpha^k $$
ここで、$0 < \theta < 90$ であるから、$\alpha = \cos\theta^\circ + i\sin\theta^\circ \neq 1$ である。等比数列の和の公式より、
$$ z_n = a \frac{1 - \alpha^n}{1 - \alpha} $$
条件より「点 $z_n\ (n \geqq 1)$ が点 $z_0$ と一致するような $n$ が存在する」ことの必要十分条件を考える。$z_0 = 0$ であり、$a$ は正の数($a > 0$)であるから、
$$ z_n = 0 \iff a \frac{1 - \alpha^n}{1 - \alpha} = 0 \iff 1 - \alpha^n = 0 \iff \alpha^n = 1 $$
となるような自然数 $n$ が存在することが条件となる。ド・モアブルの定理より、
$$ \alpha^n = (\cos\theta^\circ + i\sin\theta^\circ)^n = \cos(n\theta^\circ) + i\sin(n\theta^\circ) $$
これが $1$ に等しくなるための条件は、偏角が $360^\circ$ の整数倍になることである。すなわち、ある整数 $k$ が存在して、
$$ n\theta^\circ = 360^\circ \times k $$
単位の「度($^\circ$)」を両辺から除くと、
$$ n\theta = 360k \quad \cdots (*) $$
となる自然数 $n$、整数 $k$ が存在することが、題意の条件と同値である。
(I) 必要性の証明
条件を満たす自然数 $n$ が存在するとき、$(*)$ を $\theta$ について解くと、
$$ \theta = \frac{360k}{n} $$
$360k$ は整数、$n$ は $0$ でない整数(自然数)であるから、整数分の整数の形となり、$\theta$ は有理数である。
(II) 十分性の証明
$\theta$ が有理数であるとき、$\theta = \dfrac{q}{p}$ ($p, q$ は互いに素な自然数)と表すことができる。($0 < \theta < 90$ より正の有理数であるから、自然数分の自然数とおける)
これを $(*)$ の式に代入して、等式を満たす自然数 $n$ と整数 $k$ の組が存在するかを確認する。
$$ n \cdot \frac{q}{p} = 360k \iff nq = 360pk $$
例えば、$n = 360p, \ k = q$ と選べば、左辺も右辺も $360pq$ となり等式が成立する。$p$ は自然数であるから、$n = 360p$ は自然数($n \geqq 1$)を満たす。よって、条件を満たす自然数 $n$ が存在することが示された。
以上(I), (II)より、点 $z_n\ (n \geqq 1)$ が点 $z_0$ と一致するような $n$ が存在するための必要十分条件は、$\theta$ が有理数であることである。(証明終)
解説
複素数平面における回転と階差数列の基本事項を組み合わせた良問です。ポイントは以下の3点です。
「回転する」という条件を複素数の積 $\alpha(\cdots)$ で正しく表現できるか。階差数列の和の公式を使う際、$0 < \theta < 90$ より $\alpha \neq 1$ であることを確認できているか。度数法($\theta^\circ$)で与えられているため、ド・モアブルの定理を適用した結果が $2\pi k$ ではなく $360^\circ \times k$ になることに注意し、等式 $n\theta = 360k$ を導けるか。
必要十分条件の証明では、「存在するならば有理数である(必要性)」は容易ですが、「有理数ならば存在する(十分性)」の証明で言葉を濁さないように注意しましょう。具体的に $n$ と $k$ のペアを1つ構成して見せるのが最も確実な証明方法です。
答え
略(解法1の証明を参照)
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