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大阪大学 2003年 理系 第1問 解説

数学C/複素数平面数学B/数列数学A/整数問題テーマ/漸化式テーマ/数学的帰納法
大阪大学 2003年 理系 第1問 解説

方針・初手

与えられた漸化式から $z_n$ の一般項を推測し、$w$ の累乗の形で表すことが第一歩である。推測した一般項は数学的帰納法により証明する。その後、ド・モアブルの定理を用いて実部と虚部を調べ、(1) を解決する。(2) は、$\frac{z_{n+1}}{z_n}$ の絶対値と偏角がそれぞれ $\triangle OP_n P_{n+1}$ における隣り合う2辺の長さの比と、原点まわりの回転角を表す図形的な意味に帰着させて考える。

解法1

(1)

与えられた漸化式 $z_{n+1} = z_n w^{2n+1}$ と初期条件 $z_1 = w$ から、$z_n$ の一般項を推測する。 $n=1$ のとき、$z_1 = w^{1^2}$ $n=2$ のとき、$z_2 = z_1 w^3 = w \cdot w^3 = w^4 = w^{2^2}$ $n=3$ のとき、$z_3 = z_2 w^5 = w^4 \cdot w^5 = w^9 = w^{3^2}$ これより、$z_n = w^{n^2}$ と推測できる。これを数学的帰納法で証明する。

(I)

$n=1$ のとき $z_1 = w^{1^2} = w$ となり、条件を満たすので成り立つ。

(II)

$n=k$ ($k$ は自然数) のとき、$z_k = w^{k^2}$ が成り立つと仮定する。 $n=k+1$ のとき、与えられた漸化式より

$$ \begin{aligned} z_{k+1} &= z_k w^{2k+1} \\ &= w^{k^2} w^{2k+1} \\ &= w^{k^2+2k+1} \\ &= w^{(k+1)^2} \end{aligned} $$

となり、$n=k+1$ のときも成り立つ。 以上より、すべての自然数 $n$ について $z_n = w^{n^2}$ が成り立つ。

$w = a(\cos 5^\circ + i\sin 5^\circ)$ であるから、ド・モアブルの定理より

$$ z_n = \{a(\cos 5^\circ + i\sin 5^\circ)\}^{n^2} = a^{n^2}(\cos 5n^2{}^\circ + i\sin 5n^2{}^\circ) $$

$z_n$ が実数になるための必要十分条件は、虚部が $0$ になることである。$a > 0$ より $a^{n^2} > 0$ であるから、

$$ \sin 5n^2{}^\circ = 0 $$

これが成り立つための必要十分条件は、$5n^2$ が $180$ の整数倍となることである。すなわち、ある $0$ 以上の整数 $m$ を用いて

$$ 5n^2 = 180m $$

と表せることである。両辺を $5$ で割ると

$$ n^2 = 36m $$

となる。$m$ は整数であるから、$n^2$ が $36$ の倍数であることが条件となる。 $36 = 2^2 \cdot 3^2$ であり、$n^2$ が $36$ の倍数であるための必要十分条件は、$n$ が $2 \cdot 3 = 6$ の倍数であることである。 (逆に、$n=6k$ ($k$は自然数) とおくと $n^2 = 36k^2$ となり、条件を満たす。)

したがって、$z_n$ が実数になるための必要十分条件は $n$ が $6$ の倍数であることである。

(2)

複素数平面上の $3$ 点 $O(0)$, $P_n(z_n)$, $P_{n+1}(z_{n+1})$ によって作られる $\triangle OP_n P_{n+1}$ について考える。 与えられた漸化式より、

$$ \frac{z_{n+1}}{z_n} = w^{2n+1} = a^{2n+1}(\cos 5(2n+1)^\circ + i \sin 5(2n+1)^\circ) $$

これより、

$$ \left| \frac{z_{n+1}}{z_n} \right| = a^{2n+1} $$

$$ \arg \left( \frac{z_{n+1}}{z_n} \right) = 5(2n+1)^\circ $$

$a > 0$ かつ $1 \leqq n \leqq 17$ であるから、偏角について

$$ 15^\circ \leqq 5(2n+1)^\circ \leqq 175^\circ $$

したがって、$0^\circ < \angle P_n O P_{n+1} < 180^\circ$ であり、

$$ \angle P_n O P_{n+1} = 5(2n+1)^\circ $$

である。 $\triangle OP_n P_{n+1}$ が直角二等辺三角形になるのは、どの頂点が直角になるかによって以下の $3$ つの場合が考えられる。

(i)

$\angle O = 90^\circ$ のとき

$\angle P_n O P_{n+1} = 90^\circ$ となるから、

$$ 5(2n+1) = 90 $$

$$ 2n+1 = 18 $$

$$ 2n = 17 $$

これを満たす自然数 $n$ は存在しないため、不適。

(ii)

$\angle P_n = 90^\circ$ のとき

$\triangle OP_n P_{n+1}$ は $\angle P_n = 90^\circ$ の直角二等辺三角形であるから、辺の長さの比は $OP_n : OP_{n+1} = 1 : \sqrt{2}$ であり、$\angle P_n O P_{n+1} = 45^\circ$ である。 したがって、

$$ \left| \frac{z_{n+1}}{z_n} \right| = \sqrt{2} \quad \text{かつ} \quad \arg \left( \frac{z_{n+1}}{z_n} \right) = 45^\circ $$

これより、

$$ a^{2n+1} = \sqrt{2} \quad \text{かつ} \quad 5(2n+1) = 45 $$

$5(2n+1) = 45$ より $2n+1 = 9$ ゆえに $n=4$ である。 このとき $a^9 = \sqrt{2} = 2^{1/2}$ となり、$a > 0$ より

$$ a = (2^{1/2})^{1/9} = 2^{1/18} $$

(iii)

$\angle P_{n+1} = 90^\circ$ のとき

$\triangle OP_n P_{n+1}$ は $\angle P_{n+1} = 90^\circ$ の直角二等辺三角形であるから、辺の長さの比は $OP_n : OP_{n+1} = \sqrt{2} : 1$ であり、$\angle P_n O P_{n+1} = 45^\circ$ である。 したがって、

$$ \left| \frac{z_{n+1}}{z_n} \right| = \frac{1}{\sqrt{2}} \quad \text{かつ} \quad \arg \left( \frac{z_{n+1}}{z_n} \right) = 45^\circ $$

これより、

$$ a^{2n+1} = \frac{1}{\sqrt{2}} \quad \text{かつ} \quad 5(2n+1) = 45 $$

$5(2n+1) = 45$ より先ほどと同様に $n=4$ である。 このとき $a^9 = \frac{1}{\sqrt{2}} = 2^{-1/2}$ となり、$a > 0$ より

$$ a = (2^{-1/2})^{1/9} = 2^{-1/18} $$

以上 (i) 〜 (iii) より、求める $n$ と $a$ の組が求まる。

解説

複素数列の漸化式と、複素数平面上の図形の性質を絡めた典型的な良問である。 (1) では、具体的に $n=1, 2, 3$ と書き下すことで $z_n = w^{n^2}$ を予想し、数学的帰納法で確実に示すアプローチが有効である。実数条件は「虚部 $= 0$」で処理できる。 (2) は、$\frac{z_{n+1}}{z_n}$ を考えることで原点 $O$ まわりの回転角と距離の拡大率がわかる。図形が「直角二等辺三角形」となる条件について、どの頂点が直角になるかで場合分けを忘れないことが重要である。

答え

(1)

略(解法参照)

(2)

$n=4, \ a=2^{1/18}$ または $n=4, \ a=2^{-1/18}$

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