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九州大学 1986年 文系 第1問 解説

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九州大学 1986年 文系 第1問 解説

方針・初手

(1) 2つの円の中心を結ぶ線分と、それぞれの中心から直線 $l$ に下ろした垂線を用いて直角三角形を作り、三平方の定理を利用する。

(2) 新たな円の半径を $r$、直線 $l$ との接点を $R$ とする。新たな円と $C_1, C_2$ それぞれとの関係について(1)と同様に立式し、直線 $l$ 上の接点 $P, Q, R$ の位置関係から場合分けを行って $r$ を求める。

解法1

(1)

円 $C_1, C_2$ の中心をそれぞれ $O_1, O_2$ とする。

$O_1, O_2$ から直線 $l$ に下ろした垂線の足をそれぞれ $P, Q$ とし、$O_1$ から線分 $O_2Q$ に下ろした垂線の足を $H$ とすると、$\triangle O_1HO_2$ は $\angle O_1HO_2 = 90^\circ$ の直角三角形である。

$C_1$ と $C_2$ は互いに外接しているため、$O_1O_2 = a + b$ である。

また、$O_1P = a, O_2Q = b$ であり、$0 < a < b$ より $O_2H = b - a$ となる。

直角三角形 $\triangle O_1HO_2$ において、三平方の定理より以下の式が成り立つ。

$$O_1H^2 + O_2H^2 = O_1O_2^2$$

$$O_1H^2 + (b-a)^2 = (a+b)^2$$

これを $O_1H^2$ について解く。

$$O_1H^2 = (a+b)^2 - (b-a)^2 = 4ab$$

$a > 0, b > 0$ より $O_1H > 0$ であるから、$O_1H = 2\sqrt{ab}$ を得る。

四角形 $PQHO_1$ はすべての角が直角であり長方形となるため、$PQ = O_1H$ である。

したがって、線分 $PQ$ の長さは $2\sqrt{ab}$ である。

(2)

条件を満たす円の中心を $O$、半径を $r$ とし、直線 $l$ との接点を $R$ とする。

求める円は直線 $l$ に接するため、$C_1, C_2$ とは外接する関係にある(内接すると仮定すると接点が $l$ 上になければならず、同時に2円と直線に接することができないため)。

(1) の結果を応用すると、$C_1$ と求める円について以下の関係が成り立つ。

$$PR = 2\sqrt{ar}$$

同様に、$C_2$ と求める円についても以下の関係が成り立つ。

$$QR = 2\sqrt{br}$$

接点 $P, Q, R$ の位置関係によって、以下の3つの場合が考えられる。

(i) 点 $R$ が線分 $PQ$ の内分点となる($P, R, Q$ の順に並ぶ)場合

$PR + RQ = PQ$ が成り立つため、以下の式を得る。

$$2\sqrt{ar} + 2\sqrt{br} = 2\sqrt{ab}$$

これを変形する。

$$\sqrt{r}(\sqrt{a} + \sqrt{b}) = \sqrt{ab}$$

$$r = \frac{ab}{(\sqrt{a} + \sqrt{b})^2}$$

(ii) 点 $P$ が線分 $RQ$ の内分点となる($R, P, Q$ の順に並ぶ)場合

$RP + PQ = RQ$ が成り立つため、以下の式を得る。

$$2\sqrt{ar} + 2\sqrt{ab} = 2\sqrt{br}$$

これを変形する。

$$2\sqrt{r}(\sqrt{b} - \sqrt{a}) = 2\sqrt{ab}$$

$0 < a < b$ より $\sqrt{b} - \sqrt{a} > 0$ であるから、$\sqrt{r}$ について解くことができる。

$$\sqrt{r} = \frac{\sqrt{ab}}{\sqrt{b} - \sqrt{a}}$$

$$r = \frac{ab}{(\sqrt{b} - \sqrt{a})^2}$$

(iii) 点 $Q$ が線分 $PR$ の内分点となる($P, Q, R$ の順に並ぶ)場合

$PQ + QR = PR$ が成り立つため、以下の式を得る。

$$2\sqrt{ab} + 2\sqrt{br} = 2\sqrt{ar}$$

これを変形する。

$$2\sqrt{r}(\sqrt{a} - \sqrt{b}) = 2\sqrt{ab}$$

$0 < a < b$ より $\sqrt{a} - \sqrt{b} < 0$ である。一方、$a>0, b>0, r>0$ より右辺は正であるため、この等式を満たす実数 $r$ は存在しない。

以上より、条件を満たす2個の円の半径は $\frac{ab}{(\sqrt{b} + \sqrt{a})^2}$ と $\frac{ab}{(\sqrt{b} - \sqrt{a})^2}$ であることが分かる。

求めるものはこの2つの半径の積である。

$$\frac{ab}{(\sqrt{a} + \sqrt{b})^2} \times \frac{ab}{(\sqrt{b} - \sqrt{a})^2} = \frac{a^2b^2}{\{(\sqrt{b} + \sqrt{a})(\sqrt{b} - \sqrt{a})\}^2}$$

$$= \frac{a^2b^2}{(b - a)^2}$$

解説

互いに接する円と共通接線の長さを求める定石問題である。

(1) は頻出の構図であり、円の中心を通る水平線と垂線によって直角三角形を作ることで、容易に三平方の定理に持ち込むことができる。

(2) では、図の印象から「2つの円の隙間にある小さな円」を想像しやすいが、条件を満たす円はもう1つ存在する。直線上の接点の位置関係($x$ 座標の大小関係)について丁寧に場合分けを行うことで、感覚に頼らずにもう1つの円の存在と半径を論理的に導き出すことができる。

答え

(1) $2\sqrt{ab}$

(2) $\frac{a^2b^2}{(b - a)^2}$

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