九州大学 1989年 文系 第4問 解説

方針・初手
非復元抽出で $1$ 人ずつ $k$ 回くじ引きを行うことは、$n$ 人の中から同時に $k$ 人を選ぶことと確率的に同値です。この性質を利用して、事象を「委員の顔ぶれ(組合せ)」として捉える方針が確実です。また、「くじ引きの公平性」を利用して、引く順番を固定して確率の積で求める方針も有効です。
解法1
$n$ 人から $1$ 人ずつ $k$ 回くじ引きをして委員を選ぶとき、どの委員の選ばれ方も同様に確からしい。引く順番を考慮せず、選ばれた $k$ 人の委員の組合せだけに着目すると、すべての選び方は $_n\mathrm{C}_k$ 通りであり、これらも同様に確からしい。
(1)
$A$ さんがクラブ委員に選ばれない事象は、$A$ さんを除く $n-1$ 人の中から $k$ 人の委員を選ぶ事象である。
その選び方は $_{n-1}\mathrm{C}_k$ 通りである。よって、求める確率は
$$ \frac{_{n-1}\mathrm{C}_k}{_n\mathrm{C}_k} = \frac{\frac{(n-1)!}{k!(n-1-k)!}}{\frac{n!}{k!(n-k)!}} = \frac{(n-1)!}{k!(n-k-1)!} \times \frac{k!(n-k)!}{n!} = \frac{n-k}{n} $$
(2)
$A$ さんも $B$ 君もともに選ばれない事象は、$A$ さんと $B$ 君を除く $n-2$ 人の中から $k$ 人の委員を選ぶ事象である。
その選び方は $_{n-2}\mathrm{C}_k$ 通りである。よって、求める確率は
$$ \frac{_{n-2}\mathrm{C}_k}{_n\mathrm{C}_k} = \frac{\frac{(n-2)!}{k!(n-k-2)!}}{\frac{n!}{k!(n-k)!}} = \frac{(n-2)!}{k!(n-k-2)!} \times \frac{k!(n-k)!}{n!} = \frac{(n-k)(n-k-1)}{n(n-1)} $$
(3)
$A$ さんも $B$ 君もともに選ばれる事象は、すでに $A$ さんと $B$ 君が委員になることが確定しており、残りの $k-2$ 人の委員を $A$ さんと $B$ 君を除く $n-2$ 人の中から選ぶ事象である。
その選び方は $_{n-2}\mathrm{C}_{k-2}$ 通りである。よって、求める確率は
$$ \frac{_{n-2}\mathrm{C}_{k-2}}{_n\mathrm{C}_k} = \frac{\frac{(n-2)!}{(k-2)!(n-k)!}}{\frac{n!}{k!(n-k)!}} = \frac{(n-2)!}{(k-2)!(n-k)!} \times \frac{k!(n-k)!}{n!} = \frac{k(k-1)}{n(n-1)} $$
解法2
くじ引きにおいては、どの順番でくじを引いても当たり(委員に選ばれる)を引く確率、はずれ(委員に選ばれない)を引く確率は等しい。そこで、$n$ 本のくじの中に当たりが $k$ 本、はずれが $n-k$ 本あり、$A$ さんと $B$ 君が連続してくじを引くと考えても確率は変わらない。
(1)
$A$ さんがはずれを引く確率を求めればよい。全体で $n$ 本のくじの中にはずれは $n-k$ 本あるから、求める確率は
$$ \frac{n-k}{n} $$
(2)
$A$ さんと $B$ 君が $2$ 人ともはずれを引く確率を求めればよい。
$1$ 人目の $A$ さんがはずれを引く確率は $\frac{n-k}{n}$ である。
$A$ さんがはずれを引いたとき、残りのくじは $n-1$ 本であり、その中にはずれは $n-k-1$ 本ある。したがって、$2$ 人目の $B$ 君もはずれを引く確率は $\frac{n-k-1}{n-1}$ である。
よって、求める確率は
$$ \frac{n-k}{n} \times \frac{n-k-1}{n-1} = \frac{(n-k)(n-k-1)}{n(n-1)} $$
(3)
$A$ さんと $B$ 君が $2$ 人とも当たりを引く確率を求めればよい。
$1$ 人目の $A$ さんが当たりを引く確率は $\frac{k}{n}$ である。
$A$ さんが当たりを引いたとき、残りのくじは $n-1$ 本であり、その中に当たりは $k-1$ 本ある。したがって、$2$ 人目の $B$ 君も当たりを引く確率は $\frac{k-1}{n-1}$ である。
よって、求める確率は
$$ \frac{k}{n} \times \frac{k-1}{n-1} = \frac{k(k-1)}{n(n-1)} $$
解説
くじ引きの確率に関する典型問題です。「引く順番ごとに場合分けして和を計算する」と複雑になってしまいますが、「選び方の組合せ」として全体を俯瞰する(解法1)、あるいは「くじ引きの公平性」に着目して特定の人だけが引く状況を想定する(解法2)ことで、計算量を大幅に減らすことができます。
どちらの解法も確率の基本として非常に重要であるため、両方の視点を持っておくことが望ましいです。
答え
(1)
$$ \frac{n-k}{n} $$
(2)
$$ \frac{(n-k)(n-k-1)}{n(n-1)} $$
(3)
$$ \frac{k(k-1)}{n(n-1)} $$
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